真夏の祭典
夏のトレーニングも大変だけど、年に二回開催される同人誌の祭典であるコミパの参加も過酷だ。暑いなか数万人の行列で入場を待ち、会場内は冷房があるけど満員電車のような混雑で移動するのも一苦労だ。おまけに汗臭くて息苦しい。
先日行ったガレージキットの祭典も混雑していたけど、ディーラー参加で並ばなくても良かったし、でも、今日は一般参加で凛と行列に並んでいる。実は凛はサークルで参加しているけどパスは二人分しかないので俺もいるし、一般参加なのだそうだ。
「しかし、朝から暑いな、団扇でも持ってくればよかった」
「あら、待っているのも楽しくてよ」
「それになんでそんなにくっついてくるのかな」
「だって、あなたとまた、こうしてコミパに参加できて、嬉しくて」
「だけど、周りの視線が痛いよ」
「しょうがないですわね」
と言って、凛はスーツケースの中から保冷剤と携帯タイプの扇風機を出してくれた。
「うー生き返る」
凛は嬉しそうに微笑んだ。凛は白いワンピースを来ている。フリルも沢山付いているし、背中に羽根でも付けたら天使のようだ。コスプレのような感じだけど該当するキャラクターが思いつかない、それと日焼けを気にしてか白くて鍔が広い帽子を被り、小さな日除傘を持っている。でも、夏らしくノースリーブで涼しそうだ。
「なんだか今日はいつもと違う感じだな」
「あら、どんな感じかしら」
「なんか可愛い感じで」
「えっ?いつもは可愛くないのかしら」
「いいや、そうではなくて」
「まあ、ゆかりさんや唯さんの方が可愛いのは認めるけど」
「うーん、凛も可愛いけど、どちらかと言えば、凛は可愛いと言うより大人ぽくて綺麗という感じだけど今日はなんか可愛い、服装のせいかな、メイクも違うし」
「うふふ、意外とわたくしの事を見ていてくださるのね、そうですわね、今日は売り子もするので、新刊のキャラクターに合わせたデザインですわ、これにいくつかアイテムを追加して、完成ですわ」
「それって、羽根とか?」
「あら、どうしてわかったのかしら」
「まあ、この衣装に羽根をつけたら、マジ天使という感じだったから」
「あら、嬉しいわ、でも、ゆかりさんだったら、もっとお似合いですわ、わたくし自身は黒を基調とした堕天使の方がに合うと思いますわ」
俺はゆかりと凛の天使の姿を妄想していると、凛は耳元に口を近づけて小声で
「なんか変な妄想してるでしょう。お兄ちゃんのエッチ」
イチャイチャしていると周りから冷たいプレッシャーが強くなるのを感じたので自重して、アニメとか無難な話をするようにした。確かに暑くて大変だけど凛と一緒だと楽しい待機時間だった。やっと行列が動きだした。何となくスターウォーズでドローンが行軍する光景を思い出す。まあ階段を登って振り返ると遠くまで並んでいる人が見える場所では「人が◯◯のようだ」という声も時々聞こえたけど、
さて、やっと会場に入った。人ゴミに流されて逸れないように汗で握った手が滑りそうだったけどしっかりと凛の手を握って、とりあえず凛のサークルがいる所に移動した。凛のサークルは会場の中程でテーブルが島のように並べられた所でテーブルが一つ折りたたみの椅子が二脚というこぢんまりしたスペースだった。店番をしている女の子の一人が凛に気がついて手を振っている。
「ごきげんよう、お久しぶりですわ」
「凛ちゃーん、ごきげんよう」
そう言って、やたらフレンドリーな感じの女の子が立ち上がって両手で凛の手を握りしめた。
「売れ行きはどうかしら?」
「ぼちぼちかな、で、こちらが彼氏さんですか?」
「ですわ!」
「高梨です。よろしく」
「わーカッコイイですね、さすが凛ちゃん、あっ、わたしは沙織、よろしくね、そして、こっちが瑠璃ちゃん」
瑠璃さんは座ったままでチラリ視線を合わせてコクリと会釈した。たぶん恥ずかしやさんなんだろう。前髪が長くので顔が良く見えないけど、かなりの美少女だ。
「それで早速で悪いけど、私と凛ちゃんは着替えてくるので、少しだけ瑠璃ちゃんと店番をお願いします」
凛と沙織さんは荷物を持って、ブースから離れた。俺はテーブルの隙間から中に入って、瑠璃さんの横に座った。
「隣り、失礼します」
瑠璃さんはコクコクして、小さな声で
「どうぞ」
かなりの照れ屋さんと思ったけど、お客さんがやってくるとにっこり笑って、
「ご自由に見て行ってください」
と意外に対応するし、買ってくれるとすごく可愛い笑顔で「ありがとうございます」とお礼を言う。
「あの、同人誌見せてもらっていいかな」
瑠璃さんは見本用の一冊を手に取って、俺に渡してくれた。ペラペラとページをめくると巻頭は凛のカラーのイラストで始まり、あとは短編のマンガでマンガは白黒だった。凛のイラストは見覚えがあったが完成した同人誌を見るのは初めてだ。基本的にはガールズラブ、百合物で可愛い女の子しか登場していないようだ。内容的には緩めからヤバめだがギリギリ成人向けにはなっていないようだ。ふと可愛い女の子の漫画が目に留まったのでじっくりと読みはじめるた。
あまり百合系には詳しくないけどアニメ化もされたマンガの同人誌でアニメでは放送できないであろう内容だった。ただ行為とは裏腹に絵は可愛いくて、とても繊細な感じでとても上手だと思った。俺がじっと読んでいると瑠璃さんが恥ずかしそうに
「ど、どうですか?」
「うん、これはすごいよアニメより綺麗描けているんじゃないかな」
瑠璃さんの顔が赤くなっているのに気がついて、作者を確認するとルリとなっていた。
「これって、瑠璃さんの作品ですか?」
瑠璃さんの顔が更に赤くなって、瑠璃さんは下を向いて恥ずかしそうに前髪をいじっている。
「はい、私のです。ちょっとエッチじないですか」
「いや、このくらい同人誌なら問題ないと思うし、とにかく絵が綺麗だし、描写もいいし」
まあ、描いた本人が隣りにいるのにエッチなのを見るのは俺も恥ずかいけど、凛の絵で少し慣らされているので平静を装うことはできる。それにしても、この子?はおとなしそうだし、清楚な感じだけどエロい妄想をしていると思うと感慨深い、凛もかなりエッチなので、そんなものなのかもしれない。
「あっ、凛ちゃんの彼氏さんはやっぱり、凛ちゃんとやってるのですよね」
「ブッ、あっまあその、そうだけど」
「ご、ごめんなさい、最近、凛ちゃんの絵がとてもリアルになってきた感じで、きっと実体験かなと思って」
俺はふと疑問に思った。だって俺は男だし、あんまり上手くないし、凛は可愛い女の子の絵し描かなし、
「それ、たぶん俺のせいじゃなくて妹と妹の友達の影響かも」
「えっ?もしかして、妹さんと凛ちゃんはそういう関係なのですか」
「いや、よくわからないです。でも、仲がいいのは確かです」
「そうなんですね、なんとなく分かった感じです」
と、後ろから
「あれー、もう仲良くなっちゃた」
振り返るとコスプレした凛と沙織さんが戻ってきた。
「瑠璃さんは男の子が苦手なのに、あなたたはどうしてこうも女の子に好かれるのかしら」
「ダメだよ、瑠璃は私のだから」
「そうなんですか?」
「まあ、一緒に暮らしてるし、だけど凛ちゃんと同じで男の子との恋愛が嫌なわけじゃなくて、ただ可愛い女の子が好きなだけだよ。ただ瑠璃は凛ちゃんと違って彼氏いない歴=年齢だけど」
「そうですわ、せっかく仲良くなったのですから、瑠璃さんと他を回ってきてくださるかしら」
「凛は?」
「わたくしと沙織さんはお店番をしてますから」
「お昼で交代ね、高梨君、悪いけど瑠璃をお願いね、午後は凛ちゃんと回ってきていいから」
瑠璃さんは椅子から立ち上がって
「すいません、お願いします」
「いや、俺は構わないよ」
「では、瑠璃と逸れないようにしっかりと手を繋いでいってね」
瑠璃さんは恥ずかしそうに手を出した。一応、凛の顔を伺ってみると
「いってらっしゃい」
と微笑んでいたので問題ないだろう。俺は瑠璃さんの手を取って、机の隙間から通路にでた。
「あの、行きたい所とかありますか?」
「はい、ありますが、高梨さんは?」
「俺は特にないし、後で凛と回るから、とりあえず瑠璃さんに付き合います」
「ありがとう、じゃあ、まず」
瑠璃さんは急に積極的になって俺の手を引っ張って、目標地に向かった。移動しながら瑠璃さんと沙織さんについて話しを聞いた。二人は大学生で東京のアパートで共同生活しているのだそうだ。凛とはネットやイベントで知り合って、一緒にサークル活動を始めたのは凛が高校に入ってからだという。
瑠璃さんは百合系のブースを中心に回った。中には知り合いもいて挨拶をしていた。一緒にいる俺には「彼氏さんですか」と問われる事もあったけど「友達の彼氏です」と笑って答えていた。始めの印象では人見知りで恥ずかしやさんだと思ったけど、女性に対しては明るく接しているので凛が言ってたように男性が苦手みたいだ。だけど手も繋いでるし、会話もだんだんできるようになったので気に入ってもらえたのだろう。
こうして、お昼まで二人で回って凛と沙織さんいる所に戻った。
「瑠璃さん、高梨君にエッチな事されなかったかしら!」
「いいえ、高梨君は優しくエスコートしてくれました。私こそ人混みに押されて、高梨君に抱きついてしまって、ごめんなさい」
「へーそれって、ラッキーだったね、高梨君」
「いや、仕方なかったし」
確かにそんな場面もあった。瑠璃さんの小さいけど柔らかい感触はしっかりと脳裏にセーブした。
「さあ、お弁当をどうぞ、私と凛ちゃんはさっき食べたから、椅子に座ってどうぞ」
沙織さんと凛と席を入れ変わった。
「では、悪いけど凛ちゃんと少しだけ回ってくるから店番をお願いね」
そう言って、二人は手を繋いでブースから出て行ってしまった。俺と瑠璃さんは弁当を食べ始めた。
「ごめんなさいね、凛ちゃんと周りたいでしょうに」
「いいえ、待機列ではずっと一緒だったし、あの?このお弁当は手作りですか?」
「美味しくないですか?」
「いいえ、美味しくですよ。会場でも食べやすい感じだし」
「ありがとうございます」
「あれ?瑠璃さんが作ったのですか」
「沙織と一緒に朝作りました」
「忙しいのに大変じゃなかったですか?」
「私たちは待たないで入れたから、一般参加だと早起きしないとだし、大変じゃなかったですか?」
「そうですね、始発で来ましたけど結構並びました。でも、いつも朝はトレーニングするんで早起きだし、凛と一緒で楽しかったです」
それに今日初めて会った女性だけど、可愛い女の子と手を繋いで歩くのは新鮮で楽しいし、嫌な気はしない。お弁当を食べて二人で店番をする。新刊は残り少なくなってきたけど再販の方は余り売れてない、元々少なめだったので在庫を並べている感じがした。少し気になったので再販のを手に取って読み始めるた。内容は百合ではなくて、普通のラブコメでアニメ化もされたラノベをモチーフにしている。始めは普通な感じだったけど、だんだんエロくなって、「あれ?これは成人向け?」となってきた。まあ、未成年が見てはいけないような気もするけど、同人誌ならこれくらいライトな方だと思う。ただ修正が必要な部分の描写が不自然だ。実物を見たことがないのだろう。そう言えば初めてこう言うのを見たのは中学生で凛の持っていた同人誌だった。付き合い始めてから、そんなのを見せらたら変な気を起こしても仕方ないよな。
なんだか隣りの瑠璃さんがモジモジしている事に気がついた。
「あの、あんまり見ないでください」
「あっ、ごめん、女性の近くガン見したらいけないですよね」
同人誌を閉じながら作者の名前を確認するとルリとなっていた。配慮に欠けていた。瑠璃さんは真っ赤になっいた。
「ああ、でも、絵は綺麗だし、内容もこのくらいはよく見ますよ」
「え、エッチなんですね」
「まあ、一応、健康な男子なんで」
そこに沙織さんと凛が戻ってきた。
「コラコラ、高梨君、おねいさんに変なことしちゃダメだぞ」
「瑠璃さん、お顔が真っ赤ですわ」
昼休み後にトイレにいってから、やっと凛と会場を回る事になった。
「あなた、瑠璃さんとだいぶ仲がよろしくなりましたのね」
凛はぎゅと腕を絡ませて囁いた。
「うん、まあ、最初は緊張してたけどだんだんかな」
「そう、良かったですわ、瑠璃さんはああ見えて男の子に対しての妄想は凄いですわ」
「ああ、そういえば瑠璃さんの同人誌は結構凄かった」
「あれはまだ可愛い方ですわ、ガチな成人向けも描いていますわ、流石に今日は持って来てはありませんが」
「そうなんだ」
「見たいかしら?」
「うーん」
「正直に答えなさい」
「はい、見たいです」
「ふふ、宜しいですわ」
こうして、凛と会場を周り始めた。いくつかのサークルに寄ってから、ある企業ブースに向かった。ブースには特設ステージがあって声優のミニライブがあると言う。開始時間まで少しあったけどステージ前はいっぱいだった。最前列ではないけど見えそうな場所を見つけて凛と開演を待った。そう言えば中学生の時も同じようなミニライブがあったけど時間が合わなくて通路を歩きながらチラ見しただけだった。
やがてミニライブが始まった。まずピンクのヒラヒラが付いたミニスカートを履いた有名な声優さんが音楽とともに登場した。
「みんなぁ!暑い中、来てくれてありがとう!でも、もっと熱く萌えようぜ!」
観客は「おー!」とか「きゃー!」とか答えて、声優さんがメインヒロインをやっているアニメのオープニングを歌い始めた。可愛い!短いツインテール、細い足、とてもキラキラしている。さすがは売れっ子声優だ!
そして、一曲歌い終わって間奏が続くなか
「みんなぁ!お待ちかね、佳奈ちゃんの登場だよ、声援、よろしくぅ!」
そして、デザインは同じ感じだけと色はパープルで少しだけ露出度が高い衣装をきた売り出しだけどサブヒロインの若い声優さんが登場して、更に盛り上がる。そして、エンディングの歌をデュエットで歌ってから、一息ついてトークに入った。
「あーしんど、歳かな」
(爆笑)
「えー理恵さん、まだ17才でしょ」
「まあ、設定だけど」
理恵さんは若そうだけど、本当は俺の母さんより年上だ。そして理恵さんは20才なので親子でも不思議ではない歳の差ではある。でも、演じているキャラクターのイメージを崩してないし、凄いと思った。
ミニライブは20分ほどで終了して、俺と凛は自分たちの場所に戻って、店番を沙織さんと瑠璃さんと交代した。終了まで後二時間ぐらいだ。人通りも少なくなってきた。新刊は完売になったけど再販はまだ残っていた。
お客さんもほとんど来なくなってきたので、凛とミニライブの事や手に入れた同人誌の事とかを話しをして楽しく過ごした。終了前には沙織さんと瑠璃さんも戻ってきて撤収の準備をした。終了の時間を告げる場内アナウンスがあり、場内に拍手湧き上がった。
撤収後は沙織さんと瑠璃さんのアパートで打ち上げをする事になった。アパートは広めのワンルームでベッドと学習/作業用の机が二人分あって、ベッドの間に小さなテーブルが設置してあった。二人暮らしでは少し狭い感じだった。
「お疲れ様!新刊は完売したし、今回は利益も少し出ました。では乾杯!」
沙織さんが音頭を取って、打ち上げが始まった。瑠璃さんと沙織さんはビールだけど俺と凛はソフトドリンクだ。
「高梨君、今日はありがとうございました。おかげて楽しく回る事ができました」
「あら、すっかり瑠璃さんと仲良くなりましたのね」
「大丈夫です。凛ちゃんから高梨君を取ったりしませんから」
「いいえ、別に高梨君はわたくしのでは無いですわ」
「でも、彼氏なんでしょ」
「そうですわ、ですが、高梨君もわたくしも自由ですわ」
「瑠璃ちゃん、高梨君に手を出してもOKだって」
「私はそんな事出来ません」
「でも、彼氏は欲しいでしょ」
「そう言えば、沙織さんは彼氏さんとかいるんですか?」
「あれー高梨君、気になる?え〜と今はいないかな、高校の時はいたけど、それに今は瑠璃ちゃんがいるから」
「えっ?瑠璃さんとはそう言う関係なんですか?」
「はは、どうかなー」
同人誌のカテゴリから考えると不思議は無い気もするけどノーマルな関係の同人誌も書くようなので、そんな事は無いのかもしれない、
「ところで、瑠璃さんの同人誌を高梨君に見せて頂けないかしら」
「えーと、構わないけど、どんなのを」
「そうですわね、高梨君が喜びそうなのがいいですわ」
「えー恥ずかしいよう」
「瑠璃ちゃん、ほら、男性の意見も聞いた方がいいよ」
瑠璃さんと凛は本棚にいって薄い本を選んできた。
「高梨君、これなんどうかしら?」
凛が進めた本は原稿をファイルしたもだった。春アニメで人気があった異世界ファンタジーを題材とした者だった。絵は繊細で綺麗だった。瑠璃さんは緊張しつつも俺の様子をじっと観察している。内容が内容なので女性の前で読むのは恥ずかしい、
「ど、どうですか?」
「うん、とても綺麗ですね」
「ありがとうございます。で、使えそうですか」
「え?何に?」
「おかずですわ」
「ああ、俺はこう言うのは使わないから」
「そ、そうですよね、こんな綺麗な彼女さんがいるんですし」
「可愛い妹さんとおっぱいの大きな幼馴染もいますしね」
と耳元で凛が囁いた。
「いやそうでもけど、綺麗すぎるのでそんな気にならないと言うか」
「そうですわね、エロさとリアルさが足りないのかしら」
「ああ、凛ちゃんに指摘されちゃったよ、でも、こう言った描写は経験無いし、資料も修正されていてよく分からないし、いいなぁ凛ちゃんは近くにこんなにカッコイイ彼氏さんがいて」
「じゃあ、あなた瑠璃さんのレベル上げのために、一肌脱いでくださるかしら」
「えっ?凛ちゃん、いいの」
「減るもんじゃ無いし、いいでしょう?」
「えっ?俺だけそれじゃあ恥ずかしいよ」
「じゃじゃ、私たちもそうするから、ねっねっ」
そして、朝が来た。昨晩はいつもより遅く寝たけど、習慣で夜明け少し前で少し明るくなった時間に目が覚めた。目を開くと目の前に瑠璃さんが寝ていた。可愛い、ん?でも昨晩は凛と、あれ、向こう側のベッドでは沙織さんと凛が寝ている。俺はTシャツ一枚で寝ていた。そう言えばエアコンはあるけど弱め設定で少し暑つかった。瑠璃さんを確認するとキャミソール一枚だし隙間から可愛いのが見える。いつもゆかりと寝てるし、そんなに違和感がない、でも、触ったりしないようにしなきゃ、と思っていたらスマホのアラームが鳴って、瑠璃さんが目を開けた。
「おはよう、チュッ」
そう言ってキスされた。瑠璃さんは寝ぼけているのか「もうちょっと」と言って、俺の懐で甘えている。
「こうら!瑠璃、朝だよ」
沙織さんと凛が起き上がって、俺と瑠璃さんが掛けていたタオルケットを剥ぎ取った。
「あら、高梨君、お元気ですね」
やっと瑠璃さんも起きて
「アッ?凄い」
俺は慌ててそれを隠した。
さて、今日もコミパに参加する事になっているけど、今日はコスプレイヤーとしての参加で俺は荷物持ち兼、カメラマンと言う事で今日も早起き、着替えと身支度だけして電車で会場に向かった。今日は一般参加者と同じように待機列に並んでコンビニで買ったおにぎりを食べた。食べ終わった頃に会場となり移動が開始された。入場後、真っ先に更衣室に向いコスプレ登録をした。そして凛から「あなたはコレね」と袋と登録証をのリストバンドを受け取った。
「あの、俺も」
「ですわ、大丈夫、知ってるキャラクターだし問題ありませんですわ」
と言う訳で強引にコスプレをさせられることになった。そして更衣室に向かった。更衣室で着替えて凛たちを待つ、俺は異世界の魔王のコスプレだ。ただ簡易的な感じですぐに変身することができた。
待っていると凛たちが現れた。瑠璃さんと沙織さんは鍵付きの首環をしている奴隷のコスプレで、凛は女騎士だった。
「ご主人様ぁ、よろしくお願いします」
と瑠璃さんと沙織さんは俺の両脇に擦り寄った。
「魔王様、お似合いですわね」
凛はいやらしく微笑んだ。
俺たちはコスプレの撮影コーナーに行って撮影を始めた。始めは凛がカメラを持ち俺たち三人を撮った。沙織さんと瑠璃さんは色々なポーズを取っていたが俺はどうしたらいいかわからないので二人の間に恥ずかしそうにじっと立った。まあ、キャラクター的には合ってるか、そして俺たちの所にも撮影待ちの列ができ始めて、凛も撮られる側に回った。俺は時々撮影側に入った。三人とも美少女だし衣装の完成度も俺のとは違って高かったし、露出度も限界ギリギリで結構長い列ができた。自分たちだけでなく好きなキャラクターのコスプレも撮らしてもらった。最初は恥ずかしかったけどだんだん慣れてくると際どいコスプレの人もしれっと撮影できるようになった。それにしてもこう言った写真がネットにアップされて知っている人にばれたらどうしようかと思った。凛たちはカラコンしてウィッグもして化粧をしてるのでバレないだろう。まあ、隠しても無いようだ。俺は角の付いた仮面だから大丈夫かな?
さてコスプレはお昼までで着替えて、軽く食べて午後はざっと会場を回ったけど凛たちのジャンルは昨日で今日はどちらかというと漢の子向けだったので俺は好きなアニメの同人誌を何歳か買った。沙織さんと凛は余り買わなかったけど瑠璃さんは成人向けのも躊躇なく買っていた。
こうして汗臭い真夏の祭典は終わった。俺と凛は沙織さんと瑠璃さんと分かれて電車に乗った。電車は混んでいたけど運良く新宿で席が空いたので凛と座る事ができた。
「こうしていると中学生の時を思い出しますわ、あの時は初めてで不安だったわたくしをリードしてくれて頼もしく感じましたわ」
「そうだったかな、今回も逆に凛に振り回された感じだったけど」
「そうかしら、でも、楽しかったでしょう」
「そうだな、色々あったな、沙織さんと瑠璃さんも仲良くなれたし」
「あら、昨晩の事を思い出してるのかしら」
と凛は耳元で囁いた。




