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不死属性の生き方  作者: ひみゃらや山脈。
第一章 不死属性誕生
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第十話   旅立ち

PV数がすごい伸びてました。

一日1000人が見てくれてるのかと思うとテンションだだ上がりです。

ありがとうございます!

 俺はフェリシアさんの腕に包まれながら誓った。きっとこの人を幸せにする、と。それは恋慕の情からくるものではなく、姉や、母に向けた親愛の情である。

 この優しい人は俺を決して裏切ることはなく、俺もまた彼女を裏切ることはない。そう確信できるから彼女を家族として認知することが出来た。


 「うっ、うっ・・・・・」


 なにか音が聞こえる。

 それは泣き声のようだ。

 いや、泣き声だ。


 「うをおおおおおおおおおおん!!!!!!!!!!」


 抱き合っていた俺とフェリシアさんの後ろでただ黙って見守っていた彼女、スーさんは涙を滂沱のごとく流していた。


 「こんな、こんな美しい話があるのに私は金のことばっかり!私はなんて汚い人間なんだ・・・・!」


 泣きながら懺悔するという子羊ちゃんな真似をしているスーを放っておくのは忍びなく、フェリシアさんと顔を合わせると苦笑いした。


 「商人が金について考えるのは魚が海を泳ぐようなもの、ソクラテスが哲学を考えるようなものだよ」

 「スー。アナタにも大切なお母さんがいるじゃない。お母さんを愛していればまだ大丈夫」


 なんだかフェリシアさんの慰め方は微妙だ。まだ、って。

 まあ俺も大概だが。


 「くすん・・・よく分からないけど慰められてるってのは分かったわ。ありがと」


 うん、泣いても仕方が無いからね。

 女の子は笑顔が一番だ。


 「スー。俺をエルラント王都に連れていってくれ」


 スーは慌てた。


 「あ、勘違いするなよ?勇者とかなるつもりはないし、フェリシアさんに迷惑をかけたクソ王に仕える気も一ミリもない。俺はフェリシアさんの眷属と妹を探す」


 それを聞いたスーは愕然とした。エルラントにおいて、人間こそが至上であり、他はすべて等しく爪の先ほどの価値もないのだ。そこで吸血鬼が吸血鬼を探す、というのは困難を極めるというレベルではない。だからこそスーは尋ねた。


 「アンタ、それ意味わかっていってるの?」

 「当然だ」


 俺は即答した。

 当然だ。俺はフェリシアさんは家族だと誓った。ならばその家族を救う為ならどんな受難だって受ける。

 まあ、あんま過ぎた受難はごめんだが。


 「見た目女の子なのに男の目をするようになったわねぇ・・・・そういうの男らしくて好きよ」

 

 スーは朗らかに笑った。


 ◆


 翌日、俺はさっそく王都に向かうことにした。

 というのもあまりダラダラしていると決心が鈍る気がしたからだ。フェリシア空間は危険だ。俺を容易にダメにする。


 「準備は出来てるの?」

 「そもそも俺の持ち物ってないんだよね」


 今、荷馬車の前にいるのは俺とスーだ。フェリシアさんは餞別をくれるらしく、倉庫に向かって行った。

 そういえば倉庫に入ったことないなぁ


 「シア遅いね」

 「そうだね」


 話すこともなく、沈黙が訪れる。

 俺はこれからこの娘と旅をする。なんか共通話題探しておいたほうがいいなぁ・・・・・


 「ごめんなさい、待たせたわね」


 小走りにフェリシアさんがこちらに向かってくる。

 手にはなにやらRPGでありがちな宝箱を持っている。ミミックとか出てきそうだ。


 「これは一族に伝わる装備よ」


 と言って宝箱を目の前で開けるフェリシアさん。ゼ○ダの音楽が俺の頭の中で流れる。

 そして出てきたのはマントだった。それはドラキュラのマントていうより、魔王とかが着てそうな漆黒の物だ。イタイ。だけどカッコイイ。

 きっと男の子の遺伝子にはイタイものがカッコ良く見える呪いが刻まれているのだろう。


 「お、なにそれ!かっこいいじゃん!」


 ・・・・女の子にも刻まれているようだ。

 というかこれ、かなり目立つので正直着たくない。


 「ええ、これは吸血鬼の変身能力との同調がされててマント自体が変身を補助してくれて、しかもこのマントも含めて変身できるの。要するにいちいち着替えなくてもいい便利グッズね」


 おお!思ったよりこの厨二マントは性能がいいようだ。


 「ありがとうございます。この餞別、ありがたく貰います」

 

 俺はマントを受け取ると勢いよく羽織った。これはイイ。激しく刺激されるものがある。


 「絶対に無事に帰ってくること、それだけは守ってね」

 「分かってます。俺はちゃんと家族の下へと帰ります」


 どちらからともなく微笑むと、フェリシアさんと俺は抱き合った。

 このぬくもりを忘れないようにしよう。俺は自分の事ながらすぐにダメになる癖がある。そんなときに励みにするのだ。


 横ではなぜかスーが泣いてる。こいつはかなり涙もろい。


 「それでは、行ってきます」


 そういって俺は身を翻し、荷馬車に乗り込んだ。荷馬車のせいでかっこがつかないなあ。


 フェリシアさんは黙って手を振っている。

 スーも心がけたもので、フェリシアさんに一言だけ声をかけると御者席に乗りこんだ。


 俺もフェリシアさんも見えなくなるまで手を振った。

 

 御者席ではスーがやはり泣いていた。


 ◆


 「アンタは私をどれだけ泣かせれば気が済むのよ」


 フェリシア邸から10分ほど来た場所でスーは俺を恨めしげに見た。

 なんだか誤解されるような台詞だ。


 「スーが涙もろすぎるんだよ」

 「しょうがないでしょ、家族の悲哀には弱いのよ」


 と仏頂面でいい、すぐに顔を緩めて笑った。


 「アンタ、その格好いつまでしてるのよ、それ、目立つわよ」


 目立つと分かっていたようだ。感性は地球とあまり変わらないのかもしれない。

 俺はすぐに目と髪の色を金に、マントをスーと同じ地味な外套に変えた。


 「おー!いつみてもやっぱりその変身はすごいわね!」


 興奮したように目を輝かせる。


 「フェリシアさんの変身を見たことがあるの?」

 「ええ、子供のころ頼んだらもっふもふの狼に変身してくれたわ」


 人外変身か。うらやましい。


 「俺は人外に変身できないんだよなぁ」

 「そうなの?」

 「ああ、勇者の呪いだな」


 いたずらっぽく笑いかけるとスーは微妙な表情をした。


 「どうしたんだ?」

 

 なんとなく不安になってたずねると


 「アンタ外見も変えたほうがいいわよ・・・・その容姿だと間違いなく目立つから」


 そう言うとスーは苦笑いを浮かべた。

一人称の書き方が安定してきたような気がします。

いいや、まだカスだね、こんなの。と思った人はどうぞ感想にご記入を。

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