第三章・第7話
【第五の門 ――《剣聖》の仮面使い】
第五の門の先は、
静まり返った道場だった。
床は木。
空気は、張りつめている。
中央に、
ひとりの剣士が立っていた。
白い仮面。
刀を、構えている。
「……久しいな、ジン」
ジンの目が、見開かれる。
「……まさか……」
「……アシュラ……!」
剣聖の仮面を被る男。
かつて、ジンの兄弟子。
「……お前が……エクリプスに……」
アシュラは、静かに言う。
「……剣は、力だ」
「……力は、仮面にある」
「……俺は、正しい道を選んだ」
ジンは、剣を握り直す。
「……違う」
「……剣は……“生き方”だ」
二人は、同時に踏み込んだ。
――キィン!!
剣が、ぶつかる。
火花。
何十合も、打ち合う。
だが――
アシュラの剣は、
“迷いがない”。
ジンは、押される。
「……迷ってるぞ、ジン」
「……まだ、捨てきれていない」
ジンは、歯を食いしばる。
「……俺は……」
「……守るために、剣を振るう!」
アシュラの動きが、一瞬止まる。
その隙――
ジンは、全力で斬り込む。
仮面に、ヒビ。
「……っ……!」
「……剣は……」
ジンは、言う。
「……心だ」
最後の一閃。
仮面が、砕けた。
アシュラは、膝をつく。
「……ジン……」
「……お前の剣は……まだ、真っ直ぐだ……」
門が、開いた。
――第五の門、突破。
ジンは、静かに刀を納めた。
「……俺は……迷わない」




