邪馬台国は三重県にあった
「神籬さん、今日のこれは仕事なのですか?」
三重県某所に来ている。
「俺のところには様々な依頼がやって来る。クライアントは国家だったり、なけなしの金を集めた一般人だったりな」
なんでも引き受けるわけではない。白馬のやつは金額優先のようだが。
「神籬さんの書棚にもありましたね『邪馬台国は三重県にあった』。歴史学がひっくり返りますよ」
流通しているのは世に出しても良いと判断されたものだけだ。表だった情報はたいていブラフである。
「まず卑弥呼だが、女王でありシャーマンだった彼女が、神宮と関わっていたとしても何らおかしくはない」
惑わされるが、伊勢遺跡というのは滋賀県守山市なので、神宮周辺ではない。
「邪馬台国と大和朝廷。名前が似ているとは思っていましたが、神宮ですか・・・」
「邪馬台国の謎を解くには、敵対していた狗奴国についても調査を深めなければならない」
「狗奴国も場所が不明ですね。海外と違ってこのあたりの時代の文献が少なすぎます」
中国の史書も、記述がバラバラである。
「ニカル、伊勢神宮創祀の年を知ってるか?」
「垂仁天皇26年とされていますね。ですので、卑弥呼の2~3世紀とはだいぶズレているのではないかと」
「垂仁天皇の御代が西暦何年なのかは決着がついていないはずだぞ?」
「大きく分けて二つの説がありますが、3世紀後半から4世紀の説をとると、卑弥呼の後ということになりますね」
それだけじゃない。
「垂仁天皇26年がもうひとつの説のBC4年だとしたら?」
「BC4年と言うと・・・あっ!」
「神の子の生誕年ですね!」
ジーザス・クライストの生誕は、数年ズレていることが分かっている。
ここまでにしておこう。
「イスラエルと伊勢が関係あると?」
「俺の口からは何も言えないな」
懐から地図を取り出した。
「これが古代イスラエルの地図だ。上がイスラエル王国、下がユダ王国だ」
ニカルはまじまじと見つめている。
「どうだ、イスに座って支エラレルように見えないか?」
「神籬さん・・・」
あれ? 鉄板ネタだったのだが。
「途中までいいお話だったのに、ナンセンスです!」




