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23 開拓砦2

溢れかえっているアメーバを焼き払いながら開拓砦中を見て回る。

建物も溶かされて傾いていたり、倒壊している。ここにいた約2000名の兵士と奴隷は550名が避難したのみで、残りまだ砦内部に居るはずなのに全く生存者は発見出来ない。


そこら中に体の一部や骨が散乱している。ゴーストを召喚する素材に出来る遺体を探し回ったが、結局、召喚する事が出来たのは35体だけであった。戦力が足りないのでスキルは全て火の魔術にしている。


「腹減ったし、もう疲れた。もうすぐ夜だし限界だわ。一度領都に戻って休憩するか。」


暗くなればゴーストを使っても大丈夫だろうし暫くは任せるか。確実に居るであろう監視に見られたくはないが、見られたら諦めよう。


「お前ら、このモンスターを攻撃しろ。やられないように空中で距離をとれよ。それと可能な限り見つからないようにしろ」


一斉に砦の内外に飛んでいきファイヤーボールを放ち始めた。俺と比べれは発射数も威力も低いが35体で行えばかなりの効果だ。暫く観察してから領都に向かって飛んで行く。



「ペルセ様お疲れさまです。領主様もがお待ちですのでこちらへどう」


「その前に風呂と食事をしたい。頼めるか」


「そうした方がよろしそうですね。すぐに支度します」


半日も戦い続けていたせいで全身煤けて泥や血も付いておりひどい有様だ。案内された浴場で汚れてを落として浴槽につかる。神核を起動して魔力の増減を確認するがどうも魔力の減りが大きい。

スケルトン達からの魔力の供給量と俺が使った魔術の消費量を推測するが、あれだけ倒したはずのアメーバから獲得するはずの魔力が無い。ゴーストを召喚した際の魔力も考慮しているのに。


「可能性として単細胞生物で本体を見つけないかぎりいくら倒しても魔力は得られないか。ようはアメーバ自体は無限増殖ってことか。本体がどこにいてどんな奴なのか分からないとかなり討伐は厳しいな。放置すると領都が飲み込まれるのも時間の問題だな。」


食事は領主と面会しながら食べろとのことで領主の部屋へ向かっていた。


「領主様はすぐにでも報告を聞きたいそうです。食事を取りながらで構いませんのでお急ぎ下さい」


領主の執務室へ通されソファーに腰をかける。領主は既に対面に座っていた。


「ご苦労だった。多くの者を失ってしまったが残った者を懸命に逃がしてくれたと報告を受けた。感謝する」


領主が頭を下げた。民のことを思うよい貴族なのだなと関心しながら


「力不足で申し訳有りませんでした。彼らを逃がすだけで精一杯でした。すみません。」


「いや、十分じゃ。こうなる前に対処できなかった私に責がある事じゃ。お主は気にすることは何もない。それで現状はどうだ?」


「はっきり申し上げて最悪です。倒しても、倒しても一向に減る気配は有りません。開拓砦の設備もほぼ崩壊しており、もう守るだけの価値は無いでしょう。私の能力で今も継続して攻撃を加えておりますが焼け石に水です。私ももう限界が近いです。このまま放置すればいずれはこの領都も開拓砦と同じ

状況になるでしょう。」


「そこまでか…対処する方法なにかないか?」


「未知数ですが可能性なら有ります」


「可能性とは?いかにすれば対抗できる?」


「予測に過ぎませんが新種モンスターは一匹しかいないのではないかと思います。単細胞生物でいくら倒しても本体を倒さない限り永遠に増えるのではないかと思います。逆に言えば本体さえ倒せれば終わりかと思います。」


「本体は倒せるのか?」


「分かりません。見つけることも困難ですし、発見しても倒せるとも限りません。」


「そうか…だが何とかしてくれんか?今頼れるのはお主だけじゃ。」


確かに魔術を使えて単細胞生物と言う存在のことを知っているのは俺だけだろうしな。しかし、本当に本体を探し出し倒せるだろうか?低くもないが、高くもない。まして確実性など全くない。

暫くの沈黙の後、本音を告げることにした。


「倒せる可能性もあります。しかし、倒せない可能性の方が遙かに高いのが現実です。申し訳有りませんが当初の契約分は働いたとは思います。報酬は結構ですので今回の件より私は引かせて貰いたく存じます。僭越ながら閣下へは領都の放棄をお勧めさせていただきます。」


「なんともならんか…本当にどうにもならんか?」


「開拓砦の二の舞を踏みたく無ければ早急にご決断いただいた方が良いことしか私からは申し上げることは有りません。ただ、私はこの後、再度開拓砦に赴き本体へ挑むつもりです。これは単なる意地ですので個人的な闘いなので亡き者とお考え下さい。」


「そうか。そちには無理を言った。約束した報酬の倍の倍を払う。結果は気にせずに必ず帰ってこい。よいな!」


「最善を尽くします」


やはり逃げだすなど出来ない。一度逃げたら負け癖がつくし、二度と胸を張って生きていけなくなる。やるしかない。


マナーもくそも無く出された食事かき込み腹に納めていく。領主は勿論だが部屋の中に居る者に文句を言うものなどだれもいない。誰もが皆、場所が違うだけで地獄へと向かう同じ船に乗っているのだから。


なんとしても倒しても生き残る。ここでやらなければ一生負け犬なのだから。食事を終えて部屋をでる間際、


「領主様、もし敵を倒しても戻ったきたら一献頂けますか?」


「あぁ喜んで」


「では、失礼します」


これで勝たなければ領主に会うのも最後かと思いながら部屋を出た。領主とは戻ったら一緒に酒を交わすのも悪くない。


今晩から領都の市民は避難準備を開始するそうだ。俺自身が死ぬ可能性は低いが、勝てる可能性も低い。もし俺が勝てなけば助かる者はいないだろう。こういうのは本当にやりにくい。


「勝たないとな。まずは本体を探しながら、進行を遅らせるようにするか。」


再度、開拓砦に向かって飛翔していく。ゴースト達が放つファイヤーボールがあちこちで軌跡を描きながら飛んでいてとても綺麗だ。


俺は開拓砦を通過して大森林まで飛んで行く。魔眼を発動して夜目を使いアメーバの本体を探す。見た目で違いが有るかもしれないし、活動あるいは発生しているアメーバ達の動向を見れば居場所を割り出せるのではないかと思う。それと並行して魔力感知を行う。上空から少しづつ移動しながら探して行く。中央から始めて左周りで平野まで来たが、それらしいものは見つけられなかった。


「反対側を探すか。それで見つからなければどんどん奥へ範囲を広げるしかないな」


反対側を探索しても見つからない。左端の平野部分から探索範囲を広げて半円を描くように反対側まで探す。しかし、発見は出来ない。今度は右端から更に外側を探していくどうやらこの範囲がアメーバがいるかいないかの境目のようだ中央部分を少し過ぎた辺りで他とは違うアメーバの動きを見つけた。


扇型にアメーバがあふれ出ており、まるで、大雨で決壊した河川のようだ。魔力感知を使うとかなり濃厚で高い魔力を感じる。


「あれが本体だな。発見できたぞ!潰してやる」


発見した本体は青色の饅頭型で巨大な生き物だ。大きさはまるでダンプカーだ。


「本体ってどでかいスライムかよ!」


危機感や緊張感など張り詰めていたものが全て無くなった。アホらしいから早く倒してもう帰ろう…

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