??―部屋の主―
次は彼ら自身の外見の紹介も兼ねた話と予告していましたが、ちょっと色々ありまして合間に投稿です。
次話も連続で入れるので外見関係はそちらになります。
それと前話で説明不足だった点も追加しました。
主に商会の立ち上がりやFWが一般化されていることについてですね。
色々とまだ気になる点もあると思いますがそれはこれから出していきます。
――――ここはとある建物内の一室―――
「はぁ…」
部屋の中央大きな窓を背にして頑丈でいてなおかつ立派な机に向かって、一人の女性がため息をもらしながら書き物をしていた。
逆光の為彼女の顔はよくわからないが…逆に見えなくて良かったのかもしれない、もし見たらその美しさに心臓が止まってしまうかもしれない―――そう思わせる何かが彼女にはあった。
「またですか?まだ調査が始まったばかりじゃないですか」
彼女の近くの机で紙の束を整理していた女性が言う。彼女は少なくとも人間だろう。その鋭利な目、冷静な目、きっちり着こなした黒一色の服からはバリバリと仕事の出来るキャリアウーマンというイメージが感じられる。
「そうは言ってもずっと探していて今まで何も無かったのよ?そしていきなり情報が各国から入ってきて…最初に情報が入ってからすでに数か月よ?もうそろそろ何か掴めたっていいじゃない」
部屋の主が手を止めて言う。
「そもそも寄せられた情報とこれにつながりがあるかは分かりませんよ?それにまるで時期を計ったように一気に各地からもたらされたから可能性があるというのは分かりますが、それがずっと探してきた事につながるかどうかは――」
「それ以上は言っちゃダメ。いいわね?」
部屋の主がさっきまでののんびりした雰囲気が嘘のように彼女をにらむ。
「はっ、差し出がましいことを申しました」
「いいわ。…それにあなたも大多数の皆と同じように本当の事なのか疑っているんでしょう?」
「いえ…それは…。――はぁ、そうですね…。そもそも私の生まれるより昔の話ですし、この事の証拠はただ隣の部屋の――」
「賭命誓文に記された内容とそれを証明する未だに消えない炎だけ…そう言うんでしょう?」
「ええ…何よりも確実な証拠とはいえ今や現存している確たる証拠は切られようが叩き付けられようが決して破壊されないあの証文だけです。もっとも、それがある意味この組織を維持しているのですが…」
「数百年前から続く誓いなんて普通は無いからそれだけでもかなりの証拠なのよね…。おかげで私は助かっているんだけど」
「……はぁ、そこまで気にかかるのでいらっしゃったらまた手紙にでも書いて隣の部屋に置かれてはいかがですか?――最近は毎日これを提案しているような気がしますが…」
「そうね…ええ、そうするわ。便箋と封筒を用意してちょうだい――あら、早いわね」
「ここ最近毎日のようにこれらを取りに下に向かっているんですから、いい加減先に用意するようにもなりますよ。昔は1年に一通ぐらいだったそうですが」
「まぁ仕方ないじゃない。――最近はいつあの炎が消えるか心配で心配で……それに何か胸騒ぎがするのよね」
部屋の主はそう言いつつも手紙をしたためると、隣の部屋へ通じる扉のノブに手をかけ、振りかえる。
「あぁ、いつもの事だけどここには入らないでね?そうね…5分ぐらいしたら戻るわ」
「分かりました。では」
部屋の主は隣の部屋に消えてゆく。
「5分と言いましたがしばらくはかかるでしょうね…。賭命誓文、あれのおかげであの方への各国からの求婚や要求を今まではねのけてこられたと私も先代からも伺っていますし、はねのけるのが主に私の役目なわけですが…」
女性はため息をついて頭を振る。
「あの方が言っていらっしゃった『いつあの炎が消えるか』…もしそんなことになったら色々と揺れる事でしょうね。求婚をはねのけられないでしょうし、ここも無事では済まないでしょう。
――しかし決してこの中立が破られてはならない、それが起きたらこの組織自体が瓦解するでしょう。かって届いた一枚の便箋に残された一言と同封の証があったことは幸いです。
正直揚げ足を取っているようなものですし送った方はそんな意図はしていないと思いますが…ですがまぁそこら辺は許されてしかるべきでしょう。
しかしそれが今はもう唯一の支えになっています。どうか消える前に見つかってくだされば…」
「……調べがつくのはまだまだ先ではないかととは言いましたが、私達の力なら数か月あれば本来ならとうにもっといろいろ分かっているはずです。
1年前急に入り始めた情報、そしてあの方が言う最近の不安……どうにも良くない気がします。
…勝手かもしれませんが内密にもう一度洗いなおすよう指示しておきますか。――さて、そろそろいいでしょう」
女性は隣の部屋のドアに近づくとノックをして呼びかける。
「――申し上げたくはありませんが、あと2、3時間ほどで外出のご予定です。…この後は隣国の獣人王国王太子殿下の立食会、続いて舞踏会です。
―――出席を取りやめましょうか?今からでもさほど問題はありませんが………いえ、訂正します。結構問題はありますが何とかしてみせましょう」
部屋の中から声が聞こえる。女性は頷くと
「…分かりました。ではそのように致します。」
女性は一息つくと部屋を出ていった。
部屋の主の机の上、そこの透明な箱の中で飾られた銀色の指輪が窓から差し込む陽光に煌めいた――――
短いですがここまでです。
改めて、次は彼ら自身の外見の紹介も兼ねた話になります。




