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【更新】迷子から始まった異世界冒険譚【無期限停止】  作者: 音燕
第1章 ~出会い、そして迷子~
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07―二日目・親子の絆―

R15について結構迷ったんですが残していくことにします。

この小説を書いていることを友人にカミングアウトしたらばったり返信が途絶えました。

無反応ってあれですね、一番怖いです。


見渡す限り草一面の草原、遠くには馬の群れ、数羽の鳥が夕焼け空を羽ばたく景色――


リョウはひとまず心を落ち着かせると老竜の頭に手を載せた。

『天よ。』

『私が今から行う事を見届けてほしい。死にゆく命と新たな命、彼らをつなぐ懸け橋とならんとするこの行為をー』

リョウの足元から金色に輝く魔法陣が生まれる。それはリョウの足元に置かれていたいくつかの魔石に込められていた魔力をすべて・・・吸い上げる。リョウよりもレベルの高いサラ達が貯めた魔力、それが無くばこの時点で失敗だっただろう。


魔法陣がひときわ輝き、二つに分かれる。


『わが目の前に存在するは古より生きし竜―』


老竜の真下へと魔法陣が動く。老竜は目を開けてリョウを見つめる。リョウが老竜と卵を害するつもりではないことが分かっているような、そんな穏やかな目だった―


『そしてわが目の前に有るはかの竜の血を受け継ぎし時代の卵なり―』


卵の下に魔法陣が移る。魔法陣は一際まばゆく煌めき―再び金色に輝いていた。


見ていたローたちはそれを見て安堵した。もしも血が繋がっていなければ魔法はこの時点で瓦解し、老竜と卵は死に、リョウもリバウンドで結構なダメージを受けると聞いていたからだ。


二つの命を繋ぐ禁術はなおも続く―


『わが名は地球では如月亮という人族であり、ファンタジック・ワールドでは竜人のリョウであり、今この世界でもリョウとして生きし竜人なり―』


リョウの足元に魔法陣が生まれる。その色は夏の青空のように澄んだ蒼色の線で彩られていた――


『私は彼らのことを知らない―』

『なれど私は天に請い願おう。かの竜の命を懸けた想いをその子に繋ぐ許しを―』


天から降りた1本の金色に輝く線が老竜の胸に刺さり、貫通してリョウの手に渡る。


リョウはそのを卵に近づいて巻き付け、老竜と繋げる。


『老竜の全てを次代の血脈へと繋げん―!?』


3つの魔法陣が煌めく。老竜から様々な色に煌めく光の玉が大量にあふれ、糸を伝って卵に流れ込む。そしてリョウから急激に魔力が失われ立っているのも苦しくなる。

ローたちが周りを警戒しつつも想定外の事態に動揺している最中、大鷲―アイン―がリョウの肩に留まりリョウに魔力を譲り渡す。


その一方で光の玉がほぼ老竜の身体から抜け、うっすらと透けたもう一頭の老竜が実体からずれて現れた。


魔力供給を受け態勢を立て直したリョウは術の締めへと、そして老竜への謝罪をせんと口を開いた―


『これにて貴竜の知識と想いそして全てを、わが名において貴竜の子に譲り渡した―竜よ、許しを得なかったことを謝ろう』


透明な老竜がリョウを見つめる。そしてリョウだけでなくサラ、ロー、アル、ハルの頭に澄んだ声が響く―


『構わない―まさか古の術でわが子に我が全てを譲り渡して逝くとは思っても居なかったが―それもまた運命というものなのだろう―』


『この子はお主らに預けたい―孵ったのちかの子がいかなる事を望むかは分からぬがけしてお主らにその牙を向けはせんだろう―どうかかの子が独り立ちできるまではその世話を頼みたい―』


「外からで伝わるかは分からんが請け負おう。我が名ドワーフのロー、異なる世界で『法』という意味合いを持つ名に懸けて。そしてそれはここにいる5人の総意だ」


術式外からのローの声の呼びかけに驚くリョウをしり目に―


『ありがたい。主ら5人に我らが竜の祖、王竜の加護のあらんことを―』


『残る我が肉体は貴殿らに―これからの助けとなろうー』


透けた老竜は卵の元へ行くとその翼で一度卵を覆い、最後に一言残して消えていった。同時に3つの魔法陣も弾けて消えた。



後に残ったのは生気を失った竜の身体、魔法の影響を受けて未だに光り続ける卵―少しずつ落ち着いているが―とその前に立つリョウ、そして彼らを取り囲む4人だった。


4人は近づいていいものかどうか迷っていたが急にリョウが崩れ落ち地面にorzの姿勢になるのを見てあわてて近寄った。


「ちょっと大丈夫!?」


「なんかものすごい展開でしたけどHP大丈夫ですか!?」


「小僧生きてるか!?」


「よくわからなかったけどとりあえずすごかったにゃ!」


一名を除き皆リョウの体調を気遣ったが…


「さ、最後におっさんにかっこいいところ持ってかれたっ…!ローが法だとか何その無駄にかっけぇ由来…!中二病かっての…!」


どこまでも残念な男であった。


「いや…まぁ現実では法律関係者…つか一応しがない裁判官だし?そこら辺から取ったんだが…」


驚愕の新事実発覚。おっさんは超エリートコースであった。なぜゲームをやっていた。そしてなぜ鍛冶師を選んだのか。


「くっそ文句言ったら更におっさんがかっこよくなっちまった…!現実でも法律家か…!」


「…ローさんが意外でしたけど、とりあえず体調はどうなんですか?」


さらりと流すアル。この男冷静すぎである。


「あ~、まぁとりあえずは大丈夫?アインが魔力くれなきゃ魔力枯渇でHPも危険域に入っただろうなぁ」


「アインすごいのにゃ!そしてモフモフなのにゃ!」


「卵は大丈夫なのかしら?光がだんだん消えてるんだけど…」


「あー、消えるまでは触んない方がいいって本には書いてあったな。ええっと…あぁ、継承した記憶を定着させるまでは光が続くから不用意に触るなだってさ。消えたらセットの毛布とかでくるめばいいだろ」


「ん、なら料理と野営の用意すっか。ハル、アインは置いといてここで野営の用意をすんぞ。手伝え。アルはイノシシ肉を焼き始めてくれ。サラは精霊魔法で結界を張ってくれ。一晩持つ程度で頼む。リョウは…大丈夫そうだし馬車を追加で出して俺とハルと一緒に設営だ。」


さすがエリート。この集団のリーダーをやっているのも頷ける。


「はーいにゃ」


「焦げても怒んないでくださいねー。あ、リョウさん、『キャンプセットB+(笑)』お願いします」


「エロ本燃やして鑑定したら『キャンプセットB+』になったんだしもう『セットB』とかでいいじゃない…半径20メートルぐらいにするわね。」


「鬼畜…そして指示出すおっさんがかっこよすぎ……あとサラ…エロ本の恨みは忘れん…覚えているがいい……」


「はいはい問題がないならとっとと働きなさいな」


「へーい…」


―――その夜は5人が卵と老竜を囲みながらローとリョウのやり取りで場が盛り上がった――


――リョウが一方的に沈んでいただけであったが…――



短いですが老竜編終了。

次回は9/1の正午に予約投稿します。

数話かけてこの物語でいろいろと深く関わってくる話を出していきます。

誤字脱字や、感想待ってます。

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