24―きゅーぴっど―
な、難産でした…
かなりの量だったのでかなり遅れました。すみません。明日は多分投稿無理です。
「どあほう!!」
迷宮を攻略した後、リョウ達一行は無事にトラベリアへと帰ってきていた。攻略した二日後に街にたどり着き、その日はそのまま動物の憩い亭で眠りについた。そして翌日、ギルドに行く前にアルの剣を新しく打ってもらおうとローの働いている鍛冶師テッケンの店に来た一行だったが…
「ぐぉっ…いってぇな爺さん!」
「何を言うかこの馬鹿弟子!」
「一応技術は学んでるけど俺は弟子じゃねぇぞ!」
迷宮での話を聞いた直後いきなりローに拳骨が落ちた。
「え、ええと…とりあえず剣を折ってすみません」
「うちもなのにゃ…だから殴らないでほしいのにゃ…」
ドワーフ、それも常に鍛冶を行っている事で鍛えられたそのテッケンの腕力で自分たちも殴られたらたまらないとばかりにアルとハルが謝るが…
「いや、お前さんたちは何も怒る必要のあることはしてねぇよ。問題はこの馬鹿だな…」
「あ、その、テッケンの爺さん、何で怒ってんのか教えてくれるか?」
リョウが意を決して尋ねると…
「あのな、武器っつーもんにはどんな役目が求められると思う?」
逆に問い返してきた。
「えっと…武力ですか?」
「殲滅力にゃ?」
「物騒ね!?う~ん切れ味かしら?」
「かっこよさか?」
「ふむ、たいていはそんな認識だろうな。…ロー、お前にも聞いてやろう。何だと思う?」
「同じドワーフだからって容赦ねぇな…。ん?う~ん頑丈さか?」
「ふむ、全員外れだ。…リョウに関しては『観賞用』という目的の武器もあるから何とも言えんがな」
「え、違うんですか?」
「ああ。そもそもなぜ剣や槍と言う『武力』が必要とされているのか?その答えは『自分が殺される前に殺す為』という一点に尽きる。他者の命を奪うという行為はあってはならないことだが、それ以上に自らの命を守ることは重要だ」
「死んだら元も子もねーもんな」
「リョウの言う通りだ。で、つまるところすべての武器に求められているモノは『使用者の命を守る』に尽きる。ギルドの依頼を受けて魔物やモンスターを狩るのは『生活の糧を得て自らの命を守る』という事に繋がるわけだな。
さて、話を聞くにこの馬鹿弟子はアルの剣が折れた時に怒ったらしいが、結果として剣が折れたことで竜を倒して生き延びられたんだろう?それならば『使用者の命を守った』という事だ。折れた直後に怒るのは仕方ないとしてもすべてが終わった後きちんと振り返らず折れたことで勝てたという事実を理解しなかったのは馬鹿のすることだ」
「だから殴った…とそういうわけかしら?」
「そういう事かよ…今まで何も言ってなかっただろ。何故だ?」
ローが涙目になりつつも尋ねた。
「今のは俺が鍛冶をするときにいつも込めている思いだ。鍛冶をする時どんな思いを込めるのか…そいつはそれぞれの鍛冶師次第であり、なおかつそいつらの道を決める。そしてそれは他の誰が決める事でもねぇ、お前自身が決める事だ。
だがな、お前はアルの剣が折れた時俺に怒られるという事しか考えていなかっただろう?そういうのを馬鹿って言うんだよ。どんな思いを込めていようと『命を守る』という思いは忘れちゃいけねぇ。お前はよくわかっていないようだったからそれなら少し教えてやろうかと思ってな」
ローが目を見開いて固まった。
「鍛冶って深いのにゃ…」
「命にかかわることですからきちんと決める必要があるんだと思いますよ。…テッケンさん、僕の剣を打ってくださりありがとうございました!」
「アル、急にどうしたのよ!?」
「いえ、僕の剣にそこまで深く考えてくれていたんだなぁと思いまして。ならばきちんと礼をするのが筋でしょう」
「はっは!なよなよしていると思っていたが…芯が通ってるじゃねぇか!良いぜ、またお前の命を守れる剣を打ってやらぁ!」
「…テッケン爺さん、今まですまなかった。俺が鍛冶をしている時に感じていたもやもや…それがいま晴れたような気がする」
「……ふん、お前の鍛冶技術はかなり高いがどこか足りてねぇところがあった。だったら師匠たる俺が教えてやる必要があると思ってなぁ。俺が勝手に喋っただけだ。さっき話したことは忘れてお前の道はお前自身が見つけやがれ」
「あれれ?爺さんちょっと照れ隠し入ってねぇか~?」
「小僧…お前も拳骨食らってみるか…?」
「ゴメンナサイ錯覚デシタ」
「爺さん…いやテッケン師匠、俺自身の鍛冶を見つけてみせます!」
「ふん、なら他の街や国に行ってみろ。そこでどんな武器がどんな目的で使われてるのか見て考えろ。…他の奴らも見にいくといい。鍛冶だけじゃねぇ、様々なものがお前らの世界とは違うはずだ」
「…世界?何でおっちゃんがそれを知ってるんだ?」
テッケンがリョウ達の事情を知っている事をほめのかしたことに気付き、リョウが問うと…
「あぁ、以前に俺とハルの二人で話した。今のところこの世界で唯一俺らの事を知っている人物だ。いや~すまん報告するの忘れてたわ」
「うちも忘れてたにゃ…けどにゃ、言っておく必要があると思ったのにゃ。ギルドと違って頻繁に顔を合わせる店仕事となると必然的にこの世界の常識を知らないのが疑問に思われるのが当然だったのにゃ。それなら先に言った方が良いのにゃ」
ローとハルが気まずげに弁解した。
「なるほど、分かりました。テッケンさん、僕らもちょうど他の街に行こうと思っていたところです。ギルドに今回の報告をしてからになりますが…どこかいい場所を知ってます?」
「ふむ…ならばここから北の『トレディア』に行くと良い。商業の街だから多分他の街の情報が一番集まるはずだ。そこで目的地を決めるといいだろう」
「師匠、実はクリスラント竜王国に行くことは決めてんだ。そっちに行くにはどうすればいい?」
「竜王国か…やはり『トレディア』に行くのが良いだろうな。護衛依頼が色々出ているはずだからそこから出来るだけ近いところまで行くものを選べばいいだろう」
「分かったにゃ!ありがとうなのにゃ!」
ハルがお礼を言ったその時、店の扉が開き…
「こっちにローさんとか来てない?……あ、アルさん!いらしてたんですね!」
冒険者ギルドのネリーがやってきた。彼女はアルを見つけるなりその傍に近寄った。
「…ネリーや、なぜそこにいるんだい?……まさかアル、お前が儂の孫娘をたぶらかしたとか言う男だったのか…?返答次第では許さん、そこに直れ!」
テッケンが憤怒の表情に変わり、アルに詰め寄っていった。
「え、ええ!?…ネリーさんのお爺さんって…」
「はい、テッケンお爺さんですよ?」
「うむ、そこのネリーは儂の孫じゃ。…そういえば近頃ネリーがより色っぽくなったとか聞いておったが…お主のせいじゃったのか!?」
アルとテッケン、ネリーの周囲が修羅場と化し、リョウ達は店の外へと逃げだした。店の外にまで届く三人の声(主にネリーとテッケンの声)に辟易したリョウがロー達に聞いた。
「…誰かあの二人の関係知ってた奴居るか?」
「あたしは知らなかったわよ。」
「うちもにゃ」
「そもそも何でごついドワーフの孫がきれいなギルドの受付嬢をやってるんだよ……関係に関しては知らねぇよ。俺が教わってたのは鍛冶だけだってーの」
「アルは断っていたんだったかにゃ?」
「ああ、俺はいつも一緒にいたけど、しょっちゅう告白されては断ってたぜ」
「何度も告白しているという事は断られてるという自覚があったのね…タフね…」
「なぁ、アルはほっといてギルド行かないか?正直ガチ修羅場に介入なんざしたくもねぇよ。というか師匠怖い」
「ネリーもうちらに用があるみたいなこと言ってたにゃ。こっちからギルドに行けば問題ないと思うにゃ」
「じゃあそうしましょう。…アルがかわいそうだけど仕方ないでしょ」
そして四人はアルに向けて手を合わせて冥福を祈るとギルドに向かった。
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「…で、街に帰って来たらまた依頼?本気で受けたくないんだけど」
リョウ達は今ギルド長室でギルドマスターからある依頼を見せられていた。
「その前に今回の依頼の報酬のかさましを要求するわ。迷宮が生まれる可能性なんて一言も説明しなかったでしょう。それにあたしの能力を当てにしていたとか本当に怒っているんだけど?マスターさんはそこら辺どうなのかしら?」
サラが口調を強めてギルドマスターに問いかける。サラの内心を反映してか、精霊が部屋の中に風を吹き荒れさせる。
「おう、そうだなぁ…どうにも意図的に俺らを引っ張り出したみたいじゃねぇか?卵は無事に戻って来たからいいけどよ、よく考えてみたらこっちが頼むんじゃなくてあんたが『うちで預かります』って言うべき事だったよなぁ?俺らがここに来た初日に卵のことは話しただろう?」
「そうにゃ。この中で最高レベルのうちですら一人じゃ勝てないボスが出てきたのにゃ。帰って来た時に宿の女将から町の外に救援要請を出したとか聞いたのにゃ。そこまで大変な事がわかってたのにゃらなんで話さなかったのにゃ?」
「…そういや俺がレベル100未満だってのクロスディアーの解体の場で話しかけてきたときは知ってたよな?俺に死ねってか?」
リョウ達一行がそれぞれギルドマスターに詰め寄る。
「い、いや、ちょっとお主ら本気の殺意を出し過ぎじゃないかのう…?ほ、ほれ、座ることを勧めるぞい…。それと儂の名前はガイエンじゃ。もっと長い名前もあるんじゃが、短いこれで頼むわい」
見てわかるほど額に冷汗を流しながらリョウ達に落ち着くように言うギルドマスターガイエン。実はレベル180なのだが、迷宮で死にかねない目に会った彼らの本気の威圧はガイエンをもってすら恐ろしいものであった。
「え、ええとじゃな…まず迷宮化に関して意図的に黙っておったのは認めよう。まさかそんなに強い迷宮だとは思ってなくての…」
「言い訳無用にゃ!」
「す、すまん!…エルフのサラ殿に関してはの、正直参加に期待はしとらんかった。エルフは色々と面倒くさがり屋じゃからのう…あ、すまん!報酬の割り増しはしよう!40万カクテ増加でどうじゃ!」
「…死にかけたんだけど?別枠の報酬にして一人当たり100万カクテ要求するわ」
「む、むぅ…オウン達にはそれぞれ本来の5万カクテに40万カクテだったんじゃが…」
「甘いわね、確かに迷宮に慣れたオウン達ならそうかもしれないわよ?でもね、あたしらはレベルが低い状態で何の予備知識もなく強制で行かされてるのよ?」
「だな。ついでに言うならここのギルドに迷宮で出たものを出す気はねぇぞ?」
「な、なぬ…?研究のためにも出してほしんじゃが」
「そもそもどんな異変があったか調べてほしいという依頼だったにゃ。回答は『魔の草原に高難度の迷宮が生まれていた』にゃ。提出の義務なんてどこにも書いてなかったにゃ」
「ぐ、ぬぅ…。はぁ、こちらとしても迷惑をかなりかけたのもわかっておるしのう…分かったわい。一人当たり85万に基本報酬の5万じゃ。せめてちょうど90万にさせてもらうぞい。…報酬については受付で受け取ってもらえるようにするわい…」
ガイエンからほぼ満額の回答を貰って笑顔になるロー達。ガイエンが肩を落としている中、リョウが口を開いた。
「…そういえば俺らが初めてここに来た時のあのモヒカンどうなったんだ?受付のネリーさんに聞いても毎回『すいません、調査中です』としか答えてもらえなかったんだが?」
「あぁ、その事かの。…正直なところを言うとの、初期に調査した段階で身元が分かったんじゃ。…分かってしもうたんじゃ…」
「お、おい爺さん、どうした?」
「あの男はの、他国からの流れ者だったんじゃが、そもそもの身分が元貴族じゃった。じゃからギルドの方に予定外の干渉があっての、つい先日お主らが迷宮に行っとる間にこの国の上の者共が身柄を引き取りに来たんじゃ。…どうせ政治取引にでも使うんじゃろ。おうそうじゃ上層部から謝礼金が下りて来とったの。確か一人当たり10万じゃったか」
ガイエンがいきなり立ち上がると部屋の奥の棚から銀貨5枚を取り、リョウ達に手渡した。
「それはさっきのとは別なのにゃ?」
「さすがにそこまでせこくはないわい。合わせて一人当たり100万カクテと言ったところかの。…正直言うとお主らを騙してでも行ってもらったのはそこも絡んでくるんじゃ。お主らに依頼した直前にこの町の上層部の会合があったんじゃが、その時に他の街に救援を求める事を決めた裏で国から引き取りにやってくることも聞いたんじゃよ。
お主ら…特にリョウ君のスキルが異質だというのがばれたら面倒なことになるかも知れなかったから出会わんように時間が一番長くかかりそうな魔の草原を依頼したんじゃ。…結果としてかなりの命の危険にさらしたことは謝ろう」
「…あ~、とりあえず申し訳なかった。ちょっと俺らも気が立ってた。…報酬は貰うけどギルドマスターに迷宮のドロップ品としてこれを渡すわ」
リョウがそういう言いながら銀貨3枚をガイエンの前に出す。他の三人も口々に感謝を言いつつ銀貨3枚を出した。
「って事でリョウも言っていたがギルドには俺ら一人当たり100万って記録しといてくれ。アルに関しては俺が代理でもう3枚出そう」
ローが更に銀貨3枚を出す。ガイエンはあっけにとられたような顔でリョウ達を見るが、一つ頷くと銀貨を受け取った。
「…それはそうとあたし達はこの後テッケンさんの勧めで『トレディア』に行く予定よ。だから悪いんだけど依頼は受けられないわ」
「む、なら逆にちょうどいいんじゃが………ふむ、お主ら悪だくみは好きかの?」
「お、爺さんものすごく悪い顔してやがるな…何だ?」
ローが急に楽しそうになったガイエンに問いかけた。
「お主ら受付のネリーがここにおらん人族に気を寄せておるのは知っておるかの?」
「アルな。バレバレ…というかさっきからテッケンの師匠のところで修羅場になってる。アルとネリーとテッケン師匠の三人で店の中でがなりあってるぞ」
「ふむ、どうやら面白いことになっておるようじゃな…テッケンとネリーの関係は知っとるかの?」
「祖父と孫娘ってのはさっきもめる前に聞いたわよ?」
「うむ…ネリーの両親は元冒険者だったんじゃがの、依頼の最中に亡くなったんじゃ。そこで唯一の親族であったテッケンが引き取って育てておった。大きくなると儂とテッケンの仲という事でここのギルドの職員にしたんじゃが、どうにも色恋沙汰となると奥手でのう。
正直言ってあの子はテッケンの孫であると同時に儂の孫のようなものでもあるんじゃ。そんな儂から見てもあの子があそこまで好きだという感情を表に出すことは無かったんじゃ。じゃから儂としてはくっついてほしいんじゃが…無理かの?儂としてはもう間もなく寿命のテッケンにあやつの孫の晴れ姿を見せてやりたくてのう。」
「うーん、難しいんじゃねぇか?俺の前でアルはいつも断ってるし」
リョウが言うと他の三人も…
「だな。…俺としてはくっついたら面白そうで期待してるんだがな」
「難しいと思うのにゃ。それにアルは変態かもしれないのにゃ」
「へ、変態じゃと…?…じゃがそれでもネリーが好きだと言い張るのならくっついてほしいんじゃが…」
ガイエンが引きつつもなおネリーとアルがくっつくことを希望する。その真摯な表情にリョウ達も…
「どうせなら恋のキューピッドって言うのをやってみるのもいいかしら?でもあたし達もうこの町出ていくのよねぇ…」
前向きに検討し始めた。
「そこでさっきの依頼に繋がるんじゃ。この町が他の街に救援依頼を出したのは覚えておるじゃろ?現状お主らのおかげで迷宮決壊は免れたししばらくは安泰なんじゃが、代わりに向こうに説明をせねばならんのじゃ。
それに迷宮が生まれたことも宣伝しておく必要があると今朝エインから言われたからの、こっちからギルド職員を他の街に派遣する必要が出てきたんじゃが…」
「分かったわ。それにネリーを選んであたしたちに護衛してもらおうっていうこと?そしてあわよくばネリーとアルをくっつけろと?」
「そういう事じゃ。一応依頼としてはただの護衛依頼なんじゃが、それとは別に儂からお主らに報酬を前払いしようぞ」
「…面白そうだな。だが、俺らは『トレディア』に行くんだが?」
楽しげな顔をしながらローが肝心なことを聞く。
「もともとお主らには『トレディア』に行くことを勧めるつもりじゃった。あそこには様々な文化や情報があふれておるからの、例の卵の件も恐らく分かるじゃろう。分からなかったとしてもそもそも竜王国に行けばよい話じゃしの」
「てことは、ネリーも『トレディア』行きって事でいいのにゃ?」
「うむ」
「よっしゃ俺は受けるのに賛成するぜ!ロー達はどうする?あ、マスターの爺さん、計画が成功しなくても文句は言うなよ?」
「先ほど既にネリーには話した。なかなか張り切っておったからの、ぐいぐい行くんじゃないかのう?失敗しても文句は言わんわい…ほっほ」
「手を回すの早いわね…あ、じゃあネリーがさっき店に来たのって…」
「おそらく来てもらうように頼んだんだろうな。ガイエンマスター、依頼を受けよう。今のところ俺らは帰ってくる予定はないから帰りは無理だが…あ、アルが結婚するって言うなら戻るぞ?…ごほん、報酬はどこで受け取れる?」
「うむ、実はギルド間の人員交流と言う名目も兼ねて負っての、ネリーは向こうにしばらく滞在する予定じゃ。じゃから向こうまでの護衛で良いわい。報酬は向こうのギルドで受け取れる」
「なら決まりね。いつ出発?」
「一応お主らの説得がどうなるか分かっとらんかったからの、再指名の時間も考えて明後日にしておった。儂からの特別報酬は銀貨5枚じゃな。」
ガイエンが先ほどリョウ達が出した銀貨の中から5枚抜いて出した。ローが代表して受け取る。
「分かったにゃ。…ものすごく面白そうなのにゃ!」
「よーしアルと見張り番の時間を同じにさせようぜ!」
「あと御者も一緒にやってもらおうかしら」
「いやいやネリーのピンチをアルに救わせるって言うのもありだぞ?」
「無駄な怪我はさせてくれるで無いぞ…?」
「大丈夫だって!んじゃ、またなマスターの爺さん!」
「うむ、頼んだぞい。…迷宮の方の報酬は明日受け取ってくれるとありがたいの」
そして一同はギルドを後にした。
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ギルドを出てテッケンの店へと彼らが計画を練りながら歩いていると道の向こうからげっそりしたアルと楽し気なネリーがやってきた。
「あらあら、もしかしてもうくっついたのかしら?」
「いや、だったら腕を組むなりなんなりしてるだろうよ」
リョウ達が勝手な予想をしているとそこに気付いた二人が近寄ってきて…
「皆さん…良くも僕を見捨てていきましたね…」
「あ、アルさんには承諾を頂いたんですが、皆さんにもお願いしたい依頼があるんです!」
「護衛依頼にゃ?」
「ええ、そうです!」
「知っているんですか?いえ、ギルドに行ったんでしょうし聞いたんでしょうね…僕は彼女の勢いに押されて頷いてしまいましたが、みなさんが拒否していれば大丈夫です。皆さん断りましたよね…?お願いします、断ったと言ってください…!」
「泣きかけの所悪いんだけどにゃ、受けちゃったにゃ」
ハルがにやにやしながらアルに宣告した。
「そ、そんな…!」
「え、本当ですか!あ、あのガイエンマスターからは…?」
ネリーがサラに近寄り、こっそり聞く。
「ええ、聞いてるわ。あたしたちも面白そうだって事で協力するわよ!」
サラがウィンクしながらネリーの言外の『恋の成就の手助けをして欲しい』という思いに応えた。一方アルは…
「え、本気ですか…?」
「ま、次の街までだから安心すると良いぜ!(それまでにいろいろやってやるけど…期待してるぜ!)」
「だな。何日かかるかは分からんが楽しんでいくとしようや(こっちが楽しむ…になるが、まぁがんばれアル。異世界で独身卒業ってのも良いんじゃねぇか?)」
「出発は明後日らしいにゃ!色々頑張れにゃ!(けどうちはネリーを応援するにゃ!)」
「そ、そうですよね!(数日間なら問題ないはず…!向こうで最後に断ればいいんだ!)」
リョウ達の励ましを受けつつ回復していた。彼らの内心は独身生活の終焉の宣告なのだが…
ここまでです。前書きにも書きましたが明日は多分投稿無理です。




