下劣な言葉遣い
「これはなんと下劣な言葉遣いなのでしょう。とてもではないですが、元王子ともあろう人の話し方とは思えませんね」
カシュナータは苦虫でも噛んだような嫌な顔をした。
「うるせぇ! 大丈夫か、父さん?」
それでも、そう簡単に割り切れるものではなかった。
「止めろ! いや、止めてください! 王子。もうお分かりでしょう。私はあなた様の本当の父親ではないのです!」
エゼルベルクの言葉は微かに悲しみに打ち震えていた。
「おやおや、何とも哀れな姿ですね。かつての仲間には裏切られ、我が子同然に育てた元王子には真実を知られ、立ち直れなくなってしまいましたか?」
いかにも楽しそうにカシュナータは嘲笑を浮かべた。
「ったくよ、さっきからペチャクチャとよく話す口だぜ! 魔導師より商人にでも鞍替えしたほうがいいんじゃねぇのか?」
「何と!? まだ子供の分際でありながら、この僕を愚弄しましたね! 元王子、あなただけはそう簡単に殺しませんよ! 口は禍の元だということをたっぷりと身を持って味わってもらいましょう!」
「上等だぜ! お前なんか二度と減らず口を叩けなくさせてやるからな!」
「王子、少しお待ちを!」
気分が乗ったところをエゼルベルクが制止した。
勢いを削がれた形になったが、ナファネスクは文句を言わなかった。今まで押されっぱなしだったエゼルベルクの目は闘志に燃え上がっていた。
☆☆☆
「なぁ、一言言わせてくれよ」
ナファネスクは今こそ思っていることを言わなければ、と思った。
「あのよ、今さら王子って呼ぶのは止めてくれねぇか。何だかこそばゆいぜ。今までみたいにナファネスクでいいよ。俺からすれば、誰が何と言おうが、昔もこれからもあんたは俺の父親なんだからさ!」
「王子……」
エゼルベルクは感慨深げだ。
「分かりました。いや、分かった。ナファネスク、お前に見せなければならないものがあると言ったのを覚えているか?」
「ああ!」
「それは、ユリゴーネルさんが言っていた獣霊降臨のやり方についてだ。これこそ獣霊使いの真骨頂。今見せてやるから、しっかり習得しろ!」
エゼルベルクは精神を集中した。手の甲に獣霊使いの紋章が浮かび上がる。
「精神を統一し、獣霊を意識して一体化するように意識を集中する。それから融合だ! 見ていろ、獣霊降臨!」
エゼルベルクの頭上に霊体の幻獣である気高き光獅子ブエルゾラハが姿を現した。そのまま父親の体に舞い降り、融合して幻獣騎兵ブエルゾラハとなる。




