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THE SKE!!  作者: 綾瀬大和
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第6話初フライト!



朝の羽田空港は、いつも通りの活気に満ちていた。機体はBoeing 767、便名は705便熊本行き、エンジン音が静かにタキシングを始める。機長の岸本は冷静に計器を確認し、副操縦士の南雲翼は出発前の最終チェックを念入りに行っていた。


「南雲、副操縦士、準備はいいか?」岸本機長の声は落ち着いている。


「はい、岸本機長。全システム正常です。」


705便は熊本へ向けて順調に離陸した。翼は副操縦席から外の景色と計器を交互に見つめながら、日常のフライトの流れを楽しんでいた。


しかし、飛行中に突然、機内のモニターが震度5強の地震発生を知らせるアラームを鳴らした。


「熊本で大きな地震が発生した。気象庁のデータによると震度5強だ。」


岸本機長は瞬時に判断した。


「705便、熊本空港の状況を調査。必要ならば引き返す準備を。」


地上管制からも、熊本空港が一時閉鎖されたとの連絡が入る。


「成田空港へ引き返す。南雲、成田への最適経路を計算してくれ。」


「了解しました、機長。すぐに計算します。」


705便は熊本から引き返し、成田空港へ向けて旋回を開始した。


しかし成田空港上空に近づくと、まさかの火災発生の情報が管制から入る。


「成田空港、滑走路付近で火災発生。着陸は不可能。705便、ゴーアラウンド指示。」


岸本機長と南雲は顔を見合わせる。


「羽田へ戻るしかないな。」岸本が決断を下した。


705便は再び羽田空港へ向けて引き返した。 




705便は成田空港を離れ、再び東京の上空へと向かっていた。操縦席の機長、岸本は高度計と速度計を見つめ、的確に舵を取りながら副操縦士の南雲に指示を出す。


「南雲、羽田の最新の気象情報を頼む。」


「はい、機長。羽田の天候は晴れ、風は北西から約10ノット。視界は良好です。着陸に支障はありません。」


「了解。だが今回の事態は予測できなかったな…」


「そうですね。しかし、私たちにできるのは冷静に対応することだけです。」


空は青く澄み渡り、羽田空港は滑走路の明かりを点滅させて705便の帰還を歓迎しているかのようだった。


だが、南雲の顔には緊張がにじんでいた。彼の手は軽く汗ばんでいたが、操縦桿をしっかりと握りしめていた。


「705便、着陸許可を申請。」


管制塔の声がイヤホンを通じて響く。


「705便、羽田空港RWY22Lに着陸許可を出します。風は北西から10ノット、滑走路状況は良好です。」


「了解、着陸準備に入ります。」


岸本は機体の降下準備を開始し、副操縦士の南雲もチェックリストを淡々と確認した。


「フラップ、ギア、エアブレーキ…すべて正常。」


705便は順調に高度を下げ、東京湾の海面が視界に広がった。着陸まであと数分。安心感と緊張感が交錯する中、操縦席の二人は無言で互いの動きを見つめ合った。


突然、南雲のモニターに新たな異常が表示された。


「機長、エンジン2に微妙な振動が検出されました。」


岸本は瞬時に判断し、状況を確認した。


「状況を詳しく調べろ、南雲。」


副操縦士は操縦桿を操作しながら計器の詳細を読み上げる。


「エンジン2の回転数に若干の不安定さがありますが、出力にはまだ影響ありません。急激な変化はありません。」


岸本はゆっくりと息を吐き、冷静に対処方針を決める。


「予定通り着陸する。ただし、異常が拡大する兆候があれば即座にエンジン停止の準備だ。」


705便は高度を落とし続け、着陸進入のための最終ターンに入る。羽田の滑走路灯が間近に見えてきた。


「All Nippon 705 cleared to land on Haneda runway 3L」「翻訳ANA705便第三滑走路に着陸を許可する」 


管制塔が着陸を許可した

岸本は管制塔に真面目に返した「Okay, All Nippon 705 will land on runway 3L at Haneda.」「翻訳、わかりましたANA705便羽田第三滑走路leftに着陸します」

副操縦士はプロの技術で機体を操り、微妙な横風に対応した。空気抵抗が増し、機体が揺れる。だが、二人の息はぴったり合っていた。


「着陸姿勢は完璧だ。問題ない。」


岸本の声に、副操縦士の南雲も軽くうなずいた。


705便は滑走路へ接近し、機輪が滑走路のアスファルトに触れた瞬間、強い振動が操縦席に伝わった。

(100....50....40.....30....20....10)


管制塔からの指示で、705便はゆっくりと滑走路の端へ移動し、停止した。


客室からは拍手の音がわずかに聞こえた。緊迫した状況を乗り越えた安堵が広がった。


岸本は副操縦士の南雲に視線を向け、声をかける。


「よくやった、南雲。最後まで冷静だった。」


南雲は微笑み、答えた。


「機長の指示が的確だったからです。」


しかし、二人の表情はまだ完全には安堵していなかった。705便にはまだ、対処しなければならない課題が残っていたのだ。



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