第十三話 獣人とフラン
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「いやあ、あんたすげえな!マジで一人であいつら追っ払うとは!!」
熊さんはそう言うと俺の背中をバシバシ叩いた。
アニマルズも感心したような、憧れたような目で俺を見ている。
なんか照れ臭い。
「いやあ、吸血鬼に纏わる伝説はガキの頃から聞いてきたが目の前で戦いを見れるとはたまんねえな!最悪な日かと思いきや最高な日だったなあ」
熊さんは大分機嫌がいい。
今まで虐げてきた奴等を追っ払ったことに感動したんだろう。
「金髪のイケメンには大分苦戦したけどな」
「お前さん、ありゃあ騎士団長だぜ。エルラント最強の存在だ」
実際のとこあのイケメンは強かった。限界である50%解放の俺を相手に善戦してたし。
腕も切られたし、何度か深い傷も受けた。人間だったら100は死んでそうだ。
逆にあいつからしたらそれだけ攻撃を与えて死なないんだ、そりゃ楽しいわけがない。
今回の戦いで獲たことは2つ。
一つ目は武術、というか理に叶った動きの厄介さ。
何度も避けたと思った攻撃が当たった、あれは一の後には二を、二がダメなら三を、といった感じの動きで、染み込んだ動きだったのだろう。知覚できないはずの攻防でも見せてたし。
騎士団が少なかったのもアイツがいたからだろうと俺は睨んでいる。
まあたしかに普通の騎士なら10人くらいは楽勝だけどアイツ一人いると難度がぐっと上がる。
二つ目は戦いの間に感じた異常なまでの高陽感。
魔法を使う、なんて考えは湧いてこなかった。一発一発の攻防が楽しすぎてそれ以外考えられなかったのだ。
これは普段は温厚な俺にはあり得ないことである。
吸血鬼で魔法を使う者が少ないってのはこれが理由なんだろう。
闘争本能をコントロールしないといずれ気づかないうちに死にそうだ。
今回はスーに感謝しないとならないな。
つまるとこ自分をコントロールする術が必要だ。
心身ともにだ。
「まだ気にしてんの?」
スーは難しい顔をしている俺のデコを突っつくと笑った。
「シワ、凄いわよ」
むっ、いかんな。かわいい顔が台無しだ。
「今回は私も驚いたわ。話には聞いてたけどあれが吸血鬼の因子ってやつなのね」
「有名なのか?」
「そりゃね、温厚な吸血鬼が戦いになると豹変するってのは昔話だとよくある題材だからね」
「たが、フランは俺たちを助けてくれた。それでいいじゃねえか」
熊さんはそう言うと俺に厳つい顔で笑いかけた。
歯がむき出しのその笑顔は獲物に威嚇する熊の姿そのままだが、俺には優しい笑顔に見えた。
◆
街道に隣接した森のなかに入り、しばらく歩くと木上から人が落ちてきた。
「止まれ!」
落ちてきたこれまた熊の獣人は俺とスーに威嚇する。
「おい、アルフレッド、こいつらは何者だ?」
熊さんはアルフレッドと言うらしい。俺は熊さんと呼び続けるが。
熊さんは俺たちをチラリと見てから熊の獣人の方を向く。
「恩人さ」
と一言言うと笑顔を向けた。
熊の獣人はぽかーんとしている。
そりゃそうだ。
「騎士団を撃退したんだぜ。それもあの騎士団長もだ!」
「アホなこと言うなよ、こんなガキがそんなこと出来るわけがねえだろ」
俺を訝しげに見る熊の獣人。
「見た目通りのガキじゃねえよ。聞いて驚け、吸血鬼だぜ」
「は?吸血鬼?もうここらに吸血鬼はいないはずだろ?」
「いやいやマジだって!おい、証拠を見せてやってくれよ!」
証拠ってなんだ?血を吸えばいいのか?
「赤い瞳と牙よ。隠してるんでしょ?」
スーが小声で教えてくれる。
牙はともかく瞳は黒なんだが.....
まあ変身で代用できるのでいい。
俺は下を見てから上げると瞳が赤に、犬歯が牙に変わるという演出をしてやる。
こんな動作は必要ないのだが、イメージは大事だ。
代々守られてきた吸血鬼の伝統を俺も忘れていない。
「うおっ!マジだ!いや、申し訳ない!吸血鬼は歳が見た目で判断できないと聞く。俺みたいなガキにガキ呼ばわりされて不快だったろう。申し訳ない!」
頭をペコペコさせる熊の獣人。
なんだか恐れられてるみたいだ。
まあ、血の臭いをぷんぷんさせてるらしいし仕方がないと言えば仕方がない。
というか俺の実年齢は20ちょいのまだ若造と言ったところなんだが。
まあ、言わなければ角も立つまい。言わぬが花って奴だな。
俺の事情を知っているスーはニヤニヤ笑いながら俺を見ている。
殴りたい顔だが、今回は助けられた身だ。何も言うまい。
「いや、気にしないでくれ。俺も気は長い方だ。だてに300年生きていないよ」
まあ生きていないんだが。
「そう言って貰えると助かる。....え、じゃああれか?もう騎士の連中は来ねえってことでいいのか?」
「ああ、そうなるな。ただ今は来ないってだけだな。今度あいつらが討伐しに来るときの対象は訳の分からん化け物ってことになるから、ここは安全だと思うがまあ何かあったら飛んでくるよ」
そう言えば俺は飛べるのだろうか。
今度試してみよう。
「おい!そう言うのは早く言おうぜ!ちょっと皆に伝えてくるからお前らはゆっくりと来てくれて構わんからな!」
熊の獣人は四つん這いになって走っていった。結構速い。
まあ熊の脚力で走ったらそりゃ速いわな。
「そういや、ここから隠れ里までどれくらいあるんだ?」
「そうさなあ、急げば5分ってとこだな。この森、あんま深く入ると俺たちでも迷いかねないんだ」
この世界、空気中を漂う魔力、エーテルの存在からか木々も強い。ある程度エーテルを吸った森は迷いの森化、半ダンジョン化するのだ。
動物が吸うと魔獣になる。人間は一説によるとエルフや、魔族だと言われているが、人大陸ではあまり受けのいい話ではないので本になっておらず、俺もよく知らない。
つまりこの森も迷いの森ってことだ。
たまに一際エーテルの濃いスポットには妖精が住み着くらしく、俺も一度見てみたいものだ。
「このあたりはエーテルが濃いもんなあ。感覚さえ覚えれば絶好の要塞になるってわけか」
獣人、エルフは他の種族に比べて感知能力が高い。その両方とも本来は森に住み着いてるからそういう風に進化したんだろう。
「ああ、すまない。最高の客人なのに歩かせちまう」
「いや、俺は構わん。外に置いてある荷馬車さえ無事ならな」
荷馬車は当然森に入れないので外でお留守番だ。
見張りにはアニマルズの一人が当たっている。なんでも気配感知が得意な種族らしいので任せて大丈夫だろう。
◆
歩くこと十数分、獣人の気配が濃くなってきた。
30くらいの個体がいるみたいで、思ったより少なくて驚いた。
少ない理由は察することができるので空気を読む俺はなにも言わない。
「足が痛い!」
隆起した根を上がっては下がり、上がっては下がり、時には倒木を乗り越え進み、毒がある藪は避けて進む。そんなアスレチック的な移動にスーは文句の声をあげる。
「おまえ、旅慣れしてるんじゃなかったのか?」
「いやいや、森とか旅しないし。なんていうか安定した移動じゃないからか足腰が痛くて堪らないのよ」
たしかに安定はしてないな。
50%解放すれば安定した足場を行くが如く進めると思うが獣人の隠れ里まで一本の道を作る気はない。
「ねー、フランちゃーん。あしいたーい」
そうえばこいつ罰として走らせたりしてたから今日だけで結構足腰を酷使させてるんだよな。
「おぶってやろうか?」
「はいきた!お願いします!」
しゅびっ!とスーは俺の背中に飛び付いてきた。
それを危なげなく受け止めてやる。力をセーブしていてもスーくらい楽勝で背負える。
「なんかフランちゃん優しいね」
「一応今日は世話になったからな」
暴走状態から救ってくれた功績は大きい。
今日からは少しくらい優しくしてやろう。
背中に当たる柔らかな感触に巽の部分がざわめき獣になるのを耐えつつ歩いていると背中でスーはスヤスヤ眠り始めた。
こいつは黙っていれば可愛いものである。
なるべく揺らさないようにしながら歩くと、気配がかなり近くにあることに気づいた。
「もうそろそろか」
熊さんは目を丸くする。
「わかるのか?」
「そりゃなあ。吸血鬼の感知能力なら一キロ先のマッチが落ちたのにも気づけるぞ」
熊さんはまっち?と首を傾げる。
愛嬌ある仕草は熊そのものだ。可愛くはないが。
「で、あとどんくらいだ?」
「まあもう着いてるって言っていいな。見てな」
そう言って足を止めると手を虚空に当て、鍵を開くような動作をする。
すると、空気の幕がカーテンのように開くと次の瞬間には目の前に里が現れていた。
その里は、木々と密着するような自然と一つという言葉が似合う造りをしており、あまりに自然に建物が木に寄り添ったり乗っかったりしているので意識して見ないと気づかない人もいそうだった。
なんとなく建物は新しいのに建築様式に歴史を感じるあたり、獣人は昔からこういう建物に住んでいるのだろうと思った。
「はー、珍しい造りだねえ」
「お、わかるかい?一族の故郷の建物を再現してるんだ。人族の冷たい建物より住みやすいから追放されてよかったかもしれない、と皆で話してたんだぜ」
熊さんは誇らしげに笑いながら冗談気に言う。
たしかにこの建物に比べたら石造りだとかは冷たく感じるだろう。
こうなんというか、ここは生命に包まれているような安心感がある。
「そういえば、さっきの結界はどうしたんだ?あのレベルの魔導装置だ。そう容易く手に入るとは思えないんだが」
「あれか?あれは協力者から貰ったんだよ」
「協力者ねえ....こんな装置を譲るあたり只者じゃ無さそうだが」
そもそもこの装置は魔術を使ってるし、かなり高そうだ。
隠蔽の魔法文字とか俺は知らない。
「まあ、さる高貴な人でな。お前さんが眷属探しをするツテにもなるだろうし話は通しておくよ」
権力者ならぜひ紹介して欲しい。
人間は権力と金に弱いと相場が決まっている。
どうせこの世界でもそうなんだろうしな。
「ああ、ぜひお願いするよ」
そんな会話をしていると大勢の獣人がドヤドヤやってきた。
「えーっと、どちらが吸血鬼様かの?」
と、髭がもさもさ生えているいかにもな長っぽい人が話しかけてきた。
種族はもさもさな白い髭だとか髪だとかで判別がつかなく、頭の耳すら見えないが、尻尾から判別するにおそらく獅子族だろう。
獅子族は獣人でもひときわ大きな力を持っているらしく、種族混合の部落では長になりやすいらしい。王者の因子、とかなんとか言うらしい。なんだかとても素敵な響きだ。
「俺だ。この後ろで寝こけてるのはただの人族で俺の仲間だ」
スーは少し騒がしいくらいざわめいているのにぐーすか寝ている。
こいつに悩みは無さそうだ。
「騎士を撃退してくれたと聞く、感謝する。しかし我らはお礼らしいお礼もできぬ。何を要求するか先に言ってくれると助かりますじゃ」
なんとなく失礼な物言いだが、この世界だと働きには報酬、親切にも報酬という考えがスタンダートみたいなので案外これが普通の対応なのかもしれない。
「俺の眷属を救いだしたい。家族を救いたいのだが、俺はあまりこの国のことを知らなくてな。少しだけでも協力してくれればと思っている。だけどまあ救った理由はただの親切だな。あんま気にせんでくれ」
毛むくじゃら爺は目を丸くして声をあげて笑った。
「なるほど、君はフェリスの家族と見えますな!考え方もよく似ておる!」
フェリシアさんの知り合いかな?
なんだか仲が良さげでちょっとジェラシー。
「いや、俺なんかよりフェリシアさんのほうが遥かに善人だと思うぞ」
俺も笑っていう。
「フェリシアさんなら救って自分の身の上も話さずに去るだろうしな。自分の欲求を話す俺のほうが生臭いと思う」
じいさんも笑うながら、違いない、と呟き俺に握手の要求をする。
「ようこそ、里へ。救世主よ。君はこれから我らの友だ。我らは君を支え、苦難があれば救うと誓おう」
俺はその手をとって握手する。
「ああ、お前らも今日から俺の友だ。俺もお前らを救うと誓う」
互いに笑い会うと、里は歓声に包まれた。
背中でスーがアホ面で寝ている姿がなんだか台無しにしていた。
その夜は楽しいひとときだった。
協力者とやらは食糧や酒なども届けてくれているらしく、そこそこ豪勢な宴会だった。
しかし、獣人の食文化なのかなんなのか、やたら丸焼きが多い。まさにワイルドなメニューが多いのだが、吸血鬼な俺の胃は鉄だって消化してみせる。ペロリとそれらを食べていき、勧められるがままに酒もかぱかぱ空けていく。
腹が膨らむ感覚を久しぶりに感じながら、案外旨いヤモリだかイモリだかトカゲだか分からない生き物の丸焼きを摘まんでいると、髭長がやってきた。
熊さんは半裸になって踊っており、スーは俺の膝の上で寝ている。
「楽しんでいるかな?友よ」
「ああ、最高にね。ところで髭長さんは名前なんて言うのかい?」
髭長は髭長という言葉に膝を叩きながら笑う。
「失礼した。アーノルドじゃよ。アーノルド・ライアン」
ヨボヨボした爺には不相応な名前だ。
「もう知ってると思うが俺はフランだ」
「その名前もフェリスにつけられたのかの?彼女はフランが好きだからのぅ」
アーノルドは瞳を懐かしげに細める。
歳を経たその姿にその仕草はよく似合った。
「さっきも思ったがフェリシアさんと知り合いなのか?」
「ん?ああ、ワシがまだほんのこのくらいの頃、彼女にワシらの里が知性を持った火竜に襲われたときに救われての。あの巨大な竜と三日三晩一歩も引かずに渡り合った姿には当時の里の皆憧れたものじゃ」
戦うフェリシアさんの姿は想像できないが文字通り鬼のように強かったらしい。
ちなみに竜は長い年月生きると知性を経る。
知性を持った竜は半端なく強い。
ブレスを持ってアホみたいな腕力を持っていて、しかも魔術を行使するのだ。
そりゃ当然強い。
そんな竜と戦うフェリシアさんか。さぞや絵になったことだろう。
「いやはや、まさか親子に救われることになろうとは思わなんだ。吸血鬼は我らの守り神じゃのぅ」
アーノルドは感慨深げに呟いた。
「元いた地に住めなくなったとき、フェリスの住む地の近くに住もうという話になっての、願掛けみたいな考えだったんじゃが正解だったみたいじゃな」
まさか落下した勇者が助けたとは彼らも思うまい。
フェリシアさんはいま療養中だから助けることは出来なかったのだし、俺が落ちてこなければ彼らは助からなかった。複雑な思いだ。
「ところで!吸血鬼は力あるものの血を好むと聞く。ワシの血に興味はないかの?」
ありません。
「そんな顔をするでないわ!これでも白獅子。獣人最高の力を持っている種族だぞ!」
白獅子とは、勇猛にして最強の種族だと言われている。
あくまで言われている、というのはかつて最強を襲名した者が白獅子だったからだ。
個人差があるのはどの生き物も同じだ。
竜なんかは超弱肉強食社会だから歳をとるというのがかなり難しい。だから知性を持つ竜はその分だけ強いのだ。芋って知性を経た竜はいない。
「むぅ、ならば我が娘ならばどうじゃ?」
「そんな簡単に娘を差し出していいのかよ」
供物ってのはもっと惜しんで差し出すものだろ。
そういえば生で血を飲んだことはない。
なんだか抵抗感があるのは心はまだ人間だからだろうか。
「俺に血を飲まれてメリットがそちらにあるのか?」
「吸血鬼に血を飲まれることは我らの間では十分自慢になることじゃよ。かつてフェリスが我らを救ったときは男女こぞって血を吸ってもらいにいったものじゃ」
なんか嫌な風景だ。
でもその強さであの美しさなら吸ってもらいたくなるのもわかる気もする。
「どうかな?娘もきっと吸って欲しいと望むだろう」
「のぞまない!」
後ろには叫ぶ白獅子の幼女がいた。年の頃は10ほどか、大好物です。
俺の中の悪魔が叫ぶのが分かった。吸っちまえよ、と。
血の旨さは年齢とほぼ反比例する。若すぎると流石に倫理的にマズイと思うが10くらいなら、セーフだ。俺のなかでは。
といっても許可をとらずに飲むのは強姦と同じだ。吸血鬼たるもの紳士でなくてはならない。
「わたしはこの人に血をすわれたくない!だいたい血をのむとか意味わからない!」
まあ普通はそう思うわな。
進んで飲まれに来るこいつらが異常なんだ。
「まあ気持ちは分かるがな」
こういうのはがっついてはいけない。怖がらせてしまう。
「こら!レイナ!恩人になんて口を利いてるの!」
後ろから小走りで追っかけてきた女性に叱られている。
「あのーアーノルドさん。こちらの女性は....?」
こんな若い妻がいるのは許せない。全世界の男性に変わって怒りをぶつけねばならない。
「ああ、この子はワシの養子じゃよ。それぞれレイナとレイと言う。こら、お客さんに挨拶せんか」
ああ、養子ね。ならしょうがない。
レイナちゃんは白獅子の幼女。レイちゃんは虎、かな?の少女だ。
それぞれかなり可愛い。おれもこの二人なら引き取ってもいい。
「は、初めまして!わたしはレイって言います!歳は今年で13です!よろしくお願いします!」
わあお、テンパっててかなり可愛らしい。尻尾がゆらゆら揺れてるのがとてもグッド。握ってもふもふしたい。
「....わたしはレイナ」
ぶーたれてる白獅子幼女がレイナちゃん。毛並みの良い白いもふもふ耳がとても可愛らしい。尻尾の先もモコモコしてて触りたい。
「こら!レイナ!」
「知らないもん!」
レイナちゃんは走っていってしまった。
なんでか嫌われてるみたいだ。悲しいね。
「すまんな、フラン。吸血鬼は我ら獣の血をひくものをたまらなく魅了するのだが理性がそれを拒絶してしまう。だからだいたいの獣人はああした反応をしてしまうんじゃよ。ただ一度気に入るともうそれ以外に尻尾を振ることが無くなるんじゃが」
なるほど、だから険悪だったアニマルズも熊さんもあんなにすぐなついたのか。嬉しくないが。
「なあに、すぐにフランになつくだろうて。これは獣の定めみたいなものじゃしな!」
そう言って笑うアーノルド。
俺も苦笑してしまう。
「そんなんでいいのかよ。理性は拒絶してるんだろ?」
「なに、フェリスにもフランにも、ワシが出会って尻尾を振った吸血鬼は全て良いものだったしな、ワシは本能に従うよ」
そう言うといっそう大きく笑うのであった。
締め所が見つからず7000文字になってしまった。
毎回5000文字あたりで投稿してる人たちは凄いなあ、と思いましたまる
12話になっていたので13話に修正




