??―遭遇の影響―
遅れました…!すみません、執筆終わりかけでデータが吹っ飛んで…心が一瞬折れました…(´;ω;`)
とある建物の中…一人の白髪の老人が部屋から出てきた。それとほぼ同時のタイミングで幾分離れた場所にある扉から今度は赤髪の老人…と言うよりはもうそろそろ還暦に入るかという風情の壮年の男性が出てきた。彼は白髪の老人を見つけるとその方向へと足を向け…
「おう、ハクオウの爺さん、どうした?めったに部屋から出てこねーあんたが出て来るなんぞ…こりゃあ天変地異の前触れか?」
「ふむ、セキオウか…お主こそめったにここに来ないではないか。儂もその質問をそっくりそのままお主に返そうではないか」
「あ~、俺ぁ迷宮の様子を見に来ただけでなぁ…たまには見に来ねーとぶっ飛んだ難易度になっちまうじゃねぇか」
「あぁ、そういえば定期確認の義務もあったんじゃったのう…儂はちょいと面白い事案があったのでな、龍王陛下に報告しようかと思っての」
「ほう…?お主がそこまでして動く事案とは…俺にも教えてもらえねぇもんか?」
「ふむ…どうせなら上の『茶室』に行こうではないか。ついぞ例の所からやっと入れて貰えたと言うではないか」
「それ50年は昔の事だろうが…あんたやっぱり知識馬鹿だわ…」
「まぁ儂らの種族的にはそこまで昔の事ではあるまい?」
「そりゃな…竜からさらに上『龍』にまで到達した奴の寿命なんてまだ分かんねぇんだろ?…まぁそんなことはどうでもいい、とっとと行こうじゃねぇか」
所変わって畳張りの床、周囲には障子や壁が張り巡らされ、その片隅にはシュンシュンと音を立てる茶釜があり…その部屋の中央に先ほどの二人が座っていた。
「…茶室に来て何で茶を飲まねぇんだ?」
「点て方まではまだ知らんでの…ところで先ほどの話に戻るがセキオウ、お主は『割断』のスキル保有者を気にかけておったの?」
「おう。基本戦闘系だな。…ハクオウの爺さんは…色々な分野にあったな?『跳躍』に『覇天』などだったっけか?」
「うむ。まぁそれぞれのスキル所有者は取得した段階で各スキルの取得者を記した技能歴巻に記されるから何人所有者がおるか、その名前は分かっておったんじゃが……『図書館』は覚えておるか?」
「はぁ?『図書館』って―と…あれか、レベル100超えた奴が所有すると急に化け物になって洒落にならん戦闘力を持てるようになるスキル」
「うむ。かっては龍王様が直々に制圧に出るほどだったというからそのすさまじさは想像を超えるのう…最も反動に耐えきれず使用する度に寿命が削れて行くんじゃが…」
「長命な竜が取得すると笑えねー奴だよな…まぁ俺の『割断』や『武』も同じなんだけどな。…って―ことは現れたのか?」
「うむ。じゃが奇妙でのう…技能歴巻は取得した順に記されるのは知っておるじゃろう?そして初期の取得者の名前は空欄になっている…まるで存在が消えたかのようにのう。そしてそのほかの箇所も初めの方に空欄が非常に多い」
「おう、それは俺の管轄する『割断』などもそうだな。で…それがどうかしたか?」
「一か月ほど前かの…空欄に名前が浮かんできたんじゃよ。それを皮切りに他の空欄でもいくつか浮かんできた名前がおる」
「はぁ!?技能歴巻に存在する空欄…発見された時から空いてたところに名前が浮かんで来ただと?んな事今までにあったのか?」
「あるわけが無かろう。故にすぐ龍王様に報告して、その後色々調べておったんじゃ…。それでじゃな、現れたのは一般・特殊多くのスキルの技能歴巻に及ぶんじゃが…その中で特殊スキルの『図書館』スキルは異常じゃった」
「なんだと?異常?」
「うむ。…それぞれの技能歴巻の最も上に位置する名前は技能創成者であるのは知っておろう?そしてその全てが空欄であることも…じゃが、『図書館』の技能歴巻で名前が浮かんで来た場所は技能創成者の所だったんじゃ」
「んなっ…!あり得ねぇ!創成者…つったらそれこそ何百、何千年前の話だよ!?昔から存在するスキルの創成者が現在に現れるとかあり得ねぇよ!死んでいるのが普通じゃねぇか!?」
セキオウが勢いよく立ち上がりハクオウに詰め寄る。が、ハクオウは手で座るようにジェスチャーをし、セキオウも気まずげに座り直した。
「…んで、それが一ヶ月前の話か?」
「うむ。…少し変わるが覚えておるか?我らが同胞シゲンを」
「あぁ、一か月ぐらい前に急に生命反応が消えて…あいつもここに居ることも竜から龍になることも、いろんな面で進化の資格は持ってたっつーのに。龍となりゃあその寿命はほぼ無限…いくらでも語り合いたかったてのによ…」
「まぁあ奴なりの考えがあっての事じゃろう。…そうかお主とは気が合っておったのう…。…あ奴が死んだ後に代わりとして儂が特例で迷宮を作って管理しておったんじゃが…」
「あ?ハクオウお前今でも結構手一杯じゃねぇか?……そうかお前なりの奴への手向けって奴か?」
「うむ。あ奴が最後に居った地、そこが魔物の地になってほしくは無かったからのう。…話を戻すがそこに例の『創成者』が初の迷宮踏破者の一人として来たんじゃよ」
「…生きていたのか…?」
「うむ。それも未だ若々しい青年じゃった。…普通はあり得ん事じゃろう?その時は気付かなんだが、その青年…名前は『リョウ』と言っておったがレベル100を超えたばかりの竜人だったのでな、『竜化』で儂らの国に来ないか誘ったらすぐさま返答してきてのう…その時に名乗ったのが技能創成者と同じ『リョウ』じゃった。元々雰囲気が妙に歪んでおったからもしやと思い『魂の逢瀬』で接触してみたところ…」
「『図書館』の持ち主だったって訳か?…同名と言う可能性は?」
「あり得ぬ。『リョウ』という名で『図書館』を持っておるのは技能創成者だけじゃ…さらに言うとそれだけじゃなくての、彼の『図書館』には監視者…というか管理人とも言うべき別人格が存在しておった。そ奴のおかげで魂や寿命の摩耗を抑えられたようじゃ」
「…スキルの中にか?」
「うむ。間違いなくスキルの中にじゃ。それだけじゃなくての、儂が視たところかの『図書館』は知識の集約所と言うだけではない…実際に図書館内そのものの空間も作り出せるようじゃ」
「はぁ!?」
「本当の事じゃ。まさしく異空間とも呼べる代物じゃ…。特殊スキルの中に別空間を生み出す『異空』があったがまさしくそれに近いの。蔵書の保管や管理等に特化しておるようじゃったが…」
「…かぁっ!っとに何で『剛力』とか無害なスキルが存在していたり『覇天』や『割断』のように魂の摩耗や寿命が縮む有害なスキルがあったり果ては別人格や異空間生成の『図書館』…!『特殊』スキルの混沌さはどうなってんだよ!」
「以前陛下が言っておったではないか。『「特殊」スキルは「一般」とはその存在や成り立ちなど「そのもの」が違う。全てそれぞれの「想い」や「祈り」、「覚悟」が生み出している。が、それゆえに非常に大きな反動や制約を受けておる者もいる…お主らの探索でそのような者たちを見つけ、かのスキルを抑えたり調節して欲しい』とのう」
「分かってるよ…だがな、こんなぶっとびスキルもあるとかおかしくねぇか…?」
「まぁそこら辺は仕方なかろう…想いというものは時として非常に強力な原動力になり得るんじゃから…」
「はぁ…で、結局そいつはうちに来るのか?」
「分からんの。じゃが竜王国には来るはずじゃ。儂直々に『竜化』を授けると言うておるからそこについても陛下に言おうと思っておっての」
「なるほどな…それで全部か?」
「む?…一応陛下に報告することはこれぐらいじゃが」
「ならハクオウ、お前はすぐに自室に戻って休め。てめーの代わりに俺が陛下に言っとくわ…ていうかお前『魂の逢瀬』使ったんだろ?その分を引いても尋常じゃねぇレベルでお前の魂が疲労してんぞ…」
「ふむ、さすがに同じ龍同士であれば分かるか…うむ、全くその通りじゃよ。『特殊』の技能創成者の力に触れるのがここまできついとは思っておらんかったわい…助言に従って部屋で寝るとしようかのう…」
「おう、そうしとけ。いくらここじゃあ死なないことになっていることに加え、もともと寿命の果てが見えない龍…だがそこまで摩耗してるのは危険だろうよ」
「まさか戦闘馬鹿からそこまで言われるとはのう…儂も寿命かの。…ではの」
「誰が戦闘馬鹿だこの爺…じゃあな」
ハクオウが光に包まれ消えた。セキオウはさほど驚いた顔もせず考え込み始めた。
(ふん、あの爺、まだまだ寿命はある癖しやがって…きちんと聞いたことは余さず陛下に報告しておくぜ。あのお方が怒ると金色の目が細くなってそれはそれはおっそろしいからなぁ…。
しかしあの爺があそこまで弱るなんてめったに見ねぇ…そこまで『特殊』スキルはすごかったか?そこまでじゃなかったような気が…いや『技能創成者』だからか…だがなぜ今ごろになって名前が現れた?
この世界に存在するものがスキルを得たならば必ずその名前が『技能歴巻』に書き込まれる…たとえ死んだとしてもその記述は消えねぇ。この世界に生きる限り消えたりまた現れたりするわけがねぇ…)
「待て、|この世界に生きる限りは《・・・・・・・・・・・》だと?この世界…じゃないところじゃなかったらどうなるんだ?その場合は…多分記述されない…か?そういえば部下からの報告で『異世界キター』って騒ぐ馬鹿が居たので戦って懲らしめたって報告があったな……『異世界』だと?一笑に付していたが……もしこことは異なる世界が存在したのならその考えもあながち間違いではない…」
更にセキオウは考え込む。
「よく考えろ、俺らが迷宮を管理しているのは世界中に存在する迷宮のほんの一握りだ。だが、それで世界の魔力脈のコントロールが行えた…だが最近はどうだ、迷宮が急に生まれたり、逆に消えたりしている…いや、消えている方が多いのか?
そのほとんどがこの一年以内だ…例の『異世界キター』馬鹿もこの一年以内だったか。…匂うな、何か大きな変化が起きてやがる。『特殊』スキルはあながちその名前におかしなことはねぇ…本当に『特殊』なんだ。『一般』スキルじゃ出来ねぇことだって出来る。
ましてや作った本人ならよりその力を深く把握しててもおかしくねぇ。…技能創成者が異なる世界…異世界に行っていたという事もあり得るんじゃねぇか?
例の『リョウ』だっけか、『図書館』の技能創成者は青年だった…世界を越えられるんなら年齢なんざ自由にできても何ら不思議はねぇ」
おもむろにセキオウは立ち上がると茶室から出、廊下をゆっくりと歩み始める。
「何はともあれ陛下に報告だ…そういやあの茶室を入れてくれたとこは大陸の反対側のさらに先…ジパングにもつながりがあるんだっけか。…そこにもいろいろ聞いてみるか」
セキオウは廊下の先、非常に広大なホールに出、その中央に存在するこれまた巨大な階段へと歩みを進めた。
「『図書館』の『技能創成者』、リョウ…おめーがどんな奴か知らねぇが、お前に何かがあるのは間違いねぇ。……早く竜王国に来やがれ。お前のスキルが得体の知れねぇものなのは分かる…が、なによりその『図書館』に収められてる知識は一体何なんだ…?技能創成者の知識なんざそれだけでおっそろしいぜ…俺らの知らない知識があってもおかしくねぇ」
そして階段の先に広がる赤いじゅうたんの敷かれた廊下をつきあたりにあるきらびやかで荘厳な装飾が遠くからでも分かる両開きの扉へと一路進む。
「はは、俺もハクオウの爺の探求心が移っちまったか?…普段なら拒絶するが…今回ばかりは俺の興奮が収まらねぇ。ふん、年をかなり取っちまったが…いまだ冒険心が俺にもあったか……。早く来やがれ『リョウ』。お前と会ってみてぇ…そしてハクオウの爺ですら疲労するそのスキルの本質を俺に見せてくれねぇか…?
柄にもねぇが『武』を司る俺の持つ唯一の『知識系』『特殊』スキル、『龍 の 覇 眼』で見させてくれ…俺の悲願に近づけるかもしれねぇんだよ」
一瞬その目を金色に染めたセキオウは扉にたどり着くとノックをする。向こうからは一切の音が聞こえないが、セキオウには聞こえたらしい。一つ頷くと扉を開け、恭しく一礼をすると部屋に入っていく。
セキオウの後ろでは自動で扉が閉まっていった…
「龍王陛下、失礼ながらハクオウからの危急の知らせを持ってまいりました」
「む、セキオウがハクオウの伝言だと…詳細に話してはくれんか」
「もちろんでございます。ひと月前の事を知……
――――――バタン
リョウとハクオウの遭遇はこうしてリョウのあずかり知らぬところで少しずつ世界に大きな影響を与えようとしていた……
ここまでです。ちょっと作者のメンタルへのダメージでかかったので明日は分かりません。…5000字超えてパーになるとダメージが半端なかったです…




