フリーズ
大会まであと3週間、大会の1週間前の土曜日は、近藤輪業の常連さん達のチームの試走会に参加する予定で、来週は俺達、高校生チーム最後の合同練習の予定だ。平日も赤城に登る日もあるけど、先生から、毎回、全力全開で登るとオーバートレーニングの可能性があるので全力全開で登るのは週一ぐらいにしなさいとアドバイスをもらっている。だから一人で赤城山を全力全開で登るのは今日の土曜日が最後になるだろう。
一人で登るので、一定ペースで登り、少し苦しくても脚を緩めない、そんな感じで登る事にした。
いつもは畜産試験場までは信号が多いので少しパワーを落として登るけど、出来るだけ信号に捕まらないペースに成るように、計測スタート前の信号は直進で信号が青になったでいきなり全力のパワー300Wぐらいで登った。バイパスの信号はオーバーペースだけど全力全開のパワーだとギリギリパス出来る。そして、バイパスの信号を過ぎた所でパワーを落として巡航ペースにした。心肺数はまだ160、平坦区間ではカラダを小さくして、空気抵抗を小さくして、速度は30キロちょっと、平坦区間は直ぐに終わりやや登りになる。時沢の信号はこのペースだとまず引っかからない、問題は小学校の信号だ。インターバルが短くて合わせにくい、タイミングを合わせるために少しだけパワーを使って、心拍数が170手前まであがったけど、このくらいなら大丈夫だろう。次の鳥居の信号は遠くから見えるのでタイミングが合わせやすい、若干ペースを落としてタイミング合わせて信号をパスした。タイムは8分、いい感じだ。だけど次の一里塚の信号は直前まで見えないし、半反応式の信号なのでここは運だ。そして運よく早朝で車がいなかったのか一里塚の信号もパスした。次は畜産試験場の信号で、遠くから見えるのでタイミングは合わせる易い、信号を確認するとややペースを落とした方が良さそうだった。平坦だし一息出来そうだ。それでもパワーは200Wを超えている。
難なく、畜産試験場の信号を通過、タイムは15分を切った。やっぱり、どう走ってもここまでは信号機でタイムは余り変わらないようだ。さて、あと信号は空っ風街道との交差点一つだ。パワーは220W、心拍数は175を超えないように、勾配緩めでここまで稼いだ平均速度をなるべく削らないように18キロを目安に一定パワーで登る。
この区間は朝日を遮るものが無くて、早朝とはいえ横からの陽の光がジリジリと熱いので熱中症にならない為にオーバーペースにならないように注意して登った。だけど、まだ暑いけど真夏の暑さは和らいだ感じだ。
料金所跡の平坦もパワーとスピードをなるべく落とさないように平坦区間手前で軽くダンシングした。通過タイムは25分でここまでの平均速度は20キロを超えている。ベストタイムかも知れない、橋の上で水を多めにとって、横断歩道を超えて本格的な坂に突入した。平坦区間でパワーを落とさないようにしたけど、若干、心拍数が落ちたので、気合いをを入れてペダルを踏んだ。
勾配はキツくなってスピードは落ちたけど日陰になった分、気温が下がったのか走り易い、一定パワーと速度を12キロ以下に落とさない様に注意して登った。
森の声の看板は34分を切った。このペースならベストタイムになりそうだ。気を抜かないように頑張ろう。
桃畑のバス停の手前は勾配がきついけど14キロペースで登れていた。「今日は調子が良いいのか」と思ったけど、なんか変だ。サイクルコンピュータの速度が変化してない?「あれ?」と思ってよく見ると他の数値も変化してない、「もしかして、サイクルコンピュータがフリーズしている?」ボタンを押しても変化しなかった。
「そうだ、電源ボタンを長押しすれば再起動するはず」で、10秒ぐらい長押ししたけど、ダメだった。サイクルコンピュータが無いとペースの維持が難しい、せっかく調子いいのに、ここでアタックをやめられない、でも、「どうしようと」考えていると、やっぱりペースダウンしてしまう。「くそ!」と思ったけど、タイムが記録できている事を信じて頑張ろうとした。
C1のS字カーブで水を飲んで気分を切り替えて登り始めたけど、やっぱりサイコンが気になる。サイコンに頼りすぎなんだろうか?赤城は変化が少ないのでサイコンを見る余裕があるから、ついつい見てしまうのかも知れない、実際のレースだと周りの選手たちの動きも注意しなければいけないし、昔はパワーメーターとか心拍計とかなかっただろうし、そう言えば先生はパワーメーターも心拍計も付けるのは嫌だそうだ。先生曰く、流れに乗って、最後に先頭になれば良いのだそうだ。まあ、普通のロードレースや競輪ならそうかも知れないけど、ヒルクライムレースは基本、タイムトライアルなので自分との闘いだ。
それにしても、やっぱり、サイコンが無いと不安だ。なんとかならないだろうか?サイコンのボタンを色々押しても反応しない、「うーん、やっぱり、長押しかな?」さっきは十秒ぐらいだったけど、もっと長く押してみようと思って、電源ボタンを長押しして始めた。走りながらの長押しは結構、辛かった。三十秒ぐらいして、画面表示が消えて、再起動に入ったようだ。少しして、サイコンが起動して、計測は一時停止になっていたので、ボタンを押したら計測が始まった。
サイコンを確認すると、あたふたしていたせいで心拍数が落ちていた。タイムロスになったど思うけど、ここまでのタイムや平均速度の表示はアテにならないので、姫百合駐車場でラップボタンを押して、姫百合からゴールまでのタイムを25分とすると平坦速度は13キロちょっと、姫百合までは55分だったとすると70分か?やっぱりタイムロスしたかな、もう少し頑張って少しでも挽回したいと思い焼きとうもろこし屋の所で水を多めに飲んで姫百合駐車場の所でラップボタンを押した。
ここからは九十九折りの坂なので一定のペースで走るのが難しい、いつも思っているのだけど左側が谷になる所の方が勾配があるので速度が落ちてしまうのでついついパワーオーバーでペダルを踏んでしまい、右カーブで勾配が緩くなったら速度を上げようと思っているけど、息が切れてしまうので、我慢して、カーブ手前でダンシングして、加速するように注意して登った。
その結果、少しだけ楽な感がしたし、まだ、パワーダウンもしていない、ただ、緩やかな所で休めない、でも、そこは我慢だし、あと残りわずかだし、と自分に言い聞かせて我慢した。
そして一杯清水からパワーを解放して、全力全開で登った。
最後の九十九折りでは20キロぐらいまで速度をあげて、ゴールが見えた所でさらにパワーをあげて、力を使い果たしてゴールした。
姫百合からのタイムは23分だった。たぶん自己ベストだろう。
スタートからのタイムは家に帰ってから確認したらスタートからゴールまでのタイムは70分を切っていたので、サイコンがフリーズしていた時間は記録出来ていなかったけど、サイコンのアプリのセグメントの記録では72分台になっていた。もし、それを信じれば自己ベストを更新した事になる。大会本番は信号はないし、丁度いいペースの人の後ろについて空気抵抗を減らす事でタイムを短縮出来るかも知れない、もし、そうなら70分を切って、60分台も夢ではないかも知れない、少し、ニンマリするけど、サイコンがフリーズしたし、ぬか喜びかも知れない。




