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にゃん娘と作る文明開化  作者: かわち乃梵天丸
第一章 のほほんにゃんこ村
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大自然飢えぇぇぇ!5 お嫁さん候補

 そう言えば、朝から何も食べてないからお腹が空いてきたな。

 もうそろそろお昼ご飯の時間の気がする。

 夕焼け達を呼びに行こう。

 僕達は夕焼けたちの居る海岸に向かう。

 海岸では熱心に火打石を探す二人が居た。

 

「どうだ? 見つかったか?」

「だめにゃ。全然見つからないにゃ。こんなにやったのに……」

 

 砂浜には子供の背丈ほどの割れた岩の小山が積み上がっていた。

 

「随分と頑張ったな」

「俺も見つけられなかった。王様はどうだった?」

「僕もダメ。簡単には見つかりそうもないから、少し考える時間をくれ」

「わかったにゃ」

「じゃあ、帰ってご飯食べよう」

「もう、ご飯の時間なのか。楽しくて忘れてたにゃ」

「そうだな。毎日ゴロゴロばかりで飽きてたから、すごく楽しかったな」

 

 村へ戻ると早速漁を始める。

 川を流れる水がだいぶ澄んできたせいか魚もだいぶ川に戻り、今日の漁では二四匹取れた。

 

「今日は一人六匹づつだな」

「久しぶりに結構取れたにゃ」

「これならお腹一杯になるな」

 

 一瞬でお魚を食べ終えた夕焼けが座ってこれからお魚を食べようとする僕の前に来て、じっと見ている。

 

「おいしそうだにゃ……」

「ま、またかよ」

「おいしそう……」

 

 夕焼けの口からよだれが一筋垂れた。

 

「わーった、わーった、今日はいっぱい働いてくれたしな。じゃあ、ご褒美に一匹な」

「わーい! やったー! 王様ありがとにゃー!」

「あー! 夕焼け、また上手い事やったなー!」

 

 天色が僕の目の前にやって来て、座ると満面の笑みで僕を見下ろした。

 

「おいしそうだにゃ!」

「ちょっ! 天色、夕焼けの言葉遣い真似するなよ!」

「おいしそうだ! にゃ!」

 

 大きい身体で目をウルウルさせて僕に訴える。

 

「わかった、わかった。はい、一匹」

 

 僕のお魚は四匹に減った。

 ふと月夜を見ると視線を逸らした。

 きっと物欲しそうな目をしていたのを恥じて、僕から視線を逸らしたのか?

 可愛い奴だ。

 

「ほれ、お前にも一匹」

 

 僕のお魚が三匹になった……王様は辛いよ。

 だけど、月夜はそれを受け取らず返して来た。

 

「王様、ちゃんと食べて下さいよ。この前の洪水で流されて結構体力消耗したんでしょ?」

 

 そう言うと魚を返してくれただけじゃ無く、月夜の分の魚を一匹余分にくれた。

 

「いいのか?」

「今、王様に倒れられたら困ります。ちゃんと食べてください」

 

 僕のお魚が五匹に増えた。

 

「ううう……ありがとう。お前だけだよ。僕の事を心配してくれるのは……僕、月夜に惚れてしまいそう」

 

 月夜はその言葉を聞くと、照れたのか「ばかっ!」と一言いうと顔を真っ赤にして俯いた。

 なんかいつもはクールを通り越して毒舌なのに、照れてる月夜を見ると可愛い。

 それを見た夕焼けが大声で騒ぎ出した。

 

「うわー! マジか? マジなのかにゃっ! お魚あげると王様を惚れさせられるのかにゃっ? 夕焼けちゃんはさっき貰ったお魚を王様にあげるぞっ!」

「じゃ、俺は一番多く二匹のお魚を王様にあげて、惚れさせてお嫁さんになるんだ!」

「ずるいにゃー! じゃあ、わたしもあと二匹お魚あげて、王様のお嫁さんになるのにゃ」

「夕焼けはもうお魚持ってないだろ!」

「にゃにー!!!」


 僕は月夜を見た。

 月夜はモゾモゾしている。

 僕にお魚をくれそうな素振りをしてるけど、恥かしくて言い出せないでいるみたい。

 ここは僕から手を差し伸べてやろう。

 

「月夜もくれるのか?」

 

 こくんと頷く月夜。

 うは、すごく可愛い。

 可愛すぎる。

 いつもやられてばかりなので、ここはすこし冗談ぽい感じでからかってやろう。

 

「何匹くれるんだ? 天色が二匹だから三匹くれればお前がトップのお嫁さん候補だぞ」

 

 顔を真っ赤にする月夜。

 ほっぺがサクランボの実の様な色になってる。

 か、可愛すぎる。

 こんな月夜の表情は初めてだった。

 言い辛そうだったのでトドメをさしてやった。

 

「月夜は三匹だよな? 僕のお嫁さんになりたいんだろ?」

 

 すると恥じらってた月夜の表情が豹変した。

 怒りが顔に滲み出た。

 

「ばっ!ばか!!! もう知らない!」

 

 僕は月夜からお魚の代わりに強烈なビンタを貰いました。

 ちなみに、その後、貰ったお魚をみんなに返して、みんなで楽しく仲良く食べました。

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