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第006話 システム


『魔王システムには、魔王を選ぶ。能力を与える。人類に対して敵対行動。均衡を維持する。この四つを基とした理念が組み込まれています』


 選び方は、まず資質があるか判断され、資質のあった者の中からランダム。


 資質は、人類に敵対する事に動機がある者、抵抗感の少ない者、躊躇わない者など、その人物の理由や性格や背景、あらゆる要素が吟味される……魔王が平和主義じゃ笑えない。


『魔王は強すぎても弱すぎても駄目です』


 人類共通の敵として存在する魔王が、強すぎては人類を滅ぼしてしまうし、弱すぎては人類に他と争う余裕を与てしまう。


 そこで魔王システムが、戦力が互角になるように能力を与えて均衡を維持する……よく出来てるよね。


『現在の魔王システムの全容を把握出来てはいませんが、おそらくサポート人格が改編したのは、戦力を互角にする。この辺りかと思います』


 魔王は、互角にするために能力を制限してたようなものだ……制限してなくて互角なら、そもそも問題になっていない。


 制限してた余力が、そのまま魔王の強さに直結するのだから、魔王を強くするのに一番簡単な方法だって私でも思う。


『能力の制限されない魔王相手では、人類に均衡の維持は難しいでしょう。ですが、あかりには私がカスタマイズしているシステムがあります。それが先程の確信の理由です』


 なるほど……魔王に能力を与える魔王システム……その魔王システムを構築した管理する者……つまり神様が、私のために用意してくれるシステムなら……勝てるかもしれない。


『納得してくれましたか』


 私は神様の説明に納得は出来たが、まだ不安があった……それは、私で大丈夫なのかと……でも、私に問題が有れば神様が指摘してる筈だろうと流す事にした……。


「はい。……他にも気になる事を聞いてもいいですか?」


『どうぞ』


「私が魔王を倒したら、以後、召還の必要が無くなるって何でですか? また魔王が選ばれて、サポート人格によって同じ事の繰り返しになりませんか?」


 私は、さっきの気になる点、その二を聞いてみた。


『大丈夫です。対策は用意してあります。今の魔王を倒せるかが問題だったのです』


 着々と準備はしていて、だけど、最後の一手が足りず召還に頼ったら、一人目の私で王手になったらしい。


『私のお願いを受けるか断るかは、召還された者に委ねてましたからね』


 そして、最初に召還されたのが私だから、私の前に召還された者は当然居ないし、私が魔王を倒す事で召還する必要が無くなるから、後にも召還される者は居ない……だから、あの配慮は無駄だったって訳ね。


『あかり。質問に答えてる間に準備が完了したようです』


 いよいよだっ……もうすぐだよ、アキ。


『お待たせしました。早速ですが説明します。まず、あかり用にカスタマイズしていたシステムは、勇者システムと言います。勇者システムによって、あかりは勇者となります』


 私が勇者? ちょっと恥ずかしいけど……魔王を倒すのは勇者ってお決まりの物語だしね。


『勇者システムは魔王システムを基にして構築しているので、類似してしまいましたが、魔王システムの上位互換になっています。その上で、あかり用にカスタマイズされたのです』


 本来の勇者システムでも、魔王を倒せたけど、でも、少しの懸念があった。


 それは、サポート人格が魔王システムをどこまで改編出来たかだ……。


 その懸念の払拭と少年のため、つまりはあかりのためのカスタマイズだと神様は言った。


「少年って、アキのことですよね?」


『そうですよ。あかりは、私の管理する世界に行ったら少年に会う事を第一に行動するでしょう。つまり魔王との戦いには少年が一緒に居る事になるはずです』


 確かに私の最優先はアキで、アキに出会えた後の事は……指摘された通りになると簡単に想像出来た……。


『今のままだと、少年はあかりの足手まといです。ですが、カスタマイズされた勇者システムによって少年もあかりと一緒に戦えるようになります』


 たぶん……いや、確実にアキは、私が魔王を倒すのを手伝おうとする。


 そのアキに戦うための能力を与るカスタマイズは、確かに私のためのカスタマイズと言える。


「ありがとうございます」


 ……アキと一緒に魔王を倒して元の世界に帰ろう。


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