20.ゲーム終了
装備を一新し、心機一転真面目にゲームとしてプレイを再開した。
ハイドと二人だけでなく、パーティ行動も徐々に増えていき、全体的にレベルを上げた。
レベルが上がれば金もたまりやすくなり、ゲームを始めて二年経ち、やっと家が建てられる金額が溜まった。
最初に考えていた金額よりも、鍛冶屋のヨイチの店舗や、グリフォンの寝床など、面積と建物が増えてしまったが、何とか全員で支払いを終えた。
「長かったなぁ」
「いいねぇ、自分の家……リアルでも欲しい」
「秘密基地っていうか、別荘って感じだけどな……」
「よし、目標達成したし、しばらくゲームは封印だな」
「何だ? また普通のゲームでもするのか?」
不思議そうに聞かれたので、首を横に振る。
「元々、目標達成したら終了するつもりだったから。まぁ、たまには皆に会いに来るけど」
「そうなの? まだまだレベルも上がるし、またアップデートとかもあるでしょ?」
確かにこの異世界を走り回るのは楽しいし、第二の人生みたいで好きだけど、こればっかりっていうのは、いつか飽きがくる。
現に、この二年でSDオンライン以外に、より高度な技術が盛り込まれた新しい機種が出ており、ユーザーは流れていってる。
ゲーマーのヨイチはさっさと移動してしまったくちで、たまに皆に会いにこちらへやってくる。
完全に飽きてしまったわけじゃないが、ここでの生活もルーティンワークになってしまっている。
毎日来たい場所というより、たまに来たい場所になってしまった。
「エンディング見たらそのゲームは終了って思っちゃうんだよな……。今回のゴールは、このツリーハウス。今、すごい達成感がある。やったー、終わったー!って」
「極めようとしても、気付いたらアップデートでゴールの遠ざかってるゲームだからな。それが面白いと思うんだが……」
「まぁまぁ、ゲームの楽しみは人それぞれだって。皆と子供のときみたいに遊べて楽しかったし。気が向いたらまたやるよ」
「相変わらず、あっさりしてるわねぇ」
ラエラがため息混じりに笑う。
「レンはそういう性格だからな」
そういうシローも、最近は頻繁に来なくなっている。
「また集まるときにはメールするねー」
アリーシアもリアルで会えるので特に引き止めない。
「俺もその時一緒に呼んでくれたら、こっち来るから」
ヨイチは、新たなゲームでも鍛治一筋らしい。
「またな、レン」
ハイドがレンの髪を撫で、ぐしゃぐしゃにした。今までのお返しだろう。
「じゃまたなー」
一度も使ったことのなかった、途中ログアウトのボタンを押して、眠りの中のゲームから現実へと戻った。
おわり
後書き
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
最近話のプロットが立てれず、気楽に何か書けるものを書こうと、この話を書き始め、かなり適当に書いておりましたら、多くの方に読んでもらうことが出来まして、びっくりしております。
こんなゲームがあったらいいなーという設定だけ作り、完全見切り発車で書き始め、場当たり的につないだ話となってしまいました。
誤字や説明不足を指摘していただいたり、感想をもらったり本当にありがとうございました。
最後が尻すぼみですが、ご容赦下さい。




