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第17話 シエルさんは惚気話をする

 

 早朝から色々あったがなんとか朝礼が始まる前に教室へと辿り着けた。


 今はこのクラスの担任であるテスラ先生によるシエルの紹介が行われている。


「は~い。今日は嬉しいお知らせが2つもありま~す! 気になります? 気になりますよね? ドキドキしちゃってますぅ?」


「テスラ先生~、もう若く無いんだからそのノリキツいって……」

「そうそう。もう20後半何だから彼氏でも作りなっ……」


「『鉄弾ピック』」シュンッ!シュンッ!


「ばぁ……」ドサッ!

「よ……」ドサッ!


「私は飛び級でこの学園を卒業していますので、まだまだピチピチの19歳何ですよ~、2人共」


「何? エルレイとフリメラがいきなり倒れたんだけだ?」

「テスラ先生。どうしましょう」


「あらあら~、それは大変ですね~ではでは意識が戻るまで教室の物置ものおきに閉まっておいて下さい。トルギス校長に見つかると厄介ですからね」


 アレイス学園高等部2年A組の担任テスラ先生は相変わらず破天荒振りの様だな。


 銀と玉の魔法に秀でて人でトルギス先生直々に魔法を教わった期待生だったとユーリが昔言っていたな。


「生徒の粛清も済んだことですし嬉しいお知らせを発表しちゃいます~! はい。皆さん拍手~!」


 パチ…パチ……パチパチ。


 教室内はテスラ先生の奇行により凍り付いていた。


 だがテスラ先生の眼がこう物語っているのだ。


 (おっ! アナタ達ここで拍手して盛り上げなかったらどうなるか分かっていますよね?)という表情でクラスにいる生徒達を見ていた。


 それにより生徒達はぎこちない拍手をし始めた。


 しかし、テスラ先生……相変わらずの破天荒振りだな。


「先ず1つ目のお知らせは。な、な、なんと休学中でしたレイン・アッシュクラフト君がやっと復学してきてくれました。良かったですね」


「お待ちしておりましたわ。レイン君」

「レインってたまに学園に来てた奴だよな? 何で今更、復学してんだ?」

「落ちぶれ貴族アッシュクラフト家の生き残りか」


 等々クラス内で俺の話が聴こえて来る。


「……『粛清パージ』」


 そして、シエルは皆の反応を見て怒りの表情を浮かべていた。超大規模殲滅魔法を発動しようとしている。


 そんな暴走寸前のシエルに向かって俺は勢い良く首を横に振った。


「……(フルフル)」


 何でシエルまで首を横に振っているんだ! 俺は殲滅魔法をここで発動するなと伝えたんだぞ。


 何故それを嫌がる。どれだげクラスメイトを殲滅する気だ。


「おー、凄い力を持っているんですね~、ですがその力は他のクラスの人達に使って下さいね……聖女シエル。じゃないと……」


 テスラ先生はシエルに何か耳打ちしている。


「……?! 貴女がアリシアお師匠様の?」


「あんまり暴れるとお仕置き部屋行きですよ。良いんですか? お尻ペンペンされちゃいますよ~、嫌ですよね? 教室に居る時くらいは静かに過ごしましょうね?」


「……はい。テスラ先生」


 あの我の強いシエルが大人しく従った? 何を言われたんだろうか?


「はいはい~、今日からこのクラスに新しいお友達が増えますよ~、編入生のシエルちゃんです~、はい。自己紹介お願いします。シエルちゃん」


「やっぱり可愛いよな」

「背もスラッとして綺麗な娘……」

「俺、この後声かけようかな」


 俺の時とは違い。皆、シエルに好意的な話をしているな。やはり不登校というはマイナスなイメージしか持たれない様だな。


 本当は魔竜討伐の旅で忙しかっただけなのだが。


 それよりもシエル。分かっているな。俺達の関係はまだユーリ以外には内緒にするんだ。


「……(コクッ!)」


 俺はシエルに目配せすると首を縦に振った。さして、それを見たシエルも首を縦に振ると……


「……初めまして。レイン様の新妻のシエル・アッシュクラフトと申します」


「「「「「は?」」」」」


 シエルのその発言でクラス内の空気が再び凍り付いた。


「……シエルの奴。何を言っているんだ?」

「……あの人。こんな所でもあの自己紹介を言うなんて」


 俺は驚愕し、ユーリは何故か呆れている。


「(ほうほう。あの男嫌いで有名な聖女シエルが新妻ですか)……はぁ? 新妻? レイン・アッシュクラフト君と?!」


「……はい。そして、一緒に暮らしておりますわ。朝はわたくしがレイン様を起こしに行き、そのままお着替えもお手伝いします」


 嘘である。シエルは俺の部屋までは侵入して来るがベッドまでは近付けない。


「朝食は私が作ったお食事を嬉しそうに食べれます」


 嘘である。シエルは未だに目玉焼きをダークマターへと変える錬金術師もビックリする程、料理がまだできない。


「今朝の登校も優雅に登校しましたわ」


 嘘である。今朝は決闘やバルトロメオの件でシエルも俺も暴れ回ってしまった。


「アッシュクラフトの奴。なんて羨ましい」

「素敵。まるで聖女シエル様の様だわ。お名前も同じですし」

「容姿端麗にイケメンの旦那持ち。勝ち組だわ~」


 いや。本人なのだが。そして、あからさまに嘘と分かるだろう。シエルのあの冷静を装っているがいつ嘘がバレか心配そうな表情がなぜ、クラスメイトには分からないんだ?


「……皆様。これから私、シエル・アッシュクラフトを宜しくお願い致します」


 パチパチパチパチパチパチパチパチ!!


 先程のテスラ先生の拍手とは違い。クラスメイト全員が歓迎の拍手をした。


 シエルの。聖女のくせにあんな嘘を吐きおって。後で説教をしてやるからな……


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