地図を探して
この街から帝国の王城までの距離を知るためにまずは地図が欲しかった。ただ、一つ大きな疑問は残る。皇帝が必ずしも帝国の王城にいるとは限らないという点だ。
子供の自分たちに皇帝の正確な居所を探し出せるわけがなかった。大まかな憶測だけで旅をするしかない。
「じゃあ、地図を手に入れたところでお先真っ暗ね」
話を聞いたカサレラが愕然と肩を落とし、落胆する。
「せめて案内人でもいてくれたら、楽なんだけどな」
ナファネスクも自分たちの無力さを痛感していた。
「案内人……そうよ! 良い案を思いついた!」
カサレラは何かをひらめいたように両手を叩く。
「あたしを捕まえに来た冥邪王から皇帝の居所を聞き出すっていうのはどう?」
残念ながら、良い案とは言えないとナファネスクは思った。
冥邪王は人間の言葉を話せるが、その強さは並みの冥邪とは桁外れだ。それを斃さずに口を割らせるのは不可能に近い。もっと言えば、冥邪王に直に命令を下している張本人は皇帝ではなく、冥邪を操れる指輪を嵌めた宮廷魔導師と考えるべきだ。その事を掻い摘んでカサレラに話した。
「なるほどね。そうすると、皇帝のところまではたどり着けないわね」
素直に納得したようだ。
「分からねぇけどな。おそらくだが、冥邪天帝とやらを顕現する力を握ってるのも、その宮廷魔導師だ。もしかしたら、そいつさえ殺せば、顕現は防げるかもしれねぇな」
思案に暮れる中、ナファネスクが口を開いた。
「ただ、どっちにしても地図は必要だ。売っていそうな店を探そうぜ!」
取りあえず、二人は近くの店から見て回ることにした。
当然のことだが、完璧な地図なんてはなから期待してないし、そんなものが存在しているのかも怪しかった。大体の方角と距離さえ分かれば、それで十分だ。
広場では主に新鮮な食べ物、日用品、衣服などを取り扱っている店が多く、なかなか地図を商売にしている店は見つからなかった。
「何だよ、全然見つからねぇぞ! 地図なんて本当に売ってるのかよ!」
広場の三分の一ほどしか見て回ってなかったが、ナファネスクは少し苛立ち始めた。




