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22 開拓砦

森の中に不自然に半円形に切り開かれた土地が見えてきた。その中心部分に四角の石壁に囲まれた小さな町のようなものが見えてきた。高度を下げながら接近していく。


開拓砦の中は壮絶な地獄絵図になっていた。そこら中にアメーバが溢れており酸を吐きかけ、体に纏わりつき直接溶かすなど多くの獣人とエルフが逃げ惑っていた。唯一の対抗策のように松明を振りまわして追い払おうとしているが全く抵抗できていない。壊滅は時間の問題だな。このまま何もしなければ明日の朝日を拝めるやつは皆無だろう。


「領主が焦るのも分かるがもう手遅れだな。ただこれはメリットの多い依頼だし少しでも形にしておけば恩を売れて今後に有利だからな。それにかなり死んでそうだからゴーストを作るか。魔法の訓練にもなるし、一石四鳥以上だな。じゃぁ、あんまり死なせ過ぎないようにはじめますか」


まずは砦の周りに集まったアメーバを少し減らそう。

上空15メートルほどの高さで開拓砦を中心にして旋回飛行に入りながら両手の掌を真下より少し進行方向に突き出してファイヤーボールの連射を始めた。1秒間に片手から2発ぐらいの速度で打ち出していく。魔力はいくらでもある。弾数に物をいわせた絨毯爆撃である。そこら中にランダムに狙いなどつけなくても当たるほどアメーバで埋め尽しているので遠慮なく魔術を発動した。


1周目、2周目、3周目数を繰り返すごとに減っているはずだが…全く変化がない。

大見得切ったがこれはなかなか厳しいぞと思い10周ほどしたところで次の作戦に移る。


火魔術と土魔術のLv2の魔術を行使することにした。まずは土魔法で砦の周りにもう一枚壁を作る。


ストーンウォールと発動する。そうすると近くの地面から高さ5メートル横幅10メートル程の大きな壁ができる。どんどん作りながらファイヤーバーストを打ちはなっていく。

壁で囲いながらその周りをどんどん火の海にしていく。範囲攻撃は一度に広範囲を攻撃できるが最大まで魔力を込めたファイヤーボールほどの威力は無い。だが継続時間もあり防壁にもなる。


魔力の消費は5倍と大きいが惜しまず使っていく1時間もすると開拓砦を囲むことが出来た。ストーンウォールは壊されない限り継続時間は1日保つ。継続時間が終了すると一気に崩れてしまうが十分だ。ファイヤーバーストを旋回しながらばら撒いていく。これで一時的に進入しにくくなっているだろう。


砦の上空を飛行しながら手当たり次第にファイヤーボールをぶつけていく。倒しても倒してもきりがないが、早く退避するルートを確保して移動を開始しないといくら頑張っても全滅しかねない。


「指揮官は誰だ!」


上空から大声で叫ぶ、しかし何回叫んでも返事がない。アメーバを焼き殺しながらあちこちを回っていると抵抗している集団がいる場所を見つけた。机や箱で近づかないようにしているが厳しそうだ。生き残りを囲んでいるアメーバを焼きながら近づいく。


「領主の命令で救援に来た。指揮官はいるか?」


「指揮官はここにはいない。生きているかも死んでいるかも分からない。」


「それなら今から東門まで移動するぞ、そこに可能な限り生きてるやつを集めろ。俺が逃げる隙を作るが1度きりだ、傷も直してやれるから少しでも生きてるやつを集めろ。俺もこれから殲滅しながら集める。分かったな」


「分かった。頼む。」


少しでも生きているやつを見つけてはアメーバを倒しては門へ誘導して、門の周りを掃討しながらストーンウォールの周りへとファイヤーバーストを放っていく。全部は出来ない。可能な限り飛び回って行った。


「これで全部か?もう待てない。全員で逃げるぞ。俺が道を作ってから門を壊す。火の中だろうが我慢して走りぬけろ。それしか生き残る道は無い、分かったか。」


目に付くけが人をレベルの上がったヒールで癒していきながら叫ぶ。もう限界だこの人数だけだな。

壁を作っても火の海にしてもアメーバは限りなく湧いてくる。全部で700人はいるが4分の1しか生き残りっていない。しかし、どれだけ生き残れるのやら。

ここにいても生きて領都にたどり着けるかもわからないしな。


東門の上を飛び越えてファイヤーバーストで一直線に爆撃していく。アメーバが少なくなるあたりまで終えるとまた門まで戻り、火の燃えている中を両側にストーンウォールで壁を作っていく半分ほど進んだとこで火が引いていく。まだ道は完成していないがしょうがない。東門を刀で斬り壊した。中からわらわらと出てきて全速力で皆が走る。ある者は怪我をしている者を担ぎ、ある者は肩を貸りて走る。兵士が奴隷を助け、奴隷が兵士を励ますなど今しか見れないだろう。死線にともに立つ者同士の連帯感が見えた。


少しでも助けてやりたいと思い必死に道を作って誘導したが後半で左右からアメーバが溢れてきて、安全地帯に着いたときには550人ほどまで減っていた。


「俺はまだ助けらるやつを探すために戻る。お前らはさっさと逃げろ。せっかく助けたのに死ぬなんて許さんぞ。さっさと領都まで走れ」


生き残ったやつらを逃がして再び開拓砦に戻る。楽勝だとなめていたが相当に厳しい状況だが。助けれた人数が少なかったのが残念だ。

救助はしたから次はゴーストの召喚だ。一人では厳しい。ゴーストがどれほど役に立つかは分からないが一人よりはましだ。使えなければすぐに新拠点に送ればよい。


アメーバを倒しながら砦の中に向かう。途中で数匹のアメーバに取り付かれ捕食されているビーストを発見した。


アメーバを追い払うと全身のあちこちが溶かされていた。表面が爛れて足の一部は骨が露出し始めているが、まだ原形は留めている。どのみち溶かされて食べられるんだ死者を冒涜する行為だが、鬼兵旅団の糧になって貰おう。


遺体に手をあわせながら、ゴースト召喚と念じると…


”ゴーストを召喚しますか?”


召喚だ。


”スキルを付与しますか?”


付与するからリストを出してくれ。


”スキルをリストから選択して下さい”


火の魔術

風の魔術

土の魔術

水の魔術

占星術

呪術

隠密

同化


やはりスケルトンとは全く違うな。基本は魔術系で直接戦闘系はないな。実体が無いって事だろうな。数は少ないが面白いそうなスキルばかりだが、ここでは火の魔術がいいだろうな。


火の魔術を付与して召喚だ。


遺体の下に展開していた魔法陣が上方にせり上がり光を放ちながら消えてくとその中からゴーストが出てきた。


黒い靄のような体で、小さな手はあるが足はなく下半身は途中から無くなっていた。フワフワと空中を浮かぶゴーストの顔は目と口だけが真っ黒くなっているだけで表情は無いが額にはきちんと角が生えていた。胸の当たりと思われる部分にはスケルトンと同じ神核がある。


魔術で遠距離攻撃が出来る兵が増えたので、これから旅団の作戦の幅が広がるなと思いつつ残った遺体に感謝する。



「助けてやれなくてすまなかったな。お前の犠牲は無駄にはしないから安らかに眠れ。それにしても、なかなか厄介な召喚だな。」


遺体はそのまま消える事も無いので召喚に気付く者はいないだろう。しかし、気軽には増やせないな…

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