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The hopeless world ?  作者: ハロハロ
狂った化物は慟哭する
23/36

狂い 絶望

 私は私を保てない。

「························くっ」

 眼が熱い。呼吸が苦しい。

 何となくだが、分かる。あと数日、いや、今日中にでも私は壊れるのだと。

 怖い。

 しかし自分の殺人衝動は歯止めが利かない機械のように、淡々と心の中を蝕んで行く。

 そして、渇望する。

 ············殺意を。ひりつくような、あの殺意を······。

「···········はっ」

 まるで血に飢えた狼だ。

 暴れ出さないための鎖はもう存在しない。

 私自身が、手放した。

 もう何年も前············。そう。丁度、小学校の卒業式の数日前だったか······。


 あの日、あの出来事から私は ”狂い” かけ、殺人衝動に見舞われた。


 幼かった私はすぐに壊れかけた······。

 人を殺してみたいなんて恐怖に一人で戦って、でも逆らえなくて。

 誰かを頼ることも出来なくて······。

 どうしようもなく、ただ耐え続けて。

 そして気付いたら中学校の入学式だった。

 そこで私は彼女に出会ったんだ。

 心身共に極限まですり減っていた私を救ってくれたおかしな名前の少女。

 

『私の名前は、桜河ナギ。入学式なのにどうしたの~? せっかく中学生になったんだから、新しいことを楽しまなくちゃもったいないよ?』


 彼女との初めての会話が思い起こされる。

 第一印象は余計なお世話。

 しかし、不思議と嫌な気分じゃなかった。

 本人は何気なく言っただけなのだろう。だが、確かに私は彼女の言葉によって気持ちが晴れるのを感じたんだ。

 ············そんな私を支えてくれた人物が、ナギの姿が頭の中でスウッ······っと薄れていく。

 彼女の笑顔が、存在が、消えていく。


「あ、ああ·····················ぁ」


 私を、救ってくれた············大切な、大切な友人。


 ······························もう、いない···········。


 ーーどうせ壊れてしまうなら、 ”狂って” しまうのなら······!

 私は歯を噛み締める。ふらつく足を前に出す。

 蹌踉よろめきながらも前を見る。

 ーーあいつだけは、何としても············!

 血が滾る。じわじわと殺人衝動が全身に浸透する。

 時間は分からないが月が結構高い。おそらく夜の十一時前。

 奴が現れるには頃合の時間だ。

 そして、おそらく今夜、奴は現れる。分かるのだ。あいつもまた、私と同種なのだから。

 どのみち私に残された時間は多くはない。

 ーー今夜中に決着けりを······ッ。

 しかし闘志を鋭く尖らせる私は、そこで全く予期しない人物と邂逅することになる。


「千夏!」


 聞き覚えのある声。温もりのある声。私を、救ってくれた声。

 ············一体、どうしてここに······。


「ーーーーナギ······」


 私は、どうすればーー。 


        ♢ ♢ ♢


「千夏!」

 ナギは駆け寄り、叫ぶ。

 千夏の双眸は炎がうなりを上げているように荒々しく、もしくは底の知れない透き通った海のように冷徹で、蒼い。

 漣の予想は、見事的中した。

 ナギはついに千夏に追いついた。

「はあっはあっ······」

 息が切れる。

 衝動的に追いかけたので漣ははるか後ろにいるだろう。

 千夏は、そんなナギを見つめて停止しているが、戸惑いは隠せないらしい。

「やっと、捕まえたよ、千夏」

 ナギは千夏の服を掴む。

 絶対に離さないというほど、強く掴む。

 今は、路地裏の時みたいに無知じゃない。千夏の苦しみならほんの少しだが理解しているつもりだ。

 負のオーラというのだろうか、彼女からは禍々しい何かが、滲み出ているのを肌で感じる。

 千夏は俯ついた状態で口を開いた。

「············離れろ」

 凶器とも受け取れる暴力的な敵意が、千夏から発せられた。

 明確な、拒絶。 

 それでも、ナギは怯まない。

 昨日のナギなら怖じ気付くかもしれない。でも、今なら堂々と向き合える。

 千夏はギリッと奥歯が欠けてしまうのではないかというほど強く歯噛みした。

「来るなって、言ってるだろ! 私に構うなッ」

 強引にナギの腕を振り払う。

 服の繊維が引きちぎれる音などお構いなしだ。

 ナギの腕は千夏の振り払う力に耐え切れず、離してしまう。

 と同時に彼女は走り出そうとした。

 一匹であることを望む狼のように。

 ······だが、


「そんなの関係あるかあぁぁ!」


 がしっと、再びナギの腕は千夏を捕らえた。

「あんたがどれだけ私を拒もうが、私は絶対に構ってやる。私が千夏をどうしようが、私の勝手だろうが!」

 そんな理不尽極まりない思いを叩きつけた。

最後まで読んでいただきありがとうございます!


さて、夏休みが終わります。あんまり休みって感じでもなかったんですがw講習なんてものもありましたし(^^;;

二学期に入ると、何かと忙しくなるのが確定なので、もしかしたら毎週水曜日の投稿が難しくなるかもしれませんね……


なにはともあれ、毎度のことながら誤字脱字、アドバイス等々よろしくお願いします!


では、次回も目を通してもらえることを祈りつつ

              霞アマユキ



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