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実際にやってみた

作者: 玄野志向

 どうも皆さん、こんにちは。普段当サイト、小説家になろうにて、ファンタジー小説を主に書かせていただいている久露埜(くろの) 陽影(ひかげ)という者だ。

 前置きの長い小説は駄作と言われる。早速本題に入らせていただく。


 この小説は――――小説とは名ばかりのものだが――――私久露埜 陽影が様々な怪奇現象を実際に起こし、そのレポートを行うものである。

 ホラー作品ではあるが、実際に行ったものであるため、露骨な怪奇現象は恐らく起きないであろう。その事だけは、心得ておいて頂きたい。




 実際にやってみた「失明文章」編


 まず実際にやってみたのは、失明文章だ。以下の文章を初めから終わりまで三回読むと、なんと読んだものは失明してしまうという恐ろしい文章である。


飛び行く鳥よ どこへやら

木に住む鳥よ どこからか

疑より強しは 両目の痛み

強い日差しは 彼方からの巧みか

隣の猫は 鳴き止まず

石転がせれば 窪みに落ちる

3回唱えど 彼方からの巧みは現れず

暗い果てまで宛てなく進む

病み止む宛ては 彼方からの巧みか

疑より強しは 両目の痛み


 ……結論から言おう。失明はしない。まぁ、正直この結果は見えていたのだが。

 そもそも、誰かが失明したならその書き込みが何処かにあるはずだし、書いた者が文章チェックをしているうちに失明するはずだ。

 以上の事と、また私が失明せずにレポートを続けているという点から、この失明文章は根も葉もないガセネタであると断定することができる。

 ただ、もしかしたら失明してしまう特異な方もいるかもしれない。読みすぎには注意していただきたい。




 実際にやってみた「ツナカユリコ」編


 さて、こちらもマニアックな方なら知っているかもしれない。が、やはり説明は必要であろう。

 ロールプレイングゲームには、主人公の名前を自分で変えられるというシステムがよく使われる。基本は四文字だが、場合によってはそれ以上でも可能だ。

 その名前を「ツナカユリコ」という名前にすることで、何らかの怪奇現象に見舞われるという話だ。


 だが、先入観があるとふとした事……例えば、家具が軋む音程度でも、ラップ音などと勘違いしてしまいかねない。

 そこで、友人Fに協力してもらった。彼には詳細を一切教えることなく、ツナカユリコを実践してもらった。

 上記の理由もさることながら、怖がってやって貰えないという事も考慮しての事だ。本音を言えば、理由の六割は後者だ。


 結論を言うと、怪奇現象は一切起きなかった。

 そもそも、名前だけで人を呪うには相当に圧倒的な力と知名度が必要だ。具体例を挙げるとすると、かの平将門公はあるゲームに名前を使われた際に怪奇現象を起こしている。(名前に『様』を付けることで解決したらしい)

 だが、このツナカユリコはどうだろう。力は解らないが、知名度に関してはほぼゼロに近い。そんな存在が、名前だけを媒体として呪うというのは無理があるだろう。




 実際にやってみた「こっくりさん」編


 恐らく説明は不要であろう。五十音の書かれた紙の上の方に「はい」「いいえ」と書き、その中央に鳥居のイラストを書く。

 四人で十円玉に人差し指を置き、狐の霊を降霊させ質問に答えてもらうというもの。中学時代の友人A、I、Yに協力して貰い、実際に夜に行った。


 ルール通りに行ったところ、十円玉は確かに不自然な動きを見せた。が、Iの顔がニヤついている辺り、やはり人為的な力が加わっているようだ。

 特に、我々は中学時代から親しかった仲。こういう関係では、ふざけるものが出てきてもおかしくはないだろう。何しろ私自信、数回自分の力で動かしてしまったのだから。


 ここで、ふと気付いた。こっくりさんがブームとなっていた頃も、やはり仲の良いもの同士でやっていたのではないか、と。

 親しい者同士の、形を変えたちょっとしたコミュニケーション……。結局、こっくりさんとはそういうものだったのではないだろうか。


 結果として今回も、目立った怪奇現象は起こせずじまいだった。次回から、より強い怪奇現象が起きるものを試すこととする……。




 実際にやってみた「ひとりかくれんぼ」編


 これもなかなかに有名な降霊術の一つだ。霊を降ろし、自分を呪わせるという危険な遊びだ。さらに、今回はより過激な現象を起こすべく、一部ルールを意図的に破って行いたいと思う。

 まずやり方だが、諸説あるが、とりあえず今回はこのルールを採用することにする。


【準備】

1 ぬいぐるみの綿を全て抜き、代わりに米を詰める

  ※米は本来は内臓を表す・霊を集める役割をなす

2 自分の爪を切り、かけらをぬいぐるみの中に入れ、詰め穴を赤い糸で縫う

  ※自分の髪の毛、皮膚、血などでもかまいません。

  ※赤い糸は本来は血管を表す、人形との繋がり、人形に集まった霊を人形の中に閉じる結界


3 縫い終わったらそのまま糸をぬいぐるみに巻付け、ある程度巻いたらくくる

4 隠れる場所に塩水を用意しておく


【手順】


1 ぬいぐるみに名前をつける(自分の名前以外なら何でも良い)

2 午前3時になったら『最初の鬼は○○(自分の名前)だから』とぬいぐるみに向って3回言う

3 風呂場に行き、ぬいぐるみを風呂桶に入れる

4 部屋に戻り、家中の明かりを消して、テレビをつける

5 目をつぶり10数えたら、用意した刃物を持って風呂場に行く

6 ぬいぐるみの所へ着いたら『○○(ぬいぐるみの名前)見つけた』と言ってぬいぐるみを刺す

   ※刃物で赤い糸(封印)を切ることによって霊を開放させる


7 『次は○○(ぬいぐるみの名前)が鬼』と言いながら置く

8 置いたらすぐに逃げて塩水を用意した場所に隠れる


    ※複数でする場合は、参加者全員に鬼の役が回る様に隠れんぼをする。

      その際もぬいぐるみも入れて隠れんぼをする。

      ぬいぐるみの鬼は最後にする

      参加者で最後の鬼の番が来たら6から


【終わり方】


1 コップの塩水を半分口にふくみ、隠れている場所から出て、ぬいぐるみを探す

(風呂場にいるとは限らない。また、途中で何が起こっても塩水を吐かないよう注意)


2 ぬいぐるみを見つけたら、残りの塩水をぬいぐるみにかけて、口の中の塩水も吹き掛ける


3 『私の勝ち』と3回言う


一応はこれで終わりです

が、ぬいぐるみは乾かして必ず燃やして捨てること


     ※複数でしている場合は途中抜ける事も可能。

    抜ける際、塩水を含みぬいぐるみを見つけ『○抜けた(抜ける順番)。

    次(又、残り)は、○○(残っている人の名前)。』と言って終わらし、避難所へ行き遊びが終わるま で待機する。


 だが、このままではまた大したことのない結果になりそうだ。そこでこの中から、隠れる場所に置く塩水を省くことにした。塩は神聖なものとして、魔除けに利用されるからだ。

 加えて、1~2時間という制限時間を破り、さらにこの使用した人形はそのまま自宅で取っておくこととした。これだけルールを破れば、過激な心霊現象が起きてもおかしくはないだろう。

 さて、ここからは私のTwitterの投稿をそのまま貼り付けていきたいと思う。文体やテンションが大きく異なることは、先にご了承いただきたい。



 さぁ!ひとりかくれんぼやるか!


 俺の葬式にはたけのこの里を頼む


 手頃なテディベアありおる


 はい、米の無駄遣い


 縫えました。服を着せてぐるぐる巻きにします

挿絵(By みてみん)


 なんて女子力高いんだろう


 ベアを浴槽にシュウウウーーーッ!

挿絵(By みてみん)


 超! エキサイティンッ!


 ありがとう。切り札があるから死にはしませんよ


 名前は友人Aと同名にしました


 隠れた


 暇


 眠い


 ほら来いよA、武器なんて捨ててかかってこい!


 一時間経過


 いや、もう塩水なしでやっちゃってますけど…


 ええええ! あ、でも私は死なないから大丈夫ですよ!


 切り札があるんでね!


 予想外にやることない


 切り札を強調しまくるクロノさん


 えっ


 今カサッつったぞ


 冗談はよせよ


 風だな、うん


 ありがとう。頑張るよ


 何でこんなことしてんねやろ…


 アイス食べたい


 二時間経った


 またビニールカサカサ


 あな


 いやいやいや


 何かがカンカン言ってる


 やべええええ


 風呂場から水音聞こえる。またシャワー壊れたか(逃避


 砂嵐がたまに途切れる……?


 気のせいだろう


 ちょっと寝てた


 気付いたら三時間経ってる。朝の六時


 そろそろ出ようかな


 おい


 嘘やん


 テレビ消えてる?


 出れねぇよ!なんでテレビ消えてんだよ!


 あれ、塩水ないと終われない?


 今さら気付いた


 救援求めるのもアウトだしなぁ


 詰んでない?


 待て待て待てどうやって出んの


 面白半分でやんなきゃよかった


 ふざけんなよ


 まだポタポタ行ってる


 でも浴槽に水張ってないよね


 頭打った


 腹減った


 上の家がうるさい


 あれ?六時だぞ?起きるの早くね?


 つまりそういうことか


 もうダメだ


 切り札で強制終了させる


 はい終わり


 ファッ


 動いてない?

挿絵(By みてみん)


 あちゃ^~やっぱ動いてたか~


 終わりよ



 ……ちなみにその時、風呂場に水滴は見当たらなかった。私が聞いた音の正体は未だ不明のままだ。

 そして、消えたテレビの謎についても不明だ。見てみたところ、ただ単に電源が落ちており、リモコンでまた簡単につけられた。

 リモコンは居間に、私は隣の和室の襖の中にいたのだが、なぜ電源が切れたのか。怪奇現象の成せる技かもしれない。


 テディベアは結局処分せずじまいだが、これといって怪奇現象は起きない。ただ、それ以来肩凝りがひどくなったような気がしないでもない……。




 実際にやってみた「鬼門破り」編


 さて……トリを飾るのはこれだ。ネットの某巨大掲示板に投稿されたやり方を以下に示す。


<手順>

1:秋葉原駅から日比谷線に乗り、茅場町駅で降りる。

 ホームを八丁堀方面に行くと、鉄格子の下に塩がおかれてるので、それを足で蹴散らす。

2:そのまま東西線に乗り換え、高田馬場駅で降りる。

 ホームを西武新宿線乗り換え方面に行くと、鉄格子の下に塩がおかれているので、それを足で蹴散らす。

3:そのまま、もう一度東西線で茅場町駅で降りて改札をくぐり、4a出口の階段の下に米を10粒たらす。

4:そのまま、日比谷線の茅場町駅に乗り、築地駅で降りてホームを築地本願寺方面に行くと、鉄格子の下に塩がおかれているので、それを足で蹴散らす。

5:そのまま、日比谷線に乗り、目を閉じてあなたが一番したいことを考えながら手を組んで、そのまま乗っている。


 これは正直、私もあまりやりたくはない。何故なら、実際にこれを行い不審死したという者がいるからだ。加えて、これを行うには結構な額の費用がかかる。それも、できれば避けたいところだ。

 だが、実際にやってみるのがこの企画。やらなければなるまい。それに、切り札がある限り私は死にはしない。


友人Aです。久露野陽影さんと、こっくりさんをした、中学の友達です。自分にもしものことがあったら、これを仕上げて投稿してほしいと、彼に頼まれてました。

ユーザーIDと、パスワードを教えてもらって、もしもの時に自分に、何があったのか書いてほしいと、言われました。久露野さんは、8月4日から、行方不明になりました。今、警察の人が探してます。でも、一日以上メールが来なかったら、これを投稿してほしいと言われたので、やりました。

久露野さんから、メールで最後に、『電車が止まった』と来ました。それ以上、連絡はありませんでした。もう何を書いたらいいか、解らなくなってきたので、これで終わりにします。






















 実際にやってみた「切り札」編


 ……まずは、見苦しい文章をお見せしたことをお詫びしよう。筆者は再び、久露「埜」陽影がお送りする。Aは間違えていたが、久露「野」ではなく久露「埜」が正解だ。

 さて、この度あの世から蘇ったのは、私が再三に渡って言い続けた切り札についてきちんと説明するためだ。


 私が絶対的信頼を置く切り札。それは絶対にして完璧な防護線だ。この切り札さえあれば、私は絶対に怪奇現象で死ぬことはない。

 いや、長い前置きはよそう。私が行った切り札――――


 それは、『やらない事』だ。


 すなわち、私は実際にはどの現象も起こしていない。結局は、ノンフィクションのレポートの皮を被ったフィクション小説だということだ。

 どれだけ危険な現象だろうと、やらなければ危険は及ばない。実に簡単かつ確実な切り札と言えよう。


 失明文章は、一度も読んでいない。ツナカユリコは実際にやらせたが、彼は実際の所ツナカユリコの名を着けたものとは別なゲームをやっていた。

 こっくりさんも、A、I、Yは確かに実在するが集合すらしていない。ひとりかくれんぼに至っては、テディベアに赤い糸を巻いただけのものを撮り、浴槽に入れて撮影、間髪入れずに位置をずらして再度撮影したものだ。そもそも撮影時間も正午に近い。

 鬼門破りも例外ではない。そんな金のかかること、貧乏高校生はやっていられないのだ。


 いかがだっただろうか。安堵した方や、或いは失望した方もいるかもしれない。ともかく、これで「実際にやってみた」を終わりにさせていただく。


 ご拝読ありがとうございました。

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[良い点] うん、なかなか緊迫感に溢れた小説やった 面白かったー! [気になる点] 特にない [一言] 面白かったですー 鬼門破り?やってみようかな
[良い点] シンプルですーっと読める良い体験談だなあ、と思っていたら二転三転!面白かったです!
[良い点] あ
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