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ラッシュレックレス  作者: 檜鶯盈月
第2章 運命の導き
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さらなる獣気の使い方

【止めておけ。敵の思うつぼだ】

 脳に壊神竜の忠告が伝わってきた。その言葉の真意はすぐに理解できた。レナディスがまだ他にも攻撃手段を隠している可能性を言っているのだ。そのためにわざわざ挑発してきたとも考えられる。


「じゃあ、どうすんだよ!」

 無謀な考えなのは承知の上だ。肉弾戦武器だけでは他の戦い方は皆無に等しい。


【まだ分からぬか? こちらも敵と同じことをすればよかろう】

「同じこと?」

 八条の光線による一斉掃射を避けつつ、ナファネスクは問い返した。

【その武器に獣気を溜めて放つのだ!】

「そうか! そういうのはもったいぶらずに早く言えっての!」

 ナファネスクはやっと吞み込んだ。


 ゼラムファザードは空高く飛翔すると、重量感のある両刃鎗の両側の特大剣にありったけの獣気を溜め込んだ。八本腕の冥邪王のほうは立て続けに同様の攻撃をするばかりだ。


「馬鹿の一つ覚えも大概にしやがれ!」

 八条の妖気の光線を全て避けきった瞬間、すかさずゼラムファザードは両刃鎗を全力で薙ぎ払った。すると、波状になった膨大な獣気――獣気波がレナディスに向かって凄まじい速度で放たれる。だが、八本腕の冥邪王はその巨体とは裏腹に、鋭敏な動きで横に飛んで避けた。


 獣気波は地面に激突し、耳を(つんざ)くほどの轟音が響き渡る。物凄い衝撃波とともに巨大な穴があくほど大地を(えぐ)り取った。


「おっと、そう簡単には逃がさねぇぜ!」

 初撃を避けられるのは余裕で推測できた。逆襲に転じるのはこれからだ。


 今度はこちらの番とばかりに逃げる隙を与えることなく、続けざまに獣気波を飛ばしまくる。


「何――!?」

 八本腕の冥邪王にしてみれば、これも想定の範囲内だったかもしれない。ところが、ゼラムファザードの怒涛(どとう)の勢いで獣気波を放つ動きがあまりにも素早すぎた。


 もはや逃げ切れないと悟った瞬間、レナディスは全身をズタズタに切り裂かれ、切断部から薄紫色の血しぶきを噴き上げながら絶命した。


「やったぜ!」

 思わず勝利の雄叫びを上げると、今度は四体のダーダムを視界に捉えた。


 先ほどまで威勢の良かったダーダムどもも、頼みの綱の冥邪王が(たお)されたことで怖気づいたようだ。


「おい、まさか冥邪のくせにビビってるのか? お前らなんか、速攻で始末してやらぁ!」

 地面に降り立つと、ゼラムファザードは驚異的な速さで襲いかかる。


 戦意を喪失した時点で勝敗は決していた。恐慌を来して逃走するダーダムどもを両刃鎗で次々と斬り殺していく。


「これで全て片付いたな!」

 獣霊降臨を解いたナファネスクは鉄格子の檻に閉じ込められた少女を助け出すのに成功した満足感で満たされていた。

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