にゃん娘1 草原
※猫娘が出てきたり異世界に転生しますがガチのハードSFです。ご安心ください。
気がつくと僕は草原の中に横たわっていた。
眼前に広がるのは真っ青な空と、ギラギラと光る太陽、そして白い雲。
そよ風が草原を駆け抜け、僕の頬を撫でる様に走り抜ける。
このままずっと寝ていようかと思ってしまう程気持ちいいそよ風。
そんなそよ風に身を任せながらどうしてここにいるのか思い出そうとした。
何で僕は草原に横たわってるんだろうな……?
僕は横になったまま思い出す。
そう。
そうだった。
僕は異世界に来たんだ。
思い出した。
完全に思い出した。
あれは昨日の夜の事だ……。
ご近所トラブルで死んだ僕。
ネコの神様に土下座をされて、ネコの住む異世界の国で王様になる為に送り込まれたんだった。
*
まあ、なんだ。
これはきっと夢だ。
夜中に隣の部屋があまりに五月蠅くて壁ドンしたのが原因でご近所トラブルに。
怒り狂ってやって来た隣の部屋の住人に殴られて死んだところからすべて夢。
冗談にもならないような話だ。
目が覚めたらきっと布団の中。
いつもの大学生活(苦学生バージョン)が待っている。
起きたら遅刻しない様に大学の講義に出ないとな。
それと講義が終わったら、バイト前に昨日拾った子猫のエサも買いに行かないと。
柄にもなく猫なんて拾うから、こんな変な夢を見てしまったんだ。
*
起きようか起きまいか、気持ちがいい風の中に体をあずけながら悩む。
夢は夢として楽しむか。
再び寝て冗談の様な夢が覚めるのを待つか。
どちらを選ぼうか青く澄みわたる空を見上げながら僕はぼーっと悩んでいた。
すると、そよ風とともに僕の視界の中に少女が現れた。
猫娘のコスプレをした少女だった。
少女は水着に似たブラジャーとホットパンツを着ていた。
程よいサイズの胸がブラジャーに収まり、それほど大きくないすっきりとしたお尻をホットパンツで包む。
髪はショートでオレンジがかった赤い髪。
歳は12~13歳ぐらいの感じのとっても可愛らしい少女だった。
よく見ると、お尻からふんわりした尻尾がふりふり動いてて、頭の上にはピンと尖った猫耳が付いていて、これまたよく動いてた。
どう見ても猫娘である。
そして目の前立った猫娘は横になった僕を覗き込んでいる。
「大丈夫かにゃ? 横になってるけど、気分悪い? どこか怪我してるかにゃ?」
「大丈夫。怪我はしてないよ。風が気持ちいいからここで寝てたんだ」
「そっかー。野原で寝るのは気持ちいいもんにゃ。あたしも今日みたいにいい天気の日は野原で良く寝るんだよ」
「一緒に寝る?」
「寝たいけど今は寝れないにゃ。迎えに来たにゃ」
「迎えに来た?」
「うん。今朝、夢の中に神様が出て来て、ここに王様が来るから迎えに来るように言われたにゃ」
「それで僕を迎えに来てくれたのか。ところでキミの名前は?」
「あたしは、夕焼けにゃ」
少女は自分の名前を名乗るとニッコリとほほ笑んだ。
「夕焼け?」
「あたしの名前にゃ。生まれた時、始めて見たのが夕焼けだったので、そう自分で名前を付けたんだにゃ」
「なるほどねー。ところで、さっき夕焼けが僕の事を王様って言ったけど、何でその事知ってるの?」
「夢の中に出て来た神様から聞いたにゃ。今日ここに王様を連れてくるから、王様の言う事を聞いてみんなで頑張りなさいって」
本当にあれは夢じゃなかったのか……。
いや、この状況自体も夢の続きなのかもしれないぞ。
これは夢か夢じゃないかと考え込んでいると、少女はそんな僕を現実に引き戻す。
「みんな待ってるから来るにゃ!」
少女は僕の手を半ば強引に引っ張って引き起こし、草原を駆け出す。
僕は猫娘の住む国で王様となるべく猫の国に向かう事になった。