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ラッシュレックレス  作者: 檜鶯盈月
第4章 哭天の魔神
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皇帝ボルキエスタ

 バルドレイア帝国の若き宮廷魔導師――カシュナータは攻め落としたアルメスト王国の王城だったエスカトロン城の謁見の間にいた。


 中央に赤い絨毯が敷かれ、その先に華々しい装飾を施した玉座があった。今そこには皇帝であるボルキエスタが座っていた。


 ボルキエスタは今年でちょうど四十歳を迎えた。


 派手な刺繍をあしらった威厳のある衣服を着ているものの、たいした才能もない凡人に過ぎない。ただ、野心は人一倍あり、皇帝に即位したときからずっとエルズラーニア大陸の統一を目論んでいた。


 突然カシュナータの右手の人差し指に嵌めた指輪から(まばゆ)い光が輝いては消え去った。それはカサレラの奪取に向かわせた冥邪(めいじゃ)王の死を示していた。


「あの冥邪王の分身を見破るとは。なかなかやりますね、元王子」

 無疆(むきょう)獣気(じゅうき)の持ち主と言っても、まだ少年の獣霊使い(ドマドール)が二度に渡って冥邪王を(たお)したことにカシュナータはとても感心していた。


「どうかしたのか?」

 微かな異変に気付いたのか、ボルキエスタが訊いてきた。


「陛下、謹んでご報告申し上げます。《破滅の聖女》を捕えに向かわせた冥邪王がまたもや敵に斃されました」

 カシュナータは頭を下げて伝えた。


「何だと!? 冥邪王と名前だけは勇ましいが、全く使いものにならないではないか!」

 凡愚の皇帝は大声を張り上げて激昂した。


「はっ、誠に申し訳ございません」

 頭を下げたままの姿勢で、カシュナータは謝罪の言葉を口にした。


「それよりも、そんな小娘など放っておいて、いっそのことまた他の国を攻めてはどうだ?」

 ボルキエスタは野心を剝き出しにして問いかけた。


 アルメスト王国を滅亡させてから十二年が経過した。未だに広大な全領地を完全に掌握したとは言えないが、領土の平定よりも早く他国を滅ぼしたくて仕方がないのだろう。


「それはなりません、陛下! 冥邪天帝ヴェラルドゥンガ様さえ顕現(けんげん)すれば、エルズラーニア大陸の統一など瞬く間にできましょう。そのためにも、後少しの間我慢してくださいませ!」

 この問答はボルキエスタの抑えられない野心を制御するため、これまでにも幾度となく繰り返されてきた。


 異次元にある獄淵界(ボラドゥーラ)の扉を開くことと冥邪天帝をこの地に顕現させる話については、先代の宮廷魔導師であり、当時まだ幼かったカシュナータの師でもあるグランネッヘから聞かされていた。ところが、グランネッヘの魔力では異次元の扉を開けることすら叶わなかった。

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