第二章・第10話
【選ばれし仮面】
裏切りの街を抜けて、
Rたちは、古い図書塔へ向かっていた。
クロウが言った。
「……この先に、“記録”がある」
「……仮面の起源と、頂点の仮面の話だ」
図書塔は、崩れかけていた。
中は、埃と静寂だけ。
Rは、古い書架に手を伸ばす。
――バサッ。
ひとつの本が、落ちた。
タイトルは――
《仮面年代記》
Rは、ページをめくる。
「……“全ての仮面は、人の願いから生まれた”……」
ジンが、続きを読む。
「……“偉人たちの仮面は、
生前の想いと力を宿している”……」
ユナが、呟く。
「……じゃあ……頂点の仮面は……」
クロウが、低く言う。
「……“願いの塊”だ」
Rは、喉を鳴らす。
次のページ。
そこには、ひとつの仮面の絵が描かれていた。
――何も飾りのない、白い仮面。
だが――
不思議と、目が離せない。
「……名前は……」
Rが読む。
「……《原初の仮面》」
空気が、張りつめた。
カイが、低く言う。
「……それが、頂点……?」
クロウは、頷く。
「……すべての仮面の“源”だ」
Rは、ページをめくる。
「……“原初の仮面は、
持つ者を選ぶ”……」
Rの指が、止まる。
「……“仮面に選ばれし者は、
仮面を超える存在になる”……」
Rは、静かに息を吸う。
――仮面を、超える。
クロウは、Rを見る。
「……R」
「……お前は、すでに“仮面に頼らず”戦っている」
「……原初の仮面は、
お前を拒まない」
Rの胸が、強く鳴った。
「……でも……」
「……それでも、俺は……」
クロウは、言った。
「……その仮面を、壊す役目が、お前だ」
Rは、目を見開く。
「……え?」
「……使うためじゃない」
クロウは、真っ直ぐに言う。
「……終わらせるためだ」
静寂の中で――
Rは、ひとつの未来を見た気がした。
仮面を、砕く自分の姿を。




