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ラッシュレックレス  作者: 檜鶯盈月
第3章 本当の気持ち
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滅骸師カサレラ

「冥邪王たる我に質問とは……まぁ、よかろう。言ってみろ」

 モルザーバは平然とした口調で返す。


「どうしてカサレラがあの街にいることが分かったんだ? 俺らはあの街に偶然立ち寄ったに過ぎない。だから、帝国の手先であるお前が知るはずがねぇんだ。そうだろ?」

「ほう、人間にしてはなかなか鋭い洞察力だな。褒めてやろう」

 ナファネスクのことをとても感心しているようだ。さらに話を続けた。


「汝ら人間とは違い、我らは視覚と嗅覚によってものを見極める。居所が遠くて視覚が使えぬときは嗅覚で突き止める。冥邪()きにはならぬ《破滅の聖女》はただの人間とは異質な臭気を出していてな。故に、あそこにいるのが分かったのだ。どうだ、これで満足か?」

「ああ、おかげで(もや)のかかった謎がすっきりと解けたってもんだ! それじゃあ、戦いをおっ始めようぜ! ゼラム、獣霊降臨(ペンテコステス)だ!」

【承知した】

 金色(こんじき)の巨竜がナファネスクの体に舞い降り、獣霊(アルマ)と同じ色をした幻獣騎兵(ポルタビオーネス)ゼラムファザードになる。


「では、俺も。来い! 紫電鳥(しでんちょう)アシュトロア!」

 オルデンヴァルトの手の甲に獣霊使い(ドマドール)の紋章が現れた。すると、とても優美な猛禽類の姿をした獣霊が現れ、一体となる。即座に深紫色の全身鎧を(まと)った。


 精悍な猛禽類の顔を象った兜を頭に被り、背中には一対二枚の美しい翼が生えている。

 片手に一挺(ちょう)ずつ弩を握っていた。


「じゃあ行くぜ! アシュトロア! 足を引っ張るなよな!」

「もちろんです! 俺もかつては《飛翔の戦神(せんじん)》と異名を誇った五大英雄神の一人! 遅れは取りません!」

 目を合わせた二体の幻獣騎兵は、冥邪王モルザーバに対して戦闘態勢を取った。


「二人とも、ちょっと待って!」

 不意にカサレラが二人の動きを止めた。

「何だよ? カサレラ」

 勢いを削がれたようにナファネスクが問い返す。


「ナファネスク、あんた、この前あたしの力じゃ冥邪王を(たお)せないって言ったわよね?」

「ああ……そんなことを言ったかもな」

 言ったこと自体は覚えていたが、ナファネスクはとぼけた口調で返した。


「あんたは滅骸(めつがい)師としてのあたしの誇りに泥を塗った! だから、こいつはあたしに任せて!」

 話しながら、カサレラは二体の幻獣騎兵の前に立つ。


「モルザーバ、お前はあたしが斃す!」

 決意に満ちた力強い言葉で宣告すると、左手に乗せた天晶玉(てんしょうだま)の真上で右の手のひらを水平にしたまま円弧を描くように回転させた。


「太陽神ロムサハルよ、その御名において紅蓮に揺らめく猛炎の聖槍を我に使わし、邪悪なる存在(もの)に天罰を与えたまえ!」

 神聖な呪文を唱えると、カサレラの頭上に五本の燃え盛る槍が出現する。次の瞬間、五本の聖槍はモルザーバに向かって驚異的な速度で飛んでいく。それに対して、邪教の法王はおどろおどろしい杖の根本で地面を軽く二回(つつ)くだけだった。すると、突如目の前に妖気で作られた防護壁が現れる。


 燃え(たぎ)る聖槍は防護壁に次々と激突しては打ち消された。それでも、少なからずダメージは与えていた。徐々にひび割れ始めたのだ。


 四本目がぶつかった瞬間、ひびの入った防護壁が粉微塵に砕け散った。間髪入れずに最後の聖槍がモルザーバの法衣を易々と貫き、脇腹に深々と突き刺さる。同時に、薄紫色の血が噴き出し、邪教の法王の顔が苦悶に歪んだ。


「やったわ! ねぇ、見たでしょ? 滅骸師の力を(あなど)らないでよね!」

「へぇ、やるじゃねぇかよ! 恐れ入ったぜ!」

 滅骸師という存在を舐めてかかっていたナファネスクは正直驚いた。

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