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30 リンドガルド領

あっという間に飛んできた。


「最近は暑くなってきたな。日焼け大丈夫かな?今度暇あれば湖畔でバーベキューでもやるかな。美人が多すぎて酒池肉林だな」


などと言いながら見下ろす先には地獄絵図が広がる。

想像していた以上に酷いね。


砦で防衛しているがボロボロだ。国境の砦だけあり石造りの立派なものだが魔術によってかなり痛んでいる。砦の周りには腐乱死体や血が溢れている。


あちこちの村は既に廃村になっており、酷いところは死体が放置されており家屋は焼かれている。まともに暮らしているような場所は無いようだ。


「領地にもらっても価値無いな。取り合えず領主に会うか。」


領都の領主の屋敷に向かう。慌ただしく兵士や役人が出入りしている。大なり小なり負傷している者が殆どだ。綺麗なのは屋敷につめているであろう兵士と少年兵だけだ。子供まで臨時に集めたのであろう。戦力になんてなりゃしないのに…胸糞悪いな。


門番に紹介状を手渡し


「アレスト領かろ援軍に来たペルセと申します。リンドガルド領主にお目通り願いたい。取次をお願いする。」


アレスト領主の封蝋のされた紹介状を見た門番がすぐに確認を取りに行った。数人の役人と兵士に案内されて領主とすぐに面会する事となった。


「良く参られたペルセ殿。レスサス伯よりの書状は読んだ。現在かなり厳しい戦況だ。負ければ我が領が滅ぶだけでなく国の存亡がかかってくる。宜しく頼むぞ。こちらでする事はあるか?」


「廃村で結構なので前線の拠点を1つもらえますか?それと武器は可能な限り回して欲しいのですが。」


レスサス様も伯爵だったのか。そういえばこの国ってなんて名前だ?敵国は?

結構肝心な情報が抜けてた…当たり前すぎて誰も教えてくれないし。


「拠点は好きなところを使って構わない。いずれはペルセ殿の領地になる。すまないが、武器は余裕が無いのであまり多くは回せない。」


「承知しました。ではこれで失礼いたします。いずれ私の配下が参りますので拠点まで案内をお願いします。」



比較的綺麗な前線の村に来た。

大森林にも一番近い。とりあえず雨風はしのげる。早速持ってきた骨を取り出し3体のスケルトンを召喚した。食料や武器など持ってこれるだけ持ってきたが対したものは無いので現地調達だ。


「ベッドは有るけど布団は使えないな。あぁ今更だけどひとりじゃ何も出来んな俺。スケルトン増やしながら物資の調達するしかないな。」


スケルトン達を大森林に向かわせ俺は取りあえず砦に向かう。強行偵察してある程度敵を削って奴隷を確保したかった。炊事洗濯は任せたいからな。


ここからはそんなに遠くは無いから走って向かう。途中で木の枝を拾って木刀を作る。敵の兵は捕まえて奴隷にして労働力にしたい。売っても儲かるし。取りあえず村の整備をしたい。


遠目から眺めると魔術や投石、はしご掛けたり色々やってるな。敵側からこっそり近づいて行く。


「ちょっと聞くが指揮官はどこにいる?極秘の伝令だ」


獣人の兵士に話しかけてみた。ワーロックだが通用するか?


「うわっ、いきなり後ろから声かけんじゃねーよ。びっくりするだろが。お前ワーロックか?この部隊にいたか?」


「驚かせてすまんな。ある御方の密命で来たからお前達は知らないし、忘れることをお勧めするぞ。で、どこにいる?それに今は誰が指揮してる?」


「そうか、分かった。今はキシル子爵が指揮していて、あそこの陣幕で指揮をされている。案内しようか?」


小高い丘の上に設置された陣幕で指揮しているようだ。せっかくだし案内して貰うか。うまく忍び込めたけどこんなに簡単で良いのかよ。


陣幕にたどり着き子爵に面会する。案内してくれた兵士にはお礼を言わずに首を捻った。変な方向に向いた顔から手離すとどさりと音を立てて倒れた。鼻を突くアンモニア臭がする。兵士のエルフを殺したのだ。

全員が武器を抜き構えるが平然と話しかける。


「悪いが機密保持の為に処分した。死にたくなければ全員武器を納めろ。子爵、全員を下がらせろ。密命を伝える。ちなみにこいつはお前の名前と居場所を何の疑いもなく俺に話したぞ。どういう指導をしている?これは報告させてもらう。規律というものを学びなおせ。」


「全員、武器をを下ろせー!」


怒気を込めた演技が効いたな…こいつもバカだ。あんなに顔に出して怒るなよ失態を指摘されただけで、でも本当だったらやばいけど俺は敵だから関係ないんだけどね。


「大変申し訳御座いませんでした。ご命令は謹んで賜ります。」


膝をつき臣下の礼をとる。部下は全員退席している。


「今回の命令は正確には宰相閣下からの命である。公文にあらず一度の口頭命令であるから心して聞け。」


「謹んで拝聴致します。」


「今後の、指揮権をペルセに移譲して3日の内に砦を攻略せよ。因みにペルセは俺だ。詳しいことの詮索はするな、陰の者だ。」


「はっ!」


「以上だ。復唱せよ。」


「はっ。今後はペルセ殿に指揮権を移譲し指揮下に入り3日で砦を攻略致します。」


信じちゃったよ!まじで?

こんな命令あるのかな?


電話も携帯もないからあるのかもしれないな戦時中だし。


「奴隷の所有権からだな。」


その後、迅速に多数の奴隷がただで手に入った。全部で4000の兵がいたがこの程度の数に押されてたのか。リンドガルドは弱すぎたろうよ砦で守っているのに。


「取りあえず攻撃は明日からだ。奴隷は全てここから敵国に入った廃村に移せ。魔術師と精鋭部隊もだ。合計で何人になる?」


「奴隷は1500に魔術師は30で精鋭は300と言ったところでしょうか。しかし、何故廃村へ?」


「こんな砦に戦力を費やしてどうするよ?疲れるだけだろうが子爵よ。お前も明日は前線で砦攻略してこい。前線がどんなものか分かるだろうよ。俺は精鋭達と進撃する。」


「…は?それでは砦は半分の人員で攻略するのですか?魔術師も無しで。無理だと思いますが。」


「適当にやってろ。派手に進撃すれば砦からバカどもは勝手に出てくる。そうしたら挟撃で一気に殲滅する。たった一日で終わりだ。」


やらないけどやったらうまくかもしれないな。適当に言っているだけだが。


「なる程、そのような作戦で。承知いたしました。」


「皆には酒とうまい飯を出してやれ。もう必要無くなるからケチるな。攻略をして略奪すればいいからな。俺の就任祝だ。」


もとの陣地と俺の拠点に二分した戦力を酒で酔わした。大量の酒が振舞われて腹も膨れて皆が寝ふけった頃に隔離しておいた奴隷に命令する。


「魔術師と精鋭部隊を拘束しろ。こいつらは反逆容疑がかかっている」


全員が不思議な顔をしているが命令は絶対だ。奴隷を引き連れて兵士を襲う。木刀で抵抗するようなやつだけ殴り倒していく。全員を拘束するのに1時間もかからなかった。これで第一段階は終了だ。後は子爵の部隊を適当に壊滅させるか。


せっかく拠点まで戻ったので少し大森林に入りスケルトンを召喚して10体ほど増やしておく。そして見張りの奴隷1000人を残して半分を連れて陣地へ向う。本陣も宴会は終わっておりいい感じに眠っている。さすがにそれなりの見張りはいる。全部で100ほどだろうか。遠くから遠見と夜目を使っているので向こうは確認できないだろう。奴隷を待機させて見張りの処分に向う。


こっそりと見張りをしている兵士にに近づいていく。全く気がついていない。敵は砦にこもっているのだから油断もしているのだろう。モンスターへの警戒の意味合いが大きいのかもしれない。


「今度の指揮官は気前がいいのにわしらはお預けで寝ずの番か。やってられないな。」


「なったくだ、見張りなんか要らないだろうに。」


ぼと、ぼと。


二つの頭が落ちる。刀で一閃だ。血を噴出す体に目をくれることも無く次に襲い掛かる。無音かつ高速で近寄り首を刈っていく。声を出されたら面倒なので一気に制圧していく。本当であればゴーストを召喚したいが目立つので控えた。後で集めていっせいに召喚すればよいので制圧は短時間で終わらせる。


30分もしないうちに見張りを排除した。ころがる死体を集めてはゴーストを召喚していく。そして、また場所を移動して死体を集めて召喚する。何度か繰り返したところで指示通りに奴隷達がこちらに向ってきた。半分以上を召喚に使えた。全部で64体のゴーストをいろいろなスキルで召喚した。


その後、俺は奴隷を100人ほど引き連れて子爵など貴族や指揮官クラスを生け捕りにむかう。


「戦場で暢気に酒飲んで寝るって救いようの無い馬鹿だなこいつらは。全員拘束してお前らはそのまま村まで移送しろ。」


抵抗を全くする間も無く口をふさがれて、手足を縛られ運ばれていく。

残りの奴隷たちが一般の兵士を拘束して回っている。抵抗できる者は少なからずいたが全員の頭を俺が刎ねて、寝ている奴や反抗するものなど容赦なく殺しまわったら抵抗は直ぐに無くなった。


兵士たちに死体を集めさせたテントに放り込む。死体のつまったテント以外の物資を回収して全員に運ぶ準備をさせている。武器は全て奴隷に運搬させる。それ以外の兵士も脅したので死にたくないから必死で準備をする。魔車や騎乗用の魔獣にも荷物を乗せて準備が進む。


死体をつめたテントに向い召還をする。ゴーストは全部で400体ほど召喚できたので戦争に来て大正解だ。物資も無駄にすることなく運ぶが真夜中なので準備も行軍も時間がかかる。撤退を始めて最後にゴースト達がテントごと死体を焼却処分した。ごうごうと燃える炎を背にして撤退をしていく。


「日が昇ったら全員殺すぞ。さっさと動け。」


みんなきびきび動いてくれた。よしよしいい子達だ。

昔のギャング達を思い出すな。



リンドガルドのとある町は大慌てである。俺が捕まえた兵士を引き連れて向ったから当たり前か。


「ペルセ・アースだ。領主の命を受けて敵を倒してきた。捕らえた兵の奴隷化をしてもらいたい。至急開門して対応願う。これがレスサス伯とリンドガルド伯の書状だ確認されたし。」


町の城門前で大声を張り上げる。捕虜が1900名に監視の奴隷が1000名もいればびびるよな。

数人の兵士が現れて確認をしていった。しばらくすると門が開かれて町長が呪術師を引き連れて現れた。


「ペルセ様ご苦労様です。これは一体どういった戦果でしょうか?こんなにも捕虜を取るとは?」


「こいつらの指揮官が馬鹿でね。計略で一網打尽だ。全て殺害か捕虜にした。しばらくは安全が確保できるだろう。俺はさっさと進撃したいから奴隷化をお願いしたい。まずは精鋭部隊と魔術師から頼む。それと物資も持ってきたから買取も頼む。貴族の捕虜は人質にしたいがどうする?」


「領主様へ報告をした後でよろしいでしょうか。私の一存では決めかねるので。幹部はこちらで預かりましょう。まずは奴隷化を行いましょう。買い取りも私のほうが一括してさせていただいてもよろしいでしょうか。商人以上にはいたしますので。」


「それでかまわない。調達したいものもあるからそれもお願いできるか?」


「はい、可能な限り」


一生懸命やってくれたが結局この日は終わらなかったので町長の屋敷で一泊することになった。

翌日の昼過ぎには領主が直接町に訪問してきた。


「ペルセ殿たっの一日でどうやったのですか?戦況は聞きました。これで当面は持ちこたえられそうですが…。それにしても…」


言葉も出ない感じだ。当然か、存亡がかかっていたのに1人が来ただけでいきなり全滅させたのだから。


「敵が馬鹿で…運が良かっただけですよ」


「運とはいうが…ありえん。とにかく助かった。呪術師を連れてきたらからこれで奴隷化は今日中に終わろう。それで奴隷はどうする?すべが貴殿のものだが。」


どうしよう?しばらくは援軍も到着しないしこのまま使うか。精鋭と魔術師はハロルゼに回して後は戦う意志が有るものは兵にして残りは売却だな。レスサス様にも少し回しておくか。


「精鋭と魔術師は私の本拠地へ配達してもらえますか。それ以外は彼らの意思に任せます。」


「分かった。売却は私の方で仲介しよう。貴族の捕虜の扱いはこちらに任せてもらってもいいか。身代金などがあったらすべてペルセ殿のものであるが」


「かまいませんよ。私は奴隷を使い進軍しますので守りのみ専念してください。」


「承知した。」


奴隷のうち戦争に参加しても良いものが650名とその他の雑務なら奴隷になりたいというものが400名いたので精鋭と魔術師と一般奴隷200名の計530名をハロルゼに送った。またアレスト領に500名を送り残りは売却してもらうことにした。


武具に魔車、騎獣その他の必要な物資を多めに確保した以外は売却してた。置いてきた奴隷は戦うか雑用になってもらった。

前線の砦から大森林までの土地をこの段階で領地ではないが貰い受けることとなったので村の復興などに奴隷を使うことも出来そうだ。


これから少しずつ支配地域を増やしながら進撃する。進軍の準備に取り掛かることにした。

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