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仮面のない空へ  作者: R


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第一章・第4話

敗北


 幹部の仮面が、赤く光った瞬間――

 空気が、重くなった。


 Rの足が、自然と止まる。


 ――圧が違う。


 さっきまでの黒仮面たちとは、明らかに格が違う。


「……下がれ、R」


 カイが、低く言った。


 だが――


「……いや」


 Rは、一歩前に出た。


「守る……」


 そう言いかけた瞬間――


 幹部は、消えた。


「……っ!?」


 次の瞬間、

 Rの視界が、横に吹き飛んだ。


 地面に叩きつけられる。


「がっ……!」


 息が、止まる。


 仮面越しでも分かる。

 ――骨が、軋んだ。


「遅い」


 幹部の声が、背後から聞こえた。


 Rは振り向こうとするが、

 間に合わない。


 ――蹴り。


 Rの体が宙を舞う。


 仮面が、ひび割れた。


「R!!」


 ユナの叫び。


 カイが間に割り込む。


「くっ……!」


 だが、カイもまた、

 簡単に吹き飛ばされた。


「二人とも……弱いな」


 幹部は、淡々と言った。


「仮面の力に、振り回されているだけだ」


 Rは、地面に伏せたまま、

 歯を食いしばる。


 ――違う。


 ――守るために、使ってる。


 そう思った、その瞬間――


「だからだ」


 幹部は、Rの仮面を掴んだ。


 ――ぎしっ。


 力任せに、引き剥がされる。


「……っ!」


 仮面が、外れた。


 空気が、冷たく感じる。


 “力”が、消えた。


 身体が、一気に重くなる。


「仮面がなければ……

 お前は、ただのガキだ」


 幹部は、Rの額に指を当てた。


 ――撃つ気だ。


「やめろ!!」


 ユナが叫ぶ。


 カイが立ち上がろうとする。


 その瞬間――


 空気が、切れた。


 ――バンッ!!


 幹部の仮面が、

 横から叩き割られた。


「……?」


 全員が、そちらを見る。


 路地の奥に、

 ひとりの男が立っていた。


 黒いコート。

 そして――

 ひとつだけの仮面。


 装飾のない、古い仮面。


 だが――


 ただ、立っているだけで、

 場の空気が変わる。


「……誰だ」


 幹部が、低く唸る。


 男は、静かに答えた。


「……通りすがりだ」


 その声は、

 深く、落ち着いていた。


 ――クロウ。


 まだ、Rはその名を知らない。


 だがこの出会いが、

 すべてを変える。

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