17―鍛冶屋テッケン―
遅れました!すみません!
投稿時間ずらそうかなぁ…
ギルドを出た僕たちは職人街に向かっています。
この街に着いてからリョウ君と僕は二人で冒険者として色々な依頼を受けていたわけですけど(主にリョウ君のレベルアップのために)、他の三人は職人街にある鍛冶屋で三人揃って働いています。
今からそこに行くわけなんですけど…
ドゴッッ!
と音を立てて目の前の店から冒険者らしき男が吹っ飛んで道に叩き付けられました。……ローさん、またやっているんですか…
「ちゃんと手入れをする道具を買ってから来やがれ!」
「またですか?」
僕らが店の入り口から覗くとサラ、ハル、ロー達が居ました。その中でローさんと同じドワーフのおじいさんが物を投げたフォームで固まっていました。僕らが店に入るとローさんが話しかけてきました。
「ったく…一昨日来やがれってんだ…お、アルか?…それとリョウもか」
「俺おまけ扱い!?おっさんひどくねぇ!?」
「ふ~、これに懲りてくれりゃあいいんだがな。…おう、今度は小僧どもまで来やがったか…ったく今日は何なんだ。さっきから冒険者がどんどん手入れを頼んできているんだが」
「あ、テッケンさんも店の方に来てたんですか。珍しいですねぇ」
「おう、どうにも今日は来客が多くてな、儂も嬢ちゃんに引っ張られてきちまった」
僕たちの目の前にはローとうり二つのドワーフのお爺さんがいます。名前を「テッケン」って言って、ローさんがこの鍛冶屋で雇ってくれないか尋ねに来たところ色々もめた末に雇ってくれたらしいです。筋肉の友とかテッケンさんは言ってましたけどローさんは嫌そうな顔をしていましたね。
技術的にもローさんより上らしく、日々テッケンのお爺さんから指導してもらっているらしいけど…ローさんって元裁判官じゃありませんでした?そっちの技術極めて向こうに帰った後どうするんです?
テッケンさんは178才と、寿命200歳前後のドワーフとしてはもう高齢です。なのでサラやハルに受付や接客を任せて本人はローさんに自分自身の技術を伝えるべく作業場で日々燃えているそうですが、どうにもおじいさんという感じがしない元気にあふれた人です。…あ、元気にあふれたドワーフと言った方がいいんですかね?
「あ~まぁ何となく原因分かったぜ」
「む、何だリョウ。知っているのか?」
テッケンさんが腕組をして僕らに聞いてきました。迫力ありますねぇ…
「ええ。僕らもさっき聞いたばかりなんですが、この町にいる冒険者全員に緊急依頼が出されたそうです」
「緊急にゃ?」
いきなりハルがリョウ君の背中に乗っかりつつ聞いてきます。気を付けないとリョウ君転びますよ?
「ええそうです。この町の周囲を調べるといった内容の依頼だそうですよ。原因としてはまずこの町の南門で魔物や動物が増えていること」
「て言ったってあたしたちが出会った竜が死んだらそうなるのが当然なんでしょ?全員なんて大げさじゃないかしら」
「っとと…いや、実はもう一個の理由として他の門の外でもいろんな生き物が増えているんだよ。俺らだって今日囲まれて軽く死にかけたしな」
笑いながら言う事じゃないでしょう…
「は!?囲まれたって何にだ?」
「クロスディアーっていう鹿っぽい生き物。おっちゃん達は知らないと思うぜ。角がやたらと硬くてキンキンうるさい鹿だよ。んでそいつらが300頭?ぐらいいる中に突っ込んじまった」
「あんた何やってんのよ…でもとりあえず数が多いってのは分かったわ。それで町の外を調べるのね?」
「そうか、それで儂の店への注文や手入れの依頼が来たわけか」
「多分そうだと思いますよ。…テッケンさん、何でさっきの人を叩き出したんですか?」
「血糊が鞘の内部についていやがった。大方獲物を斬った後血をぬぐいもせずしまい込んだんだろ。ここで儂が手入れしようがすぐにダメになっちまう」
あぁ、それはダメですね。彼がどんな戦い方かは知りませんが大方狩った後囲まれたり襲われるのを警戒して焦って放置してしまったんでしょうね。
「まぁおおむねテッケン爺さんのいう通りだな。一応俺から初心者ならナイフでも使うようにっていう注意も与えてある。…ところでお前ら、話を聞くにかなりの量の鹿?と戦ってきたらしいな。ちっと剣を見せやがれ」
「ほらよ。ナイフは途中で折れちまった」
「力任せにやってるからだ。もっと軌道をまっすぐ保ちやがれ。…刃こぼれがいくつかあるな。新しく俺が打っとくわ。直しの方はいつまでだ?…あとアルも早く出しやがれ」
僕も鞘から剣を抜いてローさんに手渡す。彼は剣を色々眺めると…
「…お前どんな使い方しやがった?」
開口一番それですか!?
「おっちゃんどうした?」
「テッケン爺さん、これ見てみろ。こいつかなりの無茶やりやがった。……どうしたも何も、細くてまっすぐなのが細剣だっつーのにいろんな箇所が曲がってやがる。
…アルよ、細剣ってのは大概突く攻撃なんだけどな?こいつぁいろんな方向に微妙にだが曲がっているぞ?お前何しやがった」
「おう、ローの言う通りだな。微妙に曲がっているな。重心もわずかにぶれているか。…クロスディアーの硬い角相手にここまで原型を保たせたまま勝つたあかなりの技量だな。何頭だっけか?」
「大体300頭ぐらい?…そっかー、アル色々やってたぜ」
「どんな攻撃してたのよ?あんた見てるんでしょ」
「えーと角を斬り飛ばしたり頭から唐竹割に切り伏せたり、目から脳まで貫いたり?…あ、あと二頭纏めて貫いて水で吹き飛ばしていたこともあったっけか。こいつがクロスディアーの角な」
リョウ君がクロスディアーの角を取り出す。あ、それ僕が倒した群れの長の角ですね。
「アル…こんな硬いものよく切れるわね」
さすがにそれの角までは斬ってませんよ!?
「アル、えぐいにゃ。スプラッタにゃ」
「仕方ないじゃないですか。剣を引くスペースが足りなかったんですから」
「こりゃ俺が見た中でも結構な大物だな。300か…ロー、それでこれなら逆に褒めてやるべきじゃねぇか?」
「ちっ、仕方ねぇ。生きて帰って来れたんだしな。今回は説教なしにしといてやる」
ああ、今回は説教なしなんですね……とりあえずは良かったです。剣を乱暴に扱うとローさん結構本気で怒るんですよね。『剛力』も加わって拳骨が半端なく痛いんですよ。
「となるとあれだな、一応細剣は新しく打っといてやるが…こんな使い方をするんなら刀でも打つか?」
え、それ本当ですか!?なんてテンプレ!ぜひ欲しいです!
「それがあると嬉しいです!お願いできますか?」
「おっちゃん打てんの!?なら俺にも!」
「いや、打ち方知らねぇんだわ俺」
……
「ロー…」
「期待させといてひどいこと言ってるにゃ」
「ロー、俺にゃ何でこいつらがここまで燃えているのか分からんがお前のその言い方は上げて落とすどころか上げた後深い谷に突き落とすレベルだぞ」
「テッケンさんの言う通りローひどいです…」
「ああ、男の夢が…」
「まぁあれだ、色々研究してるから今度出来たら作ってやる!」
…本当ですか?信じられないんですけど。
「約束ですよ?」
「あーまぁな。やり方が完全に分かればな!とりあえずお前らの剣と細剣は打っといてやるからとっとと準備して緊急依頼とやらを受けて来い!」
気まずくなったのか、僕らに準備させようとローさんが言い出しましたが…
「あ、わりぃおっちゃん、多分おっちゃん達も参加することになると思うぜ」
ええ、多分そうなるでしょうね。
「どういうことだ?」
「Bランク以上の人には強制で依頼してもらっているそうです。ローもサラもハルもBランクでしたよね?」
「そういえばそうだったにゃ。あれから一回も行ってなかったから忘れてたにゃ」
「次の日からはもうここだったものね。…そうかもう一か月もここで働いているのねぇ…お客はあまり来てないから二人で話したり観光したりが多いけれど」
「仮にも店主の前でグサッと来ること言うな…」
「ま、そういう事だからおっちゃん達もおれらと一緒だな!」
「リョウはまだCランクにゃ?」
「まだレベル89なんだよ…今度の依頼でつええ奴来ないかなぁ…」
一か月で6レベル上げるとか相当だと思いますよ?
「野生動物とかが多かったですからね。…じゃあ皆でパーティとして行きますか。多分リョウ君もBランク的な扱いなんだと思いますよ。僕ら両方に参加してもらうような言い方でしたし」
「まてまて儂の店はどうする気じゃ?」
「あ~…。俺らが来る前みたいな感じには出来ねぇか?」
「む…仕方ないのう。その代り帰ってきたらバリバリ働いてもらうぞい」
「わーったよ…。はやく終わってほしい…しごきを少なくしてくれ…」
ローさんが落ち込んでいます。…そこまで厳しいんですか?
「今まで卵はサラ達が持っていたけどこっち来るし…どうすっかな…」
「あ、そういえばそうね」
「宿に預ければいいんじゃないかにゃ?」
「いえ、さすがに竜の卵となるとあまり親しくない宿の人に任せるのは危険です。それに襲われたら女将さんには対応は無理だと思いますよ」
「ふむ、困ったな…」
「お前らどうしたんじゃ?」
「テッケン爺さん、前俺らの持ってる卵について話したよな?」
「うむ、竜の卵とか言うておったな」
「ああ。それで問題になってんだ。竜の卵みたいな貴重なもんをどうやって保管したりするべきか悩んでな。俺らの信頼できる奴に預けようにもそうそう居ないんでな…」
ローさんがテッケン店主に相談しています。…いつ話したんです?
「そうにゃ!テッケンのおじいさんが預かってくれればいいのにゃ!一か月一緒に過ごして信頼できるのにゃ!」
「いや、そこまで信頼してくれるのは儂としても嬉しいんじゃが鍛冶を始めたら周りに気付かなくなる儂にゃあ無理だろうて」
「それもそうですね」
「じゃあテッケンの爺さんで信頼できて強い人いる?」
「そういう人は多分その多くが冒険者として今回の依頼を受けていると思いますよ」
「そういえばそうにゃ…」
「ふむ、引退していたとしても良いんなら知っとるが」
「え、いるの?」
「ああ。…お前らも知っておろうが冒険者ギルドのギルドマスターじゃ。奴なら儂の友人でな、信頼できるし何よりSランクの魔法使いとして強いはずじゃ」
なるほど…それはありかもしれませんね。…ちょっと迷惑でしょうけど…
「…俺やハル、サラが参加する代わりに預かってもらうという事にすればいいんじゃないか?」
「ならそうしましょうか。…魔法使いというなら竜の卵の扱い方についても相談出来るかもしれないし、いい案かも知れないわね」
えっと…魔法使い=竜関係について知っているわけじゃありませんよ…?
「ならそれで行くか。依頼の受注も兼ねて一緒にギルドに行こうぜ!」
「あぁ待て、お前らが行くんなら儂がローの代わりに剣を打っといてやろう。参考にするから剣を置いておいて行ってくれい」
「あ、ありがとうございます」
「助かるおっちゃん」
「なんの。ローやサラ達の給料から引かせてもらうわい」
えっ!?
「…お前ら俺らに払えよ…?」
いやいやいやローさんその顔怖いです!払います!払いますから!…無茶しすぎましたかね…
「あはは…分かりましたよ…」
「げ。…仕方ねぇ…」
テッケンさんの剣ってかなり良いものだから結構な額するんですよね…ちょっとこの依頼が終わったらリョウ君誘ってBランクの中でも高額な依頼受けることにしましょうか。今まではCかDランクでしたし…。
ここまでです。
前話からちょっとキャラクター視点に挑戦しています。
前話はリョウ、今話はアルです。感想とか意見が欲しいです。
次話は…一応明日の九時予定




