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12 リーゼッヒ商会

アレスト領 第三の町 ハロルゼ


王国の西端に位置し、モンスターの領域である大森林の恩恵を受けて発展した商業都市。

主要な産業は大森林より切り出す木材、モンスターの素材と魔石、平原に広がる穀倉地帯の穀物の輸出。

アレスト領全体の共通した主要産業でもあるが、ハロルゼは主に王国北部向けの生産・供給の基点となっていた。


町の大通りの中央に店を構えるリーゼッヒ商会のハロルゼ支店にやってきた。

リーゼッヒ商会の本店は領都にあるが王国内外に多数の支店と広大な商圏を持つエルフ中心の巨大商会だ。支店といえどハロルゼで一番の規模と賑わいを見せていた。


昨日の朝、拠点を発ったあとメキロ村で物資を卸してからそのままハロルゼに向い街道を走った。背嚢には売り込むサンプルの商品を詰め込んでいる。今回はスケルトンの護衛は連れてきておらず単独での旅だ。

毎日行っている訓練と実戦で修行を積み、剣術と魔術のレベルは上がっており町に行く程度は問題ないだけの自信を付けていた。


町に着いた後は食堂で昼食を食べ、情報収集がてら様々な商店を見て回った。値段は高めだが評判の良い宿を教えてもらったので、部屋を取りハロルゼでの拠点を確保した。宿は朝・晩の食事が付いて銅貨30枚とそれなりの値段だが快適な宿だった。半日歩いて町の様子や物価などが概ね把握できた。町は貧富の差が大きく物乞いや孤児も多く見られた。”スラムには近づくな”と皆が口にする。

ワーロックはこの規模の町でも珍しいようで多くの視線を集めることとなったが、面倒ごとにはならなかったのが幸いだ。むしろ女性からは熱い視線を向けられることも多かった。イケメンとは素晴らしい。


夜は酒場で地球には無い酒を楽しむことができた。隣で飲んでた商会で荷降しをしている熊獣人のおっさんたちから仕事の話や、憧れの高級娼館の情報を教えてもらった。

かれこれ20日程…森の中でひとりで過ごしていたのでにぎやかな町で人肌恋しくなった。おすすめの店に赴いた。高級娼館で美人エルフさんとお知り合いになれた。初めての息子様の運動会は想像以上の結果で大満足。高級娼館の料金は銀貨1枚と驚きの金額だが、金額分のサービスだった。

別に邪な気持ちだけで行った訳ではない。もちろん行きたかったのもあるが情報収集のためだ。


日本でも地元ではない旅先の町ではガイドブックやネットに無い情報を集めるには夜の町が一番で、毎回おこなっていた。それなりのランクの店は客とともに情報が集まる。今夜も多くの話を聞けた。それだけではなく、日本仕込のテクニックのおかげで美人エルフさんからデートのお誘いを受けた。

翌日は町を案内してくれて、オススメのレストランで優雅な美味しいランチも出来た。これこそ生の情報だ。


そして手を振り去って行く美人エルフさんを見送って、リーゼッヒ商会ハロルゼ支店に来たのだ。町での評判や、商人の情報でも怪しいところは無く、取引をしても問題はないようだった。立派な正面の扉の脇に立つ門番に声をかけた。


「ペルセ・アースと申します。モンスター素材の取引をするならリーゼッヒ商会と聞きましたので参りました。担当の方へお取次ぎいただけないでしょうか。」


「いらっしょいませ。ようこそおいでくださいました。それでしたらこちらからお入りください。入りまして右手に受付のものが居りますのでお声かけ下さい」


と扉を開けてくれる。丁寧な対応だ。従業員の教育で店の質が分かるな。


店内に入ると落ち着いた雰囲気の中にも熱気があり、皆忙しそうに働いている。エルフの受付嬢に紹介状を手渡して取次ぎを頼むと二階の応接室に通された。すぐに美味しい紅茶と菓子が出された。菓子は日本のものと比べると素朴で数段劣るがこちらでは高級品でり、比較すること自体が間違いなのだろう。

一体どんな紹介状だったのだろうという丁重な対応だ。



「失礼します」


しばらくするとノックの音がして聡明そうな男性エルフが秘書らしき女性エルフとともに入ってきた。

俺は立ち上がり


「はじめまして、ペルセ・アースと申します。突然の訪問にも関わらずお時間を頂きありがとうございます。」


「ようこそ当商会にお越しくださいました。私はリーゼッヒ商会ハロルゼ支店を任されておりますセブンス・マーシャンと申します。以後お見知りおき下さい。どうぞおかけ下さい。」


ソファーに座りあれこれ世事を話しながら観察するが、やり手の支店長のようだ。

いきなり支店長対応とは驚いたがひるむことはない。商談は日本で散々やって来たのだから。


「お茶のおかわりはいかがですか?当商会自慢のオリジナルの茶葉ですので。」


「ありがとうございます。こんなに美味しい紅茶はなかなか飲めませんからね。それにしてもよい商品を扱われておりますね。私の商品ではご満足いただけないかもしれませんが見て頂いても宜しいですか?」


そろそろ本題に移ることにした。


「こちらが現在、私がご提供を検討している商品のサンプルになります。私はメキロ村西方の大森林を拠点に修行の為モンスターを狩り素材を集めております。商品はモンスターの素材や魔石を中心に薬草や加工食品になります。獲得の出来る量が膨大なため、定期的に卸せる商会を探しております。将来的には増産はもとより新たな製品開発や新分野の開拓も考えております。」


「どれも低位モンスターの素材では有りますが解体や処理がきちんとしてありますね。低位モンスターの素材と侮られる方もいますが、日常的に大量に消費される必需品ですので当商会にぜひとも融通していただきたいと思います。現状でいかほどの量を安定供給していただけますでしょうか?それと今後の事業計画についても詳しくお教えいただけますか。当商会から資金はもちろん物資や人員など様々な援助が出来るかと思います。」


「ありがとうございませす。供給量は最低でも1日に魔石1000個。最近は平均して1500程となり、素材は多少の違いがありますがそれに準じた量を各種提供可能です」


「日々ですか?」


「はい、それと現在も増産は順次行っておりますが現在の拠点のみでは魔石3000ぐらいが限界とみていまます。まずは事業として輸送を行いたいのです。どのようにして獲得しているのかをお教えできませんので拠点での受け渡しではなく、こちらに運んでの取引を希望しております。今後の計画は需要にもよりますが領都への供給及び供給拠点の新設。大森林の木材や大森林開拓地での農作物の商品化。需要が有る物は積極的に扱っていこうと思います。基本はモンスターの素材を売りたいというだけです。それ以上はご相談次第でとなります」


「戦争によって資源が不足しているので有りがたい事です。供給していただける商品全てリーゼッヒ商会が責任を持ちましたお引き受けいたします。こちらへのご要望は有りますでしょうか、支援は惜しみませんので遠慮なくおっしゃってください。」


「それでは、輸送手段の確保を。具体的には魔車と御者用の奴隷を購入したいのですが。資金は金貨10枚を用意しました。」


「お任せください。すぐに手配いたしましょう。金貨50枚までであればすぐに融資も出来ますがいかがされますか?」


「ありがたい申し出ですが所詮はハンター、明日の命は分かりませんので手元資金のみで考えております。」


「承知いたしました。それでは詳細を詰めましょう。魔車と奴隷は当商会でお世話させて頂きますので明日の朝に案内の者を宿までやらせます。」


すべて終わったのは夕方。ヘトヘトで宿へ戻ると案内をしてくれた美人エルフさんが待っていましたとばかりに癒やしてくれる。今晩の約束はしてないのに。


支店長よ、宿も美人エルフも話していないぞ!一枚上手ですな敏腕商人!


侮れないけど…ありがとう………あっ

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