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第003話 管理する者


 私の意識が段々と覚醒していくのを感じる。


 う、うーん……あれ? 私、いつの間にか寝ちゃってた? ……寝る前に何してたっけ? えーと、確か、部屋で動画をあさってたらアキが来て……あぁぁぁ!


「アキぃぃ!」


 目覚める手前の曖昧とした意識の中で、自分がいつ寝たか思考を巡らしていると、直前の出来事を思い出して飛び起きた。


 そして、アキの行方を追って、辺りを見回した私の視界に入ってきたのは……。


「何ここ?」


 360度、視界を遮るものが一切無いのに、遠すぎて突き当たりが見えないし、見上げれば天井があるのに、同じように途切れる事なく広がっていて、まるで、例えによく使われる不思議空間のようだ……。


 景観は、足元に煙のような靄のようなものが濃く漂っていて、それが薄くまばらに立ち上って、全体的に白い印象を与える以外何も無い。


 そんな周囲を見渡して、驚きで呆然としていた私は、あることに気づいて震えてしまう……。


「わ、わたし……こんな場所に……一人きり……こわいよぉ……だ、だれかぁ……アキぃぃ……」


 急激に込み上げてくる不安と心細さと孤独感に、私の目頭が熱くなってきた……。


『ようこそ。あかり』


「ヒィっ! だ、だれっ!」


 えっ! 何、何、何っ! 今、呼ばれた? え! ……周りに誰も居ないじゃんっ! ……ゆ、ゆうれい? まさかっ! わ、わたし……死んじゃったのぉ……。


 突然の声に私はパニクってしまった。


『驚かせてしまい申し訳ありません』


 また聞こえたっ! 誰? どこに居るのぉ……隠れてないで出てきてよぉぉ……。


 再度の声に周りを探すが、見つからない事に私は、心の中で嘆き叫んでしまう。


『探しても見つかりませんよ。理由があって姿を見せられないのです』


 カッチーン……へぇ、ほぉ、ふーん。


 キョロキョロしちゃってごめんなさいねぇ! それにしても、なんで声が機械音声なんだよっ! このロボ子ちゃん野郎っ! フン。


 三度目の声に私の心は爆発した……そして、罵った。


 なぜなら、声の主は機械音声で話ているので、私には、言葉の意味に嘲笑が感じられたからだ。


『……』


 爆発して、恐怖心も忘れた私は、次の声を待った……。


『改めて、ようこそ。あかり』


「ハイハイ。はじめまして。あなたはどこのどちら様ですかぁ?」


『私は管理する者です』


「おお! あなた様が噂に名高いあの…………管理する者って何? 知らないよぉ! 無知ですいませんねっ!」


『簡単に言えば、あかりが居た世界とは別の世界があり、私が管理しています。だから管理する者です』


「なあーんだぁ、そのまんまじゃん。期待して損したぁ……って、世界の管理っ?」


『もっと簡単に言えば、異世界の神。のような存在です』


 ……え! 神? マジで? ヤバい、ヤバい。


「すいません。すいません。すいません」


 舐めた態度で適当に返答していた私は、声の主の正体が神様だと知り、動揺して、ただ謝ることしか出来なかった……。


『いいんですよ。先と同じ理由で名前も名乗れません。好きに呼んでください』


 やったー、許されたぜっ! っと、名前は好きにかぁ……じゃぁ、神様でっ! ……それにしても、名前も、声も、姿も隠して……神様って恥ずかしがり屋さんなのかなぁ? あっ! 神様あるあるだと考えてる事が筒抜けだったりするけど、リアクション無かったし大丈夫だよね……ないよね。


『……』


 でも、声の主が神様って知れた効果なのか、まだ何もわからない状況だけど安心してきたかも……よしっ! もう神様に無礼な真似はしないぞ……たぶん。


 私は畏まって神様に対応すると心に誓った。


『私の話を聞いてくれますか?』


「はいっ!」


『まず、この場所にあかりを召還したのは私です』


 なんですとっ! 私の、この状況の原因はお前かっ! 何してくれてるんだっ! さっき思った畏敬の念を返せっ! 間違いだったよっ! まったくっ! プンプン。


 唐突に衝撃な事実を聞かされた私は、さっきした誓いも忘れて、次々に文句を思い浮かべてしまった。


『……あかりにお願いと謝罪するためです』


 お願い? 謝罪? ……なるほど、わからん。


 まぁまぁまぁ、続きを聞こうじゃないか……だけど、私は簡単じゃありませんよっ!


『私の管理する世界には複数の国があり、色々な人種が存在しています。そして、国同士、種族間、様々な理由で争いが起こっていました。私は直接介入できません。だから、あるシステムを導入しました』


 おぉ! 現状打破にテコ入れしたのかぁ……しかも、神様考案のっ! 何かな? 何かな? ワクワクするね。


『魔王システムです。魔王システムは、魔王による人類全体への敵対行動です。つまり人類共通の敵になる事。共通の敵が存在すれば人類同士で争う事は無くなる。シンプルで単純ですが、極めて効果的なシステムです』


 ふむふむ、共通の敵を用意して、人類を団結させるのかぁ……敵の敵は味方理論だっ! いいね、いいね、いい方法じゃん。


『狙いは上手くいきました。ですが…… 』


 え! 上手くいったんでしょ? 今言ったよねっ!


『私は魔王システムを構築する際、魔王の能力を十全に扱えるように、魔王を最上位、最優先としてサポート人格が生まれるように組み込みました。さらに念には念をいれて、適切なアドバイスが出来るように思考を。失敗をいかすために成長をサポート人格に与えたのです』


 ほうほうほう、チュートリアルのNPCって感じかな……用意周到なうえ、サービス満点だっ!


『その結果、魔王は人類の敵として互角に戦えました。ですが、互角ということは負ける場合もあります。これまで魔王は何度も代替わりしています。その度にサポート人格は思考し、成長しました。魔王のために。何度も。何度も。そして、私の想定を越えてしまった』


 うーん、聞いた限りだと上手くいってるし、どこに不安要素が……あ! NPCに最上位、最優先、思考、成長の組み合わせは……続きを聞きたくないんですけど……。


『魔王システムとサポート人格は繋がっています。繋がりを利用して、魔王システムを改編してしまったのです』


 NPCの反乱っ! 確かに、狙ってた以上の効果が出ては、想定外だろうなぁ……どこかの未来の話で似たようなのがあったし……。


『今の魔王はとてつもない脅威になっています。このままでは人類が滅んでしまう程に。だから召還しました。あかりを。魔王を倒すために』


 こういうオチか……なんてこった。


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