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The hopeless world ?  作者: ハロハロ
狂った化物は慟哭する
9/36

神谷竜輔

二章ということで登場人物紹介です。


桜河 ナギーー主人公。漣の助手。


さざなみ 和真 ーー心理カウンセラー。


城本 千夏ちなつーーナギの親友。美人かっこい            い。


長瀬 木乃香ーーナギの友人。


五木いつき 渚 ーーナギの友人。


上田 早苗ーーナギの友人。


一文字 まさしーーナギの友人。木乃香たちと           長い付き合い。

神谷かんや 竜輔ーー漣の知り合い。情報屋?


こんなもんですかね。

もの凄く大雑把ですけど、主要登場人物は彼らです。

それでは、本編をどうぞっ。



 桜咲く四月。晴れて高校生になった私は耐えていた。

 今日が入学式ということもあり、私の周囲には多くの学生が見受けられる。

 新たな出会いや、出来事に胸を躍らせているのだろう。誰もが笑顔だ。

 羨ましい。············私とは違うのだから。

 空を見上げると、視界に広がるのは憎たらしいほどの晴天。

 ············そんな中私は耐えている。

 この感情を押さえ込むのもそろそろ限界が近い。最近では、表の私の時でもボロが出る有様だ。

 ふと、前を見ると、友人が笑顔で歩み寄ってきている。

 私を影で支えてくれている、大切な友人。

 この子がいてくれるから、私は普通でいられる。

 私は、表の私にバトンタッチし、日常へとその心を躍らせる。

 

 ············いつから、私はこんなふうになったっけ?

 そうだ。小学六年生の冬。あの日から私は”狂って”しまい、化物だったのだ。


         ♢  ♢  ♢


 八月。

 顔を伝う汗は拭っても拭ってもきりが無い。

 ーー暑い······あれか。地球温暖化のせいなのか。

 連日のように各地で最高気温の更新が騒がれている今日。桜河ナギは小さなビルの一階にある、とある事務所の扉に手をかけた。

「おはよーございまーす」

 扉を引くと、心地良い冷気が流れ出る。

 そしてそれと重なって、コーヒーの香りも鼻腔に触れる。

「おう。おはようさん。今日は一段と暑いな」

 漣メンタルクリニック。

 主に躁鬱病に関する相談所。もとい、診療所。

 最寄駅から徒歩数分。ビルとビルの間にぽつんと屹立する小型ビルの一階に事務所は構えている。

 正直な話、通行人の目に付きにくいという点と、看板を付ける余裕もないので、目立たない上立地条件は最悪に近い。

 ナギは夏休み前の一件以来、鬱の事後確認の過程を踏まえ、目の前の男の助手として通っているのだ。

 さざなみ和真。

 第一印象がだらしないと言う言葉にぴったりな彼は、この事務所の主であり、ナギの命の恩人とも言える人である。

 現代の日本は働きすぎによるストレスや、その他の原因によって、新たな国民病にその名を連ねるほど鬱が蔓延している。

 そして鬱を一線越えた先にあるのは”狂気”だ。

 ”狂う”から鬱になるのか、はたまた鬱になるから”狂う”のかははっきりしない。

 漣はそんな今の世界に対抗しうる、心理カウンセラーの仕事を生業としている。

 ナギは荷物を自分に与えられた机に置き、少しでも体を冷やそうと服の襟首をパタつかせる。

 その動作は妙に艶かしさを感じさせるものだ。

「外はすごい暑さですよ。もう地面が鉄板みたいに」

「そうだろうな。さっきだってニュースじゃ、もう何人か熱中症で運ばれてるらしいしな」

「うがー。ホントやってられませんね」

 ナギはエアコンの温度を下げるべく、リモコンに手を伸ばす。その時、ふと、漣は何かを思い出したように尋ねてきた。

「そういやあ、今日は城本は来てねえんだな」

 城本千夏ちなつ。ナギの中学以来の大親友。

 先月の件も彼女の働きによって、ナギは助かったのかもしれない。

 しかし、今日彼女はこの場にいない。

 ナギがこの事務所に通い始めてから何度か一緒に来たことはあるが、そう毎日来るわけではないので、今日はたまたま来ないだけだろう。 

「明日くらい来るんじゃないですか? 何か用事があるなら伝えときますよ?」

「いや、いいさ。別に大したことじゃないしな」

 本当に大したことじゃないのか、漣は雑誌を手に取り読み始めてしまった。

 ナギも特に気にすることなく。助手としての仕事を果たそうと、書類の束に手を伸ばす。

 その時、唐突に事務所のドアが開いた。

 

「おっはよう!」

 

「うわあっ」

 突然の来訪と、大声に驚いて声を上げてしまうナギ。

 漣はというと、まるで疫病神にでも出会ったかのように、眉間に皺を寄せ、心底不快な顔で来訪者を睨んでいる。

 やって来た人物は、ナギも知りる人だった。

「ちょ、ちょっと。もう少し静かに入って来てくださいよ。神谷さん」

「おおっと。これはこれは失礼したね。以後気をつけるよナギちゃん」

 ーー絶対に気をつける気はないな、この人。

 ナギの目の前に立っている若い男は、ニコニコと笑いながら応える。

 ナギは小さく嘆息する。

 ナギも詳しくは知らないこの人物。名前は神谷かんや竜輔りゅうすけと言う。

 助手としてこの事務所に通い始めてから、数回会ったことがある程度だ。

 彼を一言で表すなら、謎の男。である。

 以前に聞いたところ、情報を扱うアドバイザー。と、胡散臭さ極まりない応えが返ってきた。実際は不明で、何をしているかなどは全くもって分からない。

 ただ、漣とは何やら縁があるらしく、暇があればこうやってちょっかいをかけに来る変人でもある。

「よお······竜輔。ちょおっと、てめえに聞きたい事があるんだがよ······」

 不気味な笑顔を貼り付けた漣は、何故か怒気を孕ませた声音で神谷に尋ねる。

 そして、白衣のポケットから幾つかの四角い機械らしき物を取り出した。

「なんで事務所に盗聴器こんなものが仕掛けられてあったんだろうなあ? 竜輔、心当たりはあるか?」

 ーー盗聴器っ? 一体誰がーー。

「へぇ。もう見つかったか。いやはや流石和真ってとこかな」

 犯人判明。

「てか、えっ? さらっと認めるの?」

「てめえはモラルって言葉を知らねえのか!」

「っとお。危なッ。グーは危ないって和真」

 ひらりひらりと漣の拳を紙一重でかわす神谷。その顔は笑っている。

 ただでさえ暑いというのに、こうも室内で暴れられたら目障り極まりない。

「もうっ。二人ともっ静かにしてください!」

 年下であろうが関係無い。

 ナギの一喝により、二人はあっさりとおとなしくなった。



「んで? 今日は何しに来やがった」

「ひどい言い方じゃないか。俺はここに遊びに来たら駄目なのかい?」

「ああ。駄目だ。帰れ」

「帰らない」

 ーーこの二人は······。

 ナギは人数分のお茶を淹れ、手渡す。

 遊びに来たとはいえ、一応は来訪者だ。それ相応の対応はしなければならない。

「二人ともそういがみ合わない。まったく。子供じゃないんですから」

 ナギは何か話題を見つけようと、テレビを点ける。すると、丁度放送されているニュースに全員が釘付けになった。

 内容は、最近巷で話題の種である、ある事件だ。

『続いては、最近、頻繁に出没するようになった、通り魔事件についてです』

読んでいただきありがとうございます!

今回は第二章の初っぱなということで、話の触りだけです。



いま思えば小説を書き始めてそろそろ2ヶ月ですねえ。自分の実力は上達したのかしてないのかw

さて。今回の第二章ではある狂った一人の化物を書いていきたいとなあ、と。

まだまだ拙い文章ですけど、暖かい目で読んでくれたらと思います。


また、誤字脱字、感想や質問などあれば気軽に尋ねてください。

次回も目を通してもらえることを祈りつつ。


                 霞アマユキ

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