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第18話 レイン様は怒っております

《アレイス学園 魔法レストラン》


「シエル! 君って奴はあぁ! なんて事をしたくれたんだ!」


「……レヒィンシャア! ヒアァイデス……ホッヘたが取れてしまいまふぅ」


「あの。こんなおおやけの場でイチャイチャしないでほしいんですけど」


 現在、アレイス学園はお昼休み中です。そして、私、レイン様、ユーリさんの3人で学園の中にあるレストランへ昼食を食べに来ております。


 はい? 私が作る愛妻弁当?……今朝、朝早く起きて作りましたが。なぜか黒い液体に変化して溶けてしまいましたわ。


「何をボーッとしている。シエル~、何がシテイル。シエル・アッシュクラフトだ? 俺達は一緒に暮らしていてもまだ入籍はしていないだろう!」


 レイン様が今朝の決闘騒ぎよりも怒っています。怖いです……私はただクラスメイトの方々に真実のお教えしただけですのに。


「……フェインシャマ……違うのです。これはレイン様にアレイス学園の女の子達が近付かない様に露払いをしただけなのです」


 やりました。痛そうにしている演技が実を結び。レイン様は途中から私の両頬から手を離して下さいました。


「露払い? 何のだ?」


「……両頬が痛いですわ。レイン様……ですからレイン様を狙う猛獣方です。その隣のユーリさんの様に」


 私はレイン様の右隣の椅子に座る猛獣ユーリさんを指差しました。


「は? ユーリが猛獣? 何を言っているユーリは猛獣というよりも怪ぶ……ぐはぁ?!」

「……レイン様! お気を確かに!」


 ユーリさんがレイン様に向かって凄い速度のパンチをお腹に喰らわせました。


 そして、その動作に対して私もレイン様も反応できませんでした。


「誰が猛獣や怪物ですか。私は淑女ですが何か? 全く。レインは真面目な様で私を小馬鹿にしますし、シエルさんは大人しそうに見えて私を良くおちょくりますね。そういう所は良く似てらっしゃいますね!」


「……そ、そんな。相思相愛なんて言われたら照れてしまいますわ。シャァ~」


 私の顔は今、絶対に真っ赤っ赤ですわ。照れます。照れ照れです。嬉し過ぎます~!

 

「何を頭を上下に降って変なおどりをしているんだ。シエル……それよりも君な。クラスメイトに俺の新妻なんて説明するのはやり過ぎだぞ。明日からどう学園生活を送るか午前ずっと考えていたくらいだ」


「……レイン様! それ程までに私との関係を深く考えてくれていたのですね。嬉しいですわ」


「違う。君がやらかした事への対処を方法を深く考えていたんだ! (くそーッ! 魔竜討伐の旅の時は他のパーティーメンバーの目もあった為にシエルとは一定の距離が存在した。だが先週から同じ屋根の下で暮らす様になってからは違う。シエルの方からグイグイ来る様になって来ているぞ)」


「…………いえ。案外、シエルさんの行動は正しかったかもしれませんよ。レイン」


 ユーリさんは真剣な表情で私とレイン様を交互に目配せしそう言いました。


「なぜだ? あんなシエルの発言。クラスメイトに誤解を生むようなものだろう」


「生んで正解なんですよ。その方がシエルさんが変な男性に言い寄られる事はありませんからね」


「変な男性に言い寄られるだと? このシエルがか?」

「……はい! レイン様だけのこのシエルです」


「(おのれ~! 私が居る前で本当に容赦なくイチャイチャしてきますね。この2人は~)……コホンッ! いいですか? このアレイス学園には国中や隣国。果ては遠方の国々から、お爺様の魔法を学びたいと留学してまでやって来る王族や貴族の権力や実力を持った人達が集まっているんですよ」


「あぁ、そうだな。とかいう俺もその1人だ。トルギス先生は500年前の《聖戦》で世界を救った伝説的英雄だ」


「はい。お爺様は凄いお方で……コホンッ! 話が反れましたね。そんな外国からの王族や貴族がこの可愛い美人のシエルさんを放っておくと思いますか?」


 ユーリさんが私を指差しました。私はその指をジーッと見つめます。そして、ユーリさんは野生のマジックトンーボを捕まえる時の様に指をグルグルし始めて……私は目が回ります。


「シエルが可愛い美人?」


「……レイン様。なぜ、不思議そうな表情を浮かべるのですか? それと目が回ります~」


「いや。たしかにシエルは可愛いが。それがどうかしたのか? ユーリ」


「……お馬鹿さんなんですか? レインはっ! 今朝のユリウスさんとの出来事をもう忘れたんですか? こんな可愛くて強くて聖女のシエル・バレンタインをほかの王族や貴族が放っておくわけないじゃないですか!」


「シエルを放っておくわけない? なぜだ? そもそも聖女に求婚などしたらこの国では重罪に課せられるんだぞ。聖女からだったら別だがな」

「……ユーリさん。わたくしは身も心もレイン様のモノなので。ご安心下さい」


「(この2人。天然なんですか? 揃いも揃いって)……そうですか。それは良かったですね。相思相愛でっ! ですからクラスでの自己紹介の時にシエルさんがアッシュクラフトの名前を名乗ったのは正解です。あれでこの国や隣国の王族や貴族はシエルさんに接触しづらくなりましたからね」


「アッシュクラフト家の威光か……」

「……レイン様の様にキラキラと輝いておりますわ」


「シエルさんって知的に見えて。常時頭脳がお花畑ですよね?……それよりもレインが言った通りです。現在のアッシュクラフト家は四大貴族てはありませんが。冒険者ギルドとエリシア聖教に強い繋がりがあります」


「父さんも母さんもそこの重鎮だからな。家名の力ならむしろ今の方が強いかもしれんな……(それが理由でアッシュクラフト家を貴族として復興しないのかもしれないな。父さんも母さんも力や発言力があるくせに国に昔から従順なのは国からなにかの恩恵を受けているんだろうし。それが理由で貴族に返り咲こうとしないのか?)」


「まぁ、私は個人的には納得しませんでしたが。シエルさんがこの学園で快適に暮らすには最善手なのは間違いありませんでしたね。全然納得さていませんがね」


「……難しいお話は良く分かりませんが。最善で良かったです~、そして、目、目が回って世界がグルングルン回って……ましゅう」コテンッ!


「お、おい! シエル。確りしろ!」

「………朝の仕返しの暗示魔法が効きすぎましたね。ごめんなさい。シエルさん」


「……キュゥ~」


 私はユーリさんの指先なグルグルをずっと見ていた為、完全に目を回してしまい……レイン様の身体へとダイブしてしまいました。


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