第二章・第9話
【守るという罪】
広場。
Rは、住民たちに囲まれていた。
仮面の奥の目は、
どれも虚ろで、光がない。
「……来るな」
Rは、拳を握りしめながら言う。
だが――
彼らは、止まらない。
ユナが、風で道を作る。
「……R、こっち!」
Rは、首を振る。
「……違う……」
ジンが、叫ぶ。
「……R! 倒さないと、俺たちがやられる!」
Rは、歯を食いしばる。
――分かってる。
でも――
殴れない。
その時――
Rは、気づいた。
住民たちの仮面に、
細い“線”が走っている。
首元から、
後頭部へ。
――制御線。
Rは、クロウの言葉を思い出す。
《仮面は“借り物”だ》
Rは、ユナを見る。
「……風、少しだけ、強くして」
ユナは、驚く。
「……え?」
「……仮面を“飛ばす”」
ユナは、すぐに理解した。
「……分かった!」
風が、吹き荒れる。
Rは、住民たちの中へ飛び込んだ。
拳ではなく――
“外す”ために。
Rは、仮面の縁を掴む。
――引き剥がす。
一人、
また一人。
仮面が外れた瞬間――
人々の目に、光が戻る。
「……あ……?」
「……ここは……?」
操りが、解けていく。
だが――
「……ちっ……」
管理官が、舌打ちする。
「……面倒なことを」
管理官は、仮面に手をかけた。
「……なら、お前だけは――」
その瞬間――
クロウが、前に出た。
「……そこまでだ」
管理官は、クロウを見る。
「……死んだと思っていたぞ」
クロウは、無言で踏み込む。
――一瞬。
管理官は、吹き飛んだ。
仮面が、砕ける。
静寂。
住民たちは、
次々と膝をついた。
「……ありがとう……」
誰かが、呟く。
Rは、息を切らしながら立っていた。
――殴らずに、守れた。
その感覚が、
Rの中に、深く刻まれた。




