打ち明けた本心
こんなに間近で愛する女性の寝顔を見られるなんて、滅多にあるものではない。そう思った途端、眠るのが何となくもったいない気がした。その視線が徐々にカサレラの薄い唇に行く。
思春期の少年が故に抱くイヤらしい下心が脳裏を過り、ゴクンと生唾を飲み込んだ。自然と鼓動がドキドキと高鳴った。
(ここでキスしても、バレねぇよな?)
そのまま顔を近づけようと思ったときだった。
「何じろじろと人の顔を見てるのよ!」
不意にカサレラは目を開けると、ムスッとした顔で睨みつけてきた。
「お、お前、まだ起きてたのかよ?」
ナファネスクは一瞬心臓が止まるかと思うほど驚嘆した。
「起きてちゃ悪いの? そんなに見られてたら、寝たくても寝られないわよ!」
「そっか、そりゃそうだよな。悪かった」
ナファネスクは自分の怪しげな行動がバレてたらと思うと、羞恥心に駆られた。
「何を恥ずかしがってるのよ。あ、もしかして、変な事でも考えてたんでしょ?」
「ち、違うって!」
「あー、イヤらしい! この変態!」
「変態って!? お前、普通そこまで言うか?」
「じゃあ、今何を考えてたのか、はっきりと白状しなさいよ!」
「そ、それは……」
「ほら、言えないじゃない! この変態! いや、変態バカ!」
カサレラの侮蔑的な言葉を全て受け入れるしかなかった。自分がやろうとした行為はそれに値するものだと思ったからだ。
少しの間、静寂が訪れた。
「……おま……スを……し……った……」
ナファネスクは聞き取りにくいほど小声で呟いた。
「何? 全然聞こえないんだけど」
カサレラの問いかけに対し、ナファネスクは決心を固めた顔をする。
「お前にキスをしたかったって言ったんだよ!」
「え?」
その言葉から淫猥な響きは微塵も感じられなかった。とても真剣な顔でキッパリと言い切るナファネスクにカサレラは戸惑いを隠せない。
「前にも言ったでしょ。私は呪われ――!?」
カサレラはそれ以上話すことはできなかった。その先の言葉を口に出すなと言わんばかりにナファネスクが唇と唇を触れ合わせてきたからだ。それに対して、カサレラは抵抗しようとはしなかった。
少しして、重ね合った唇が離れた。




