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妹たちとヒルクライム


 さて日曜日、昨日はなんかモヤモヤした結果のトレーニングになってしまったけど、朝起きてもなんかまだモヤモヤした気分が続いていた。リベンジ?とも思ったけど、二日連チャンではタイムアップは無理だし、今日は妹たちのトレーニングに付き合う予定なのでそれは無し、ゆかりも早起きなので一緒に寝たけどチュウまでだったので、それもモヤモヤの原因かも知れない、とはいえ、早朝、サイクリングロードを三人で走るのは気持ち良かった。

 今日は二人の実力を測定することを目的とした。これまでは足つき無しの完走を目指していたし、タイムは余り意識していなかった。俺もなんとなく合わせて登っていたが、もう少しで大会だし、実績的な方がいいだろう。

 畜産試験場までは、二人に任せて走らせて後ろから様子を確認した。乗鞍でだいぶ実戦的なトレーニングを教えてもらったおかげか、二人ともサイクリングモードでは無くて結構気合い入れていて、畜産試験場の通過タイムは20分を軽く切った。これなら、ゴールまで100分を切れそうだ。

 料金所跡までの直線はやや勾配がついてくるので若干ペースを落として登った。今朝は雲で横からの日差しが無くて走りやすい、もう少しペースを上げたい所だけど、これから勾配もキツくなるのでパワーを温存した方がいいだろう。そして、料金所跡にたどり着いた。貴重な平坦だし、ペースを落として一息つくかと思ってボトルの水を飲む、「さて、ゆかりたちはどうかな」と降り向こうとしたら、

「にいちゃん、遅いよ!これからがヒルクライムでしょ!」

とゆかりが叫んで、ダンシングで俺を抜いた。続いて唯もにっこり笑って、抜いていった。「これは一本取られた?」ペースが遅すぎたか?いや、タイムは32分ぐらいだ。そんな事はない、二人をみくびったようだ。

 ゆかりは元気よく軽快に登る。オーバーペースの様な気もするけど、何度も赤城を登っているので、その辺は分かっている気もする。まあ、どうなるか分からないけど、少し様子を見る事にした。

 10分ぐらいしても、ゆかりのペースは変わらなかった。でも、唯は辛そうだ。

森の声の看板手前で

「ダメです」

と言って、ペースダウンした。

俺は

「大丈夫か?」

と声をかけた。

「大丈夫です。先に行ってください」

俺はゆかりの実力も見たかったけど、唯を置いていく事も出来ないので、唯の前には出たけど、ゆかりを追うのでは無く、唯を適切なペースで引く事にした。

 唯のペースは分かっているので、少しペースダウンして回復を待つ事にした。じわじわとゆかりとの距離が開いていくけど、それほどハイペースでは無く一定の速度で走っているので自分のペースなのかと思った。この辺りは勾配がきついので軽量のゆかりにあっているのだろう。

C1の入り口でゆかりの姿が見なくなった。最も急坂なC1を超えた。

「ゆかりちゃん、やっぱり早いよう」

「まあ、元々、スポーツ大好きっ子だからな」

 唯は声を出すことが出来るようになったので回復したようだ。

「でも、私もっ!」

そう言って、唯はボトルの水を飲んで気合い入れて俺を抜いた。

「おい、おい、頑張り過ぎるなよ!」

「大丈夫、です。頑張らないのがヒルクライムでしょ?でも頑張らないと坂は登れません!」

 おっとり型の唯だけど気合いが入っている。半年前は俺より重かったのに今は軽くなったし、心配能力は向上して筋肉も強化していて見違えた感じだ。ただ下着で押さえているとは言え胸は重たそうだ。

 毎週のように赤城を登っているので自分のペースもわかっているようだ。ややキツそうだけど安定した感じで登っている。

 急勾配の区間から少し緩やかになる箕嶺付近まできた。一息つきたい所だけど、唯はだいぶ小さくなったゆかりの姿がちらほら見えているので緩やかになっても脚の力を緩めないで頑張っている。

 唯は姫百合駐車場の前でボトルの水を飲んで気合いを入れ直して九十九折りの区間に入った。

 九十九折りに入って、ゆかりの姿は見えなくなった。目標としていた前が見えなくなると気力が薄れていくことがある。それに大会が近いので他に登っている人が多くてガンガン抜かれて、心が折れそうになる事がある。でも、抜いて行く人の中には頑張って登る女の子を見て「頑張れ!」とか声を掛けてくれる人もいて少しは元気が出るのかもしてない、唯はペースを崩さないで坂を登っている。

 頑張っていた唯だったが、あと3キロぐらいのところから体がブレてきて辛そうな感じだ。ここら辺は勾配が8%を超える所もあるので結構きついトナカイの尻尾のコーナーを超えて一杯清水まで行けばあと残り2キロだ。でも、トナカイの尻尾コーナーのトラ柄の大きなフェンスが見えてきたけどなかなか辿り着かない、スピードは一桁になった。辛そうだけどあと少しだ「頑張れ!」と心の中でつぶやいた。

 そして、一杯清水を過ぎて用水が流れ出るトンネル手前の坂で俺は

「頑張れ!あと少しだ!」

と叫びながら前にでた。

唯は苦しそうだけど

「はい!」

と返事をした。

 俺は唯の様子を見ながら唯のペースを作った。ここからは勾配が緩やかになるので若干ペースを上げた。唯はしっかりと付いてくる。適切なペースなら前に人がいた方がいいだろう、そして、残り5分ぐらいだし、多少オーバーペースだとして全力を出せばなんとかもつだろう。

 予想通り唯は俺に付いて来て、牧場横の直線に差し掛かった。俺は振り向いて「あと少しだ!ラストスパートだ!」

そう言って、後ろに下がる。唯はダンシングで加速して俺を追い越す。

「これが私の全力全開です!」

追い越した後はシッティングに戻りつつ力強くペダルを踏んでいる。ゴールの観光案内所の駐車場入り口では、ゆかりが手を振って

「唯ちゃん、あと少し!」

と応援している。

 そして、ゴール!タイムは記録更新!少し無理をさせたけど、なかなかのタイムだ。唯は自転車を止めて、自転車に跨ったまま、ハアハアしている。ゆかりがそばまできて、唯の背中を摩った。

「唯ちゃん、頑張ったね」

「もう、ゆかりちゃん速すぎ、全然追いつかなかっよう」

「そうだ、ゆかり、タイムは?」

「うーん、唯ちゃんと3分ちょっとしかからないよ」

 途中までは一緒だったから、最初からならもっと速かったはずだ。もしかして凛に追いついてしまうかもしらない。

 ソフトクリームを食べながら休んで下山した。ゆかりは家に直行した。俺と唯は唯の家に向かった。

 唯の家に行くと唯のお母さんの自動車があった。珍しく家にいるようだ。

「お母さん、いるの?」

「うん」

「俺は邪魔じゃないか?」

「ううん、大丈夫、お母さん、一緒にお昼食べようって」

なんか戸惑いつつも家の中に入ると唯のお母さんが明るく出迎えてくれた。

「久しぶり、いつも唯に優しくしてくれている見たいで、ありがとう」

「いや、俺はたいしたとしてないし」

「ふーん、そうなんだ、まあ、いいわ、汗かいたでしょ、これからお昼の準備するからシャワーどうぞ」

「ありがとうございます」

俺はシャワーを浴びるために浴室に向かおうとした。

「あら、唯は一緒に行かないの」

「もう、お母さんのバカ」

「うふふ」

とは言え、着替えの準備もあるので唯は脱衣所まで一緒に来て着替えとタオルがどこにあるのか教えたら戻っていった。

 唯もシャワーを浴びたいだろうし、ささっと汗を流し、着替えてリビングに行った。俺が戻ると唯は

「じゃあ、シャワー浴びて来ますね」

と言って、部屋から出ていった。唯のお母さんはキッチンで調理をしていた。

「浩之ちゃん、立ってないでテーブルの椅子に腰掛けて」

「すいません」

俺が椅子に座ると

「本当にありがとうね、唯はなんかすごく明るくなって楽しそうだし、おまけにとても綺麗になったし、みんな浩之ちゃんのおかげだわ」

「それにしても、おばさんが家にいるのは珍しいですね」

「ごめんなさい、じゃまだったかしら、でも、休みの日はそんなに留守にしている訳じゃないし、たまには浩之ちゃんの顔を見たかったし」

 そうか!何時もいないのでは無くて居ない時に俺は来ていたのだろう。俺たちの関係は知っているようだし、まあ、いいか、だけど、今日はHは無しか、まあ、仕方ないか。

 少しして、唯も戻ってきて、お昼ご飯の仕度を手伝い、テーブルに三人で座って食事を始めた。俺の前には唯、唯の隣りには唯のお母さんが座っていた。

 食べながら、今日のトレーニングの事とか、近況なんかの話をした。時より唯のお母さんが俺を見つめて微笑んでいた。俺の母さんより年上のはずだけど、意外と若そうで瞳はキラキラしてるし、肌は艶々で綺麗だ。

 食後はアイスコーヒーを飲みながら、少し話しをしていたけど、唯のお母さんは時計を見て、

「あっ、残念だけど、用事があるので出かけるわ、ゆっくりして行ってね」

そう言って、忙しそうに出かけて行った。

「なんか、唯のお母さん、楽しそうだったな」

「うん、たぶん、今日はデートなんだと思う」

「へーお母さん綺麗だし、モテるんだろうな」

「でも、まだ、紹介してもらってないし、結婚もする予定はないんだって」

「ふーん、独身を満喫してるのかな?」

「うふふ、どうかしら」

 と言うわけで二人っきりになったし、「ごゆっくり」と言われたし、お腹がいっぱいになって、お昼寝タイムとなり、その後は…




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