こんばんはミケですが
主人公の言葉遣いが酷いです。
男性でもこんなに悪くないってくらい。
話の都合上、方言が出ます。
もし、わからない言葉や、間違いに気づかれた方、教えてください!
どうして…
どうしてこうなった!!
現在私は、職場で強面と評判の同期と小洒落たバーでお酒を飲み交わしております。
それはもう、さっきから強めの酒を飲んでいるとは思えない平然とした顔で5杯目の酒を飲んでいる。
くそぅ…記憶飛ぶぐらい酔ってくれることを願って誘ったのに…。強いのかよ酒。強いのは顔面だけじゃないのかよ!
もちろん、酔わせて押し倒そうなどという考えからの行動ではない。とりあえず今日の記憶が飛んでくれれば万々歳なのだ。
事は1時間前に遡る。
私は、仕事帰りに弟の友人と偶然会った。
大学進学で、こちらに出てきたというそいつは彼が小学校低学年の頃からの付き合いだった。所謂、幼馴染みである。
私は5歳離れた弟達の相手を良くする、近所でも評判の良いお姉ちゃんだったのだ。色々な遊びに付き合ってやった。それこそ冒険ごっこや、ヒーローごっこまで。年子の兄と共に。
男の子の遊びばかりじゃないか?
みなまで言うな。遊び相手は、弟とその友達と兄である。女の子の遊びなんてしてくれるわけがない。
近所に住んでいるのは男の子ばかりだったので、私は女の子らしさとかけ離れた幼少時代を送った。
そんな弟の愉快な仲間達の中で、こいつは未だに弟と仲が良く、私ともちょくちょく連絡を取り合うような仲だった。
大学進学の事を教えなかったのは、ちょっとしたサプライズのつもりだったそうだ。
その気安さから、方言に戻って砕けた口調になるのも仕方がないというものだ。
「ほんと、久しぶりやのう。あの文字も読めんかったチビ助が、大学生になったとは時の流れを感じるよなぁ」
「ミケ…。相変わらずオヤジ臭い口調やな。そんなんで社会人として大丈夫なんか?ミケ次郎が心配よったぞ」
ミケ次郎とは弟の渾名である。三池という苗字の「三池=ミケ」という在り来たりな渾名に大次郎という名前の「次郎」をくっつけただけのもの。
因みに私は「ミケ」兄の俊太郎は「ミケ太郎」である。何故私がミケかって?千春という名前にミケを引っ付けづらいからだ。なんだ「ミケ春」って。
「煩え。私だって場は弁えとるわ。会社では大人しくて可愛いミケちゃんじゃ」
「うわ、超猫被りー。ミケだけに…」
「てめぇ、あんまり生意気な事言ってると、その耳からぶら下がったピアス引きちぎるぞ」
その言葉にヒッと耳を押さえる元チビ助。
はっはっは。私の身長でそのピアスまで届くわけなかろうが。まだまだ青いな。身長ばかりでかくなりおって。けしからん。
「まぁ元気ならよかったわ。ミケ次郎にも伝えとく。たまには実家帰ってやれよ?」
「んー。父ちゃんの説教が待ってると思うとなぁ。年末には帰るけど…」
「親父さん、寂しがっちょったぞー」
父は、この言葉遣いやらなんやら説教が趣味なのかというくらいしつこい。私も何とかしようとは思っているのに。今は亡き母に似た容姿の愛娘の口から出る品のない言葉が許せないらしい。この言葉遣いの大半は、父からうつったものなのになぁ…。
でもまぁ、年末前に帰ってやっても…。
「『あのぐうたら娘、どうせ休みの日も暇なくせにさっさと帰って来いっちゅうんじゃ。会ったら言っといてくれや。』って実家出る前に言われた」
「『うっせーんじゃクソ親父。ぐうたらは余計だっつーの。あー忙しくて帰れんわー。』って伝えといて」
…よーし。絶対帰らん!
むしろ年末になっても帰らんぞクソ親父!!
安心していただきたい。三池家ではこんな会話が通常運転である。断じて喧嘩ではない。コミュニケーションだ。
それを知っている元チビ助は、その言葉に苦笑しつつ年末には帰るように誘導する。
「相変わらずなことで。そーいうのは自分で帰って伝えてくださいな。俺、伝言係じゃねえし」
「むぅう、わかったよ」
「ところでさ」
「ん?どーした?」
急に真顔になったそいつを不思議に思って私も真顔で見返すと、私の後ろを指差した。
「その後ろの人、もしかして知り合い?」
人を指差してはいけません。
そう思いながら振り返ると件の同期、坂下虎が立っていた訳だ。私を見て唖然として。
あ、詰んだ。
そう思いつつ、元チビ助に別れを告げてこの男を飲みに引きずり…誘ったわけである。
元チビ助の別れ際のニヤニヤした顔に怒りが湧いたのは仕方無かろう。あいつ、いつか締める。
そして、それから注文以外の会話も無く黙々と飲み続けている訳だ。潰れたら困るけれど、会社では秘密にしていたこの性格を知られたと思うと飲まずにはいられない。シラフでやってられるか!
ただ、私は酒が弱い為アルコールの弱めのチューハイの1杯目であるが。奴とのペースに差がありすぎる!!