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巡る日々のなかで

目が覚めた時、ここがどこなのか理解した。消毒液の匂いでここが病院なのだと。隣にはじいちゃんとばあちゃんがいたからすぐさま目が覚めたと先生に言いに走ってった。ここにあるボタン押せばいいのにな。


その後検査でも異常はなく、傷の具合からあと数日で退院とのことだった。


「ビックリしたぞー!玄関で血だらけで倒れとんや!

心臓止まるかと思ったぞ」


「俺だけか?」


「何がじゃ?」


「俺しかいなかったか?」


「他に怪我人がおったんか!?」


この口ぶりだとあの女はどこかに行ってしまったのかな?まぁ怪我はしてないだろう。


「何でもないよ」


「そうじゃ香代美も随分心配しとったぞ」


「香代美がか?」


それは案外以外でもあった。


「出てきたらぶっ飛ばすだとよ。学校が終わったら来るそうだわ」


いやー怪我人でもようしゃせんのかなあいつ…面会謝絶にしてください先生!


じいちゃんとばあちゃんはその日8時頃に家に帰ってった。それよりかは香代美が俺にあった時、泣いて

「あのとき私が止めてればー!」なんてよ!あの凶暴おんならしくない。俺の怪我は先生が見たときはどうしてこうなったか説明出来ないと言っていた。それもそうだろう、てか俺はその時の記憶がないでごまかした。山の中でなんかに襲われたのかななんて適当に濁らせた。


「いい風が入るな…」


個室なので気にせず窓を開ける。夜の気持ちいい風が頬を撫でる感触はなんとも言えない。眠れないのだが目をつぶって見ることにした。色々思い返す事がある昨日の一夜…


ふとカーテンが持ち上がるほど風が入ると思って目を開けると彼女がいた。


「流石暗殺者、ドアから入るのはお嫌いかい?」


特殊装備はな病院では似つかわしくない出で立ち。殺す気があるのか、まさかここで殺し合いでもしようと言うのか?


「癖なんだ許してくれ」


「今日は話し合いかい?それならいいんだが」


「もう狙わない」


「そりゃどうも」


「もう狙われる身だから…」


「どういうことかな?」


「……話す…べきなのだろう」


彼女はゆっくりと自分の生い立ちを語った。

試験管の中で産まれた…父親の顔は知らない、母親の顔も…能力者の二人の精子と卵子の受精卵は代理出産で産まれたのが自分。産まれたときからモルモットだった。


「どの国とかは知らない、色んな国の人がいた。どんな機関か、それは能力者を人工的に作り出すと言うもの。化け物を作るそれを兵士として配備する、そんな計画の為の実験所で産まれた。そこから私の地獄は始まった」


能力がはっきりしたのは2才の時。注射が怖かった私は予防注射の時に注射器の針を折り曲げた。そして私の鉄を操ると言う能力に研究員が興味を示した。


「地獄だ。物心ついたときには人を殺す勉強だ。気が狂わなければやってられなかった。見捨てられれば処分される。仲間もそうやって淘汰された」


私の能力は人には見えない。それに着目して暗殺と言う任務を与えられた。苦しむ悲鳴をあげずに殺すのだがしだいに痛ぶることに快感を覚えた。研究所では虫けら以下、自分より弱いものを痛ぶるのは気分がよかった。


「暗殺チーム、能力者が集まる中で私に居場所があった。でも負けは死を意味した」


仲間が死んだ。同じ暗殺チームの仲間だ。任務に失敗して死んだ。敵に殺されたのではない。見方にだ。


恐ろしかった。ここまで無事にこれたか一度の失敗で死んだ仲間。元々自我が強く殺すことに疑問を持って時々反発していた子だった。年下だった。


「見せしめ…と言うのだろう。心を殺されただひたすら殺す日々が続いた」


ある日仲間から救難信号が私に通達された。近くで仕事をしている仲間だ。敵に囲まれているとのこと。私に下された上からの任務は仲間の死を確認しろとのこと、死んでなければトドメをさせと、お前の能力ならできるなんてものだった。正直戸惑った。


遠くから確認する、まだ生きているそして見てしまった。発狂して自分の能力で死んでいく仲間の姿を、研究員達は知っていたはずだ。それでも確かな保証が欲しかったのだろう。


「人工的に作り出された能力者、それは親から受け継いだ奪鬼と呼ばれるもの」


奪鬼…それは正確には教えてもらえなかった。ウイルスの一種なのか、それとも細菌か、菌類やバクテリアなのかそれはわからない。とにかく目には見えない生き物、そう生き物。それは遺伝子に刻まれ親から子へ10%前後の確率で遺伝する謎の多い生物なのだ。


人工的に作り出された能力者達、元から能力者の者達とは違う特徴が多々ある。その一つに度重なる失敗などのストレスそれで能力が暴走して能力に殺されると言うもの。子供の内に仲間の一人を殺す。そうして任務失敗した者は死ぬようにコントロールされる。私にそれを確認させたのはあくまでも実験、本当に失敗で能力者達は死ぬのか?結果、Yes.


「もう逃げられない、そう悟った時この地に派遣された。研究所から出られる任務は嬉しい暗殺さえなければ。でも今回はそれはなかった。任務はとある女性の捕獲だった。あくまでも捕獲、嬉しかった。やっと生きた心地がした。張り切って飛び出したよ」


しかし、邪魔物が発生。任務を狂わされる。


「ごめんね!!こちとら生きるも必死よ!」


「違うよ、護衛チームが動いていたこと…私の組織も1枚岩ではなかったと言うこと」


ターゲットの護衛…私の後を追って護衛チームが日本に到着。現地の民間人に正体がバレ消そうとするも後から現れた護衛チームのメンバーの一人に阻止されるもなんとか応戦し戦闘不能に、しかし問題が発生。現地の民間人が能力者で油断した私は奮戦するも敵の強大な威力の前に敗北…そう本部に連絡した…


返ってきた返事は想像した事とは違っていた。


「その民間人…興味がある。メタマグから生き延びるなんてなかなかの逸材じゃないか?新たな司令だ。

その民間人を生け捕りにしろ。任務が完了しだいそちらにヘリを送る…いいね?失敗なないんだよ?」


「だからメタマグを体内に送り込まなかったのか?」


「どうせ分けられると思ったわけ、正直もう一度会おうなんて勘弁してほしかった」


それすら失敗。能力で死ぬことも出来ずきっと連絡はしてないけどまた部隊が送られるのは確かなこと。

自分は仲間に殺さる。能力も持たないただの女だ。敵にも思われないかもしれない。


「それで俺に忠告に来たと?一緒に戦ってくれるのか?頼りにしてるよ」


「私なんてお荷物よ。ただひっそりと死ぬ」


あぁ…なんて利用されるだけの人生…最後くらいは自分の意思で生きていたい。


彼女は何も言い残さず本当に助力も願わず消えた。


「………素直に言えよ……」


「生きたいってよー!!」


助けてとは言ってない、でも聞いてりゃよ…助けてほしいなんて聞くまでもなく言ってたじゃねーか!


「敵が来る?気を付けてね?そうじゃない!そうじゃないよな!血なんて見たくないよな!?切実な生きたいと言えないまで追い詰められてるんだろ!?」


いいぜ、俺は男だ!助けてやるよ!こんな話聞かされてここで寝てりゃそこの研究員と同じだもんな?


「今助ける!」


点滴の針を引っこ抜く…ちょー痛い(涙)でもな!あいつの心の痛みと比べれば!!


「行ってきまーす!!」


「あっこら!待ちなさい!」


看護婦さん押し退けて自動ドアが開く前に蹴破り夜の風となって消えた。



































「ふぅ…スッキリした…」


離したいことは言った。一人だけど悲しくない。先に散った仲間のことを考える方が辛くなった。私もやっと逃れられる。


「やっほー♪」


街灯!下!

瞬時に体が反応して意識的にホルスターから拳銃を抜いていた。体はもう暗殺者なのだ…


「そんなのおもちゃみたいなもんだね」


「X -24!?試験段階のはずじゃあ!?」


「これが試験♪やっほー行くよー?」


迷わず引き金を引く、一発二発三発と続けざまに命中するもずんずん進んでくる。それは止まることを知らない。


シュイーンッ!


指の間から隕鉄から作られた3本の爪を持ち、歩いてくる。噂には聞いていた、不死身の化け物がいると。

それはアニメのX-メンに出てくるウルヴァリンを真似して造られた様々な能力者を混ぜて造られた兵器。


「えいやー!」


ただの蹴り、それで内臓がやられる。痛めた内臓から出血し、倒れこんで吐血する。もうこの血からメタマグも出やしない…出たところであの化け物は倒せるはずもなかったから。拳銃は24の足元に転がってる。

銃口からはまだ硝煙が立ち上っていた。


「危ないんだよねこれー?」


ちょいっと爪先で蹴りあげ横の排水溝の金網の蓋の上に乗っかる。


「ううう…」


「痛いの?でもね!それもすぐ終わるよ!?」


歩いてくる…死が近づいてくる…終わりだ!


ひゅん!


コツン!


「痛い!」


「王子様参上!!」


「バカッ!何で来た!!」


「どっちにしても戦うことになってるんだろ?遅かれ早かれだ。問題じゃない」


抜群のタイミングだろ?ここで会わなければ…道を間違ってれば会えなかったろう…でもこれは運命でも何でもない。


「どうしてここが?」


「泣いてるのにも気づかないほど追い詰められてたのか?知ってるか?涙ってな透明な血なんだぜ?あんたは俺は言ったよな血なんて本当は見たくないんだろ?

てな、俺も見たくない出来ることならな…」


「目の前で泣きそうな女が立ってたんだよ!助ける理由はそれで充分だろ!」


敵は俺を最優先に片付けるつもりのようだ。俺に狙いをつける。


「そいつは殺せないんだ!逃げろ!」


あの特殊アーマーをあの道端に落ちてる銃で貫けるのか?そこでギャンブル賭けるか?


「ま、とりあえずこの手ひ平にテープが貼ってあるのが見えるか?」


「うんうん、あるね?」


さっき投げた石がひとりでに浮いて俺の手の平と直線上にいる敵の後頭部に直撃する。


コツン!


「痛い!」


そして石は俺の手の平に戻る。


「これが俺の能力のほんの一端だ?不思議だろ?」


テープは点滴を止めるテープをちぎった物だ。それを手頃な石に片方を張り付けもう片方を手の平に貼りつけたのだ。さーて次はどうくる?爪さえ気を付ければなんとかなるか~?


「痛いの好きー!痛いことしよー!」


「痛い子だな、脳が痛んでるぞ」


石を投げる。額に当たる。血が出るも一瞬で塞がったのだ。


「え?」


「痛ダキマス♪」


迫る爪…止まるほど緩やかな動きだ。今の俺の動体視力は能力を発動して高まっていた。そしてパワーもスピードも!


「ウラアアア!」


右腕から手甲が出てくる。メリケンのような凝固な拳の出来上がり。


「グプァァ!」


「今だアウトローの「右腕」だけしか発現してなくてよー!効くだろ?これ?」


へこんだ顔も治癒している…治癒するスピードがたいしたもんだよ…


「まだまだだよ!もっと!もっと!」


「遅い」


爪が俺をかすめるまで。俺は敵の足を数十回殴り付けた足が反対にくの字に曲がった。これぐらいしとけ!


「ふわーん♪すごいすごいよ!こんなに壊されるなんて!まだだよね!?まだいけるよね!?」


「ちっ…かまってられるか!」


拳銃を拾い上げ彼女をお姫様抱っこで走り抜ける!俺の地元まで帰れれば山の中は俺の庭だ!


「ちょっと!?どこ行くき!?」


「山だ!まだ叫ぶ元気は残ってるな?病院に戻ったらあいつは見境なく人を斬る!確信できる!」


それまで奴が無関係の人間を手当たり次第切らないか心配だ…辻切りとか流行んないで…





























「あーあ逃げちゃった…」


「X-24は?」


「私の下、キョロキョロ捜し回ってるよ…どこまでお守りさせるき?」


「次は戦闘場面を見たい、X-24もだが例の民間人が気になってな。X-24から逃げるなんてたいしたものだ。

殺させるな?生け捕りだ以上」


「了解…通信終了。X-24?行くよー」


「あいつ、いる?」


「いるいる。遊ぶだけだからね?殺すのは女、いい?

わかった?」


「うー!」


「怒ってもダメー!いい?わかった!」


「本部もマジめんどい仕事まわすわー…」


街灯から下り、アスファルトの地面に手をおく。


「物にも過去が見える…付いてきて」


「いっくよー!」


敵に休む隙さえ与えない。底無しの化け物がいれば

勝機はこちらにあるのだから。

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