―プロローグ・宿の外は洞窟だった―
初めまして。音燕と申します。素人が夏休みの夜に寝ていたらふっと思いついた作品です。妙にリアリティがあったので書いてみたらそれなりの量が書けたので投稿します。
誤字脱字の指摘も暇でしたらお願いします。
※作者はメンタルが弱いのでオブラートを三枚ぐらいかけてください。乱暴な表現も勘弁願います。
散々書いてますが、気軽に読んでくれれば幸いです。
では、つたない素人作品ですがどうぞ。
パチッ
「……知らない天井だ。……いや何回やってんだこの下り。100は超えてんのは確かか?」
ぼやきながら俺―リョウ―はベッドから起き上がることにする。とりあえず初見の皆には自己紹介しようか。
俺の名前はリョウ。現実世界の名前は如月亮っていう。え?現実世界って何かって?ん~、VRって知っているか?おう、知ってるんだ。なら話は早い。
俺は現実世界ではいわゆる植物人間っていう状態なんだが、思考は普通にできる。いや普通より更に早く考えられたりするんだがそこら辺は割愛しよう。
だって長い上に重い話になるんでな。
まぁそういうわけで俺はVR技術を用いた五感没入型のゲーム「ファンタジー・ワールド」略してFWの世界に住んでいる。サッカーのポジションだと思った奴挙手~
実は俺も最初そう思ってましたてへぺろ。
自分でも若干引いてしまったが、次へ進もう。この世界は非常に様々なプレイができる。騎士になって城勤めのロールをやったりプレイヤーキラーでお尋ね者ロール、まぁ色々あるわけだ。
そんで俺は全世界を回るという事を目的に「竜の樹商会」っていう商会を経営する商人ロール。あれだな、各地を巡って特産品を売りまくるみたいな?
世界を跨ぐ一大商会!…だったらいいんだが残念ながら3つの街に店を出しているしがない商会だったりする。
え?3つの街に店を出しているんなら大きいだろうって?いやいやそれがこの世界は十を超える国が存在していてその中の1つの国にしか出店していないんだなこれが。
まぁ今度『ジパング』っていう島国が追加されるらしいから更に世界は広がるね!夢が遠のいた!…まぁでもどう考えても日本がモチーフだってことで商会の全力を挙げて貿易をする予定。
というかすでに貿易船が完成間近だったりする。資金面からいってもし失敗したら結構商会が傾きかねなかったりする。まぁその時は国にでも船を売るかね。
ここまで言えば結構すごいと思うだろ?でも実際は商会ナンバーツーのNPCの部下に経営を任せて俺は研究や冒険に行ってたりする。まぁその成果でここまで商会が大きくなっているのもあるから勘弁してちょ。
「…あ~、俺は一体誰に身の上話してるんだろ…。傍から見たら変人確定だよなぁ」
―コンコンッー
胴体が茶黒、首周りから上は白、尾が紅色の大鷲が窓の外の樹にとまっている。
「うん?…ツヴァイか?あーコラルの伝書か。お前さんも遠いところからお疲れさん」
リョウは窓を開けて大鷲を迎え入れた。
この大鷲はツヴァイといい、リョウが調教して商会を現在管理させているコラルという部下との伝書鳩ならぬ伝書鷲である。当然コラルからの連絡なのだが…
「へぇ…あれが出来たのか…。あ、ならこんなのはどうだろう。あぁ、それとこういうのも有りなんじゃないか?あーもうめんどくさいしこれもついでに任せちまえ。
実験が増えるけど当たれば高性能の製品になるしいーだろ。…うわ俺への説教来た…。だが俺はこれを送ってやろう!ああ、俺がいない間にジパングでの交渉が始まるか…?
呼び戻されたくないし商会の運営を俺がいない間全部任せるって書いとけばいいか。」
送られてきた量の3倍を超える紙が積み重なっていく。正直言ってここまで細かく指示をするのならいっそ現場に立った方が速いのではないだろうか…?
来たときは2枚ぐらいだった手紙が6~7枚分の小包に纏められているのを見たツヴァイの目が死んでいる…ような気もしなくはない。
というか自分の商会の命運がかかった大事な取引や運営を「呼び戻されたくない」の思いで部下に丸投げするこの男はある意味勇者であろう。
「うーし後は判子押せば終わりだな。あー、ツヴァイ、ちと量が多いが…戻ったら餌を十分にやるように書いてあるからもうひと踏ん張りがんばれ。魔力もめいっぱい込めといてやるから。」
やはりこの男サドではないだろうか。伝書~という事は町と町の間を繋ぐ鳥である。来て早々戻らせるとか鬼畜の所業か。
リョウはツヴァイを窓際に連れていき、小包の確認をしている。ツヴァイの目もキリッとしており働く男の目になっている。…実際のところは雌なのだがそこはさておく。
「きーつけてなー。こっちは暫くタクと獣人の国に冒険に行ってくるからー」
大鷲に言葉が通じるのか不思議に思うかもしれない…しかしツヴァイはリョウが調教したため彼の言葉が通じるのである。
『か弱い女に重い荷物を持たせて自分はロマンの旅とか旦那鬼畜!』
…そう言いながらとある町の上空で大鷲が鳴いたとか鳴かなかったとか。
「さてと、そんじゃあ俺も行くか。広場での待ち合わせまで時間はまだあるから消耗品を買ってから行くかね。」
リョウは部屋を出ると階下へ降りていった。
「女将さーん、チェックアウトしまーす。」
「はいよ。どこ行くのか知らんけど気を付けていってきな。今夜は泊らないんだね?」
「んー、まぁその予定。また今度ー」
「あいよ。」
宿の扉を開けた先は町の喧騒が…あるはずだったが目の前には薄暗い石で四方はおろか天井、床まで全ておおわれた道が広がるばかりであった。
「…あれ?俺寝ぼけてる?どーなってんの?え、いや女将さーん」
振り返った先には石の壁しかなかった。
「…あれ、これ結構やばめ?扉開けたら知らない場所とかバグか?」