お手伝い
月曜日の朝、2階から誰か降りてくる音で目が覚めた。トイレを流す音がした。そして、俺の部屋のドアが開いて誰か入ってきた。ゆかりか、そう言えば昨晩は一緒に寝てなかった。スルスルと俺の布団に入ってくる。俺は抱き寄せてキスをした。んっ?舌の絡ませ方が濃厚だ?
「かあさん、ふざけないで下さい」
「へへ、バレたか、でも少しだけイイでしょ」
そう言って、俺に抱きついてきた。やっぱり、かあさんは大人の匂いがして少しドキドキする。
「それにしても、大きくなってりっぱだわ、さすがお父さんの息子ね、皆んなほっとかない訳ね」
「かあさん」
「それに私にも反応してくれて嬉しいわ」
そう言って、キスしてきた。かあさんとは、挨拶程度のキスはいつもだけど大人のキスはたまにだけだ。我慢できなくなりそうなので、布団からでた。
「なんだ、起きちゃうの?かあさん、寂しいな」
「かあさんにはとうさんがいるだろ」
「釣れないなあ、でも、ゆかりは可愛がってね」
「それは当たり前だから」
「ありがとう、さすが私の息子ね」
俺はゆかりが大切だ。それは今も昔も変わらない。それにしても、かあさんは魅力的だ、いつか釣られてしまうかな?
と言う訳で「ファーストキスは?」と聞かれると、どう返事をするべきなのか考えてしまう。
さて、火曜日は夜明けと同時に赤城に向かう。ガツガツしないで余裕を持って登る事にした。だけど毎度の事ながら、坂が急になるほど、踏んでしまいオーバーペースになってしまって、結果的に苦しくなり失速してしまった。この癖、なんとかならないかと思うけど限界を超えたぐらいが一番、気持ちいい、長くは持たないけど、
下山後は凛のアパートでシャワーと朝食、お弁当を貰う。なんか申し訳ないと思うけど、凛は嬉しそうだ。後でお返ししないとな、
水曜日のミーティングでは、夏休み合宿について話し合った。とは言え先生がほとんど計画してくれていた。合宿は8月初旬で、場所は乗鞍高原だそうだ。費用は学校と選手の折半だそうだ。車は近藤輪業が提供してくれて、なるべく安くするそうだ。
ただ、凛が「参加しますわ」と言ったけど困った顔をしていたので気になった。
木曜日は気分を変えて、赤城山ヒルクライムのコースである県道4号線を空っ風街道の交差点まで上がり、空っ風街道を赤城神社方面に走った。このコースは冬の間、ローラー練に飽きた時によく走るコースでアップダウンが面白い、登りで300Wまで上げて下りで休む、インターバルトレーニングみたいな感じだ。赤城神社へ向かう道の信号で右に曲がって帰宅した。これだと凛の世話にならくても登校できる。
ただ、凛は「寂しいですわ」と言っいたので金曜日は凛のアパートに泊まって、土曜日は凛のアパートから赤城を登る事にした。
金曜日は放課後、凛のアパートに行った。今晩は頑張るぞと意気込んでいたが、
「ごめんなさい、アレが来てしまいましたわ」
「そうか、まあ、しょうがない、けど、凛と過ごせるだけ幸せだよ」
「うふふ、できる範囲でサービスしますわ」
「お、おう」
「では、ご夕食の支度をいたしますのでお風呂をどうぞ」
「ありがとう」
「それと、お食事の後に御相談がありますわ」
凛の手料理はディナーという感じがした。ワインとかあればイイ感じだけど、残念、未成年なので、ブドウジュースで我慢だ。だけど、幸せな気分になる。
食後のコーヒーを飲みながら、凛が相談内容を話し始めた。
「合宿の事ですけど、わたくし、八月のイベントに備えて忙しくて、お手伝いをお願いしたいのですわ」
「俺に出来る事なら手伝ういたいけど、俺は絵は下手だし、パソコンは苦手だけど」
「そうでは無くて、ガレージキットて、ご存知かしら」
「ああ、色塗りしてないフィギュアのことかな」
「ええ、実は知り合いの原型師さんがわたくしのイラストをベースにガレージキットを製作してくださる予定なのですわ」
「へー凄いな」
「ですけれど、その方は忙しくて、わたくし、お手伝いすることになっていまして、合宿に参加するとなると、結構、キツくて」
「それで、何をすれば良い」
「ええ、出来れば原型師さんのお手伝いをしてほしいのですわ、確か、あなたはプラモデルとか得意ではなかったかしら」
「ああ、中学まではやってたけど、最近はやってないな」
早速、凛は原型師さんに連絡して、俺は原型師さんのお手伝いをすることになって、明日の午後、家の手伝いをしてから凛と原型師さんに会いにいくことになった。
そして、その夜は二人で寝たけど、始めてしまうと我慢できなくなりそうなので、大人しく寝た。
そして、土曜日の朝は、まだ寝ていた凛のほっぺにキスして、アンパンとコーヒーを飲んで赤城山に向かった。
ゆかりと凛も後から赤城を登る予定だ。
今日は、後半ダレてしまう分、前半、頑張って登ってみた。いつもは畜産試験場までは抑えるけど、250W、心拍数は175をリミッターにしてみた。
畜産試験場までの平均パワーは230Wぐらい、パワー的には出ているけど、タイム的には、15分と変わらない、信号があるから、タイムはある程度、決まってしまうのかもしれない、
畜産試験場から若干パワーを上げて挽回を試たが料金所跡のタイムは27分、平均パワーはほとんど変わらなかった。
気を取り直して、そのままのペースで登ろうとしたけど、料金所跡の平坦で平均パワーが落ちた。
そして、長い坂に入る。単調なので、気を抜くとパワーが落ちてしまう。兎に角、一定ペースになるようにサイコンを頻繁に見て登る。森の声の看板で35分、この調子ならいいタイムになるかも、
姫百合で55分、少し遅れたかな?でも、体力的には大丈夫そうだ。だけど、九十九折り区間は変化が多くて、楽しいけど、ペースが乱れてしまう。毎度のことだけど、今後の課題だ。
結局、タイムは78分、いつもと同じだった。このへんが壁なのだろうか?
レースでは信号機がないとか、前の人について空気抵抗を減らすとかで5分ぐらい短縮できるそうだ。だったら、本番では73分となる。大会までは3ヶ月以上あるので、鍛えれば70分を切る事も可能かもしれない。そんな妄想をしながら下山した。
家の手伝いを済ませて、凛と一緒に原型師さんの自宅兼工房に向かった。意外と近くだった。凛の家ほどではないけど、りっぱな家だった。唯の家より広そうだ。工房があるからかな?
凛がインターホンを鳴らすと「はい」と女性の声で返事があって、パタパタと玄関に近づく音がして、ドアが開いた。
「凛ちゃん、いらっしゃい」
「おばさま、お邪魔しますわ」
「遠慮しないで、上がって上がって、あっ、こちらが彼氏さんかしら」
「ええ、高梨くんです」
「うふふ、さすが凛ちゃんの彼氏だわ、かっこいいわね」
「よろしくお願いします」
「高梨くん、先生、あっ、主人は忙しくてが離せなくて、早速、手伝ってもらいたいので、工房に案内するわね」
工房に入ると奥の方で作業している人とパソコンをしている人がいた。
「あなたぁ!凛ちゃんが来たわよ!」
奥で作業している人が手を止めて、振り向いた。
「ああ、凛ちゃん、ありがとう、助かるよ」
その人はかなりお疲れのようだ。
「おじさま、こちらが連絡した高梨くんです」
「ああ、君が、悪けど今忙しくて、山田くんよろしく」
パソコンをしていた人が手を出して止めて」
「山田です。先生のアシスタントをしてます。早速で悪いんだけど手伝ってもらえるかな」
「ええ、でも僕に手伝える事ですか」
「ああ、誰でも出来るよ。やり方を教えるから、こっちきて」
「はい、よろしくお願いします」
「じゃあ、凛ちゃん、仕事の邪魔だから、私たちは出ましょう」
山田さんに作業を教わった。内容はガレージキットの洗浄だった。ガレージキットはシリコン型から取り出した状態で、プラモデルのようにパーツからニッパーでランナーやゲートを切りとって、灯油のような溶剤に付けて、その後は兎に角、水を弾かなくなるまでよく洗った。地味な作業だけど、塗装の仕上がりにすごく影響があるのだそうだ。
ひたすら洗って、3時間ぐらい過ぎたところで「助かった。またよろしく」言うわけで初日は終わった。
帰りは凛を自宅まで送った。原型師さんの奥さんは、凛の母親のお姉さんだそうだ。基本的にいつでも空いた時期でいいからお願いしたいとの事でバイト代も出すし、作業に支障が無ければイヤホンで音楽を聴いたり、動画を見てもいいそうだ。それなら見たいアニメも見てられるので都合いいバイトになるだろう。
そして、日曜日は唯とヒルクライムトレーニングだ。一週間開いてしまったけど、やっぱり唯と一緒なのは楽しいし、唯もだいぶ慣れてきたので、俺のテンポ走レベルになってきた。一人で登るとどうしても、高強度になりがちだけと、低い強度でトレーニングすることも大事なんだそうだ。それに、唯は綺麗になってきたし、見てて楽しいし、トレーニング後は美味しいご飯と食後はお楽しみがあるし、正直、待ち遠しかった。
そして、トレーニングと美味しいご飯の後、お茶を飲みながら、
「そう言えば、もうすぐ、ゆかりちゃんのお誕生日ですよね」
「そう言えばそうだな」
「お誕生日会とかするんですか?」
「家は特に無いな、ケーキを買って食べるくらいかな、それに今年の誕生日は日曜日で仕事だし」
「だったら、日曜日、私たちでお誕生日のお祝いしませんか?」
「うん、そうだな、どうしようか」
そうして、唯とゆかりの誕生日会についててアイデアを出し合った。もちろんスキンシップもしたけど、




