転がり草の育て方
注意:これはファンタジー世界的な転がり草の生態です。皆さんの知っているオカヒジキ属のダンブル・ウィード等とは関係ありません。
一応入れておかないと植物学的にどうこうと突っ込みいれてきそうなんがいそうだし(笑)
皆さん、転がり草というものを知っている?
そうよく荒野で転がっているあれです。
あの転がり草を育ててみるのは不思議に思えるかもしれませんけど育ててみると育っていく過程でいろいろな表情を見せているのでこれが転がり草?と思える姿を見かけることがよくあるよ。
その姿を見ていくことによってもっと転がり草を好きになってくれたらとてもうれしいです。
さぁ、転がり草の世界を見てみよう。
【種を集めよう】
転がり草の種ってどこで手に入れられるのかな?
それはね、枯野の季節、転がっている転がり草をゆさゆさと揺さぶってみると黒い粒粒が出てくるからそれが種だよ。
集めた種は春までオネムさんだから乾いたビンに入れて乾いた場所でしまっておこう。
転がっている転がり草は種をとった後で集めて薪の代わりにもなるよ、便利だね。
【種を植えてみよう】
雪が雨に変わるころに砂利や荒い砂の多いところに種をばら撒くんだよ。あまり肥えた土だとほかの草に負けてしまうんだ。種を蒔いた上から土をかけたり埋めたりする必要はないよ。転がり草の種はお日様に向かって芽を伸ばすんだよ。お日様が目印なんだね。
その後で水をジャバジャバかけて置こう。雨が芽を出す合図になるんだよ。春だよ春だよ芽を出して、お寝坊さんはどの子かな?
【芽が出てくるよ】
種を蒔いてから10日もしないうちに種を蒔いたところは緑のじゅうたんのように芽を出してくるよ。小さい双葉は針のようでかわいいね。ところどころに種の帽子をかぶっている子がいるけど脱ぎ忘れたのかな?
このころは雨が多いときは水をあげなくていいよ。転がり草のオチビちゃんたちはおぼれてしまうからね。よく濡らして良く乾かすのが大好きなんだよ。
【芽をひとつ抜いて食べてみよう】
転がり草の芽は羊さんや牛さんが大好き。野菜のようにもりもり食べてしまうんだよ。僕らも食べることできるかな?一個芽を抜いて食べてみよう。
抜いてみると針のような双葉と白く長い根っこがあるね。よく洗ってからひとつ食べてみよう。
じゃくっとした歯ざわりの後でちょっとしょっぱいね。転がり草は土の中にある塩を溜め込むんだよ。だから、海のそばで育てると思い切り塩を吸い込んだりもするんだよ。ほかの草の育たないところで育つのだからすごいね。
羊さんや牛さんが野菜のようにもりもり食べてしまうから気をつけようね。
【伸びてくるよ】
転がり草はどんどん伸びていくよ。雨が降るたびに霧が立ち込めるたびに、からだ中で水を集めて大きくなっていくんだよ。双葉の間から伸びてくる茎も一日ごとに太く硬くなっていくよ。
だんだん窮屈になっていくね。自然だと牛さん羊さんウサギさんに穴ねずみさんとかが食べるからまばらなんだけど守っていると全部育ってしまうんだよ。全部育ったらどうなるかな?世界中転がり草で埋まってしまうかな?
【育ちの悪いのを抜いておこう】
転がり草たちはみっちみち、窮屈そうだから数を減らしておこう。本葉が10枚くらいになったら育ちの悪いのを抜いていこう。虫さんが齧った後があるのも育たなくなっていくから抜いたほうがいいね。
本葉が10枚より少ないのを抜いていこう。
自然では動物さんたちが野菜代わりに食べてしまうからって動物さんに任せたらだめだよ。一面丸裸になるまで食べてしまうからね。
【抜いた転がり草を】
抜いた転がり草はそのまま捨てるのはもったいないね。柔らかい葉っぱを集めてゆでて食べてみよう。
転がり草のやわらかい葉っぱをちぎって集めて、お塩の入ったお湯でさっとゆでる。その後でいろいろ味をつけて食べてみるとおいしいよ。お母さんに頼んで(お母さんが料理下手ならばお父さんに頼むのもいいよ。)スープにするのもいいね、しゃくしゃくとした葉っぱの間からとろりとしたぬめりけがおいしいよ。
【転がり草は伸びていく】
転がり草はお水と風とお日様がご飯。だけど、多すぎてもだめなんだよ。
お水が多いと食べ過ぎてからだが腐ってしまうんだ。だから水が途切れやすい砂利交じりの土が大好きで粘土っぽい所だと逆に育たないんだよ。
風が吹いていないところだと葉っぱについた水が乾かなくて腐ったり虫さんが振り払えなくてご飯にされたりするんだけど風が強すぎると千切れてしまうんだよ。
お日様がないところだと茶色くなってかれてしまうんだけどお日様が強すぎるところだとお水が葉っぱの先まで届かなくてかれてしまうんだよ。
何事もちょうどよい加減があるんだね。
【転がり草はまん丸で】
転がり草は育っていくと枝がいくつにも分かれて丸くなっていくよ。よく見てみよう、細かい枝がいくつも絡み合って風を受け止めやすくなっているんだね。こうして転がり草が転がる秘密があるんだね。
このまん丸になる前の枝分かれしてる転がり草を刈り取って乾かすとよいほうきになるんだよ。わざわざ育ててほうきを作っている職人さんもいるから教えてもらうのも面白いね。
【間引いてみよう】
まん丸になってくる転がり草はどんどん広がって窮屈そうだよ。こうなると風も通らないから風が通るように抜いていこう。
陰になって小さくなっているのとか丸くなっていないのは最初に抜いておこう。
抜いた転がり草は柔らかい葉っぱはサラダにしても美味しいし、スープや炒め物にも美味しいよ。
家で羊とかいるなら与えてみると喜んで食べるよ。もっしゃもっしゃと美味しそうだね。動物さんたちは転がり草が美味しいことを知っているから目を離すとサラダ代わりに食べちゃうぞ。
【花が咲いたよ】
暑い季節が終わるころまん丸になった転がり草に花が咲いたよ。転がり草の種類によるけど小さな小さな赤い花、青い花をつける種類や白い花黄色い花と色々な色の花をつけるのがあるけど一つの転がり草からはひとつの色の花しかつけないんだよ。たくさんの転がり草から種を集めるといろんな色が楽しめるよ。
転がり草の花は小さいから咲いているのがわからないね。枝の間にかくれんぼ、花の蜜を吸いにくるのも小さな小さなチョウチョウさんとかハチさんばかりだよ。枝の間を見てみると蜜を吸いに来るのはチョウチョウさんやハチさんばかりじゃなくてアリさんも花の蜜を求めているのが見えるね。
そしてそんな虫さんたちを狙ってひょろっとしたトカゲさんとか物陰から狙ってくるトビツキグモさんとか飛び回って虫を捕まえるカマキリモドキダマシモドキさんとかがいるよ。
鳥さんたちも転がり草に集まってくるよ。転がり草の花や柔らかい葉っぱを求めてくるマルキジさんとか集まってくる虫を食べるツクロイドリさんとか中には転がり草の中に巣を作ってえさも手軽に食べられて快適だと過ごしているコモリドリさんもいるよ。
コモリドリさんがいたらそっとしてあげようね。この時期はヒナを育てて大変なお父さんががんばっているのだから。おかあさんはって?いわないのがやさしさだよ。
【実をつけるよ】
転がり草は実をつける。花が咲いて受粉すれば当たり前のことだね。どこかの偉い人も言っていたね。「やればできる。」って。ちょっと意味が違う気がしないでもないけど。
小さな花だから小さな実をつけるんだよ。小さな実の中には小さな種がぎっしりと。転がり草はごちそうだから大きく育つと食べられちゃう。小さく生まれて大きく育つ、たくさん種がないと食べつくされちゃうんだよ。コモリドリさんはこの種を食べるだけ食べると遠くの空に飛び出すんだ。
実の色は最初は緑なんだけどだんだん茶色になっていくよ。枯れているのかなと思っていても種は眠っているだけなんだね。
【みんな枯れていくよ】
実りの季節が終わって風の強い枯野の季節になっていくと転がり草も枯れていくよ。そうして枯れてカラカラと軽くなった転がり草はある日強い風に連れられて旅に出てしまうんだよ。
からころからころ、風が吹くたびに種をまき散らしながら転がり草は遠くへ遠くへ旅をするんだよ。あんまりにも遠くに旅する転がり草は山を越えて王様のお城に飛んで行ったなんて言う話もあるよ。
【転がり草の後始末】
転がり草が枯れた後、来年分の種だけをとったら焚き木にしてしまおう。あんまり転がり草を旅させていると天幕にぶつかって穴をあけてしまったりするからね。
転がり草の焚き木は枯れているからよく燃えるよ。この時気を付けないといけないのは転がり草に火が付いた状態でほったらかしにしておくことだよ。火のついた転がり草はどこまでもどこまでも転がりながら燃えていくからね。荒野の火事の原因は焚火に転がり草が飛びイコンで火のついたまま旅をしてしまう転がり草がいろいろ火をつけまわっているというのはよくある話だよ。
転がり草の育て方種まきからかれるまでを説明したよ。今度は君が育ててみるとどんな転がり草ができるかな?
転がり草のお話は、これでおしまい。
オカヒジキを含むヒユ科(旧アカザ科)は結構食用植物が多いんだよねぇ……
ダンブルウィードも牧草としての一定の利用価値があるし………
そういえばホウキギが枯れて折れたのが転がり草状態でどっか行ってたなぁ(笑)