G W チームでヒルクライム
三連休の最終日の朝、何か苦しくて目が覚めた。それに体に何か重い物が乗っているような感覚で身体が動かない?もしかして、金縛?
「にいちゃん、起きて!」
ん?妹の声がする。目を開くと妹が馬乗りになっている。
「おはよう、重いんだけど」
「にいちゃん、おはよう、でも、私は重く無いよ」
妹は両手で俺の肩を押さえて、顔を近づけた。
「へへ、おはようのチュウだよ。それにしても、今日も朝から元気だね。なんかお尻に当たるんだけど」
「こら動くな!お返しだ!」
「うっ⁈にいちゃんのエッチ!」
軽く朝食を食べて、待ち合わせ場所の学校の駐車場に向かう。途中、唯と合流した。待ち合わせ場所に着いて、全員が集まった所で先生が今日のトレーニングについて話し始めた。
「あらためて、おはよう諸君!急な誘いだったが、チームメンバーが全員揃って、嬉しいぞ。全員で赤城を登るのは初めてだな、皆んな一緒に登るのもいいけど、レベル差があるので、三つに分けたいと思う。まず、唯ちゃんとゆかりちゃんが最初に走り初めて、ゴールは姫百合駐車、五分後に私と凛ちゃん、ゴールは観光案内所、さらに10分後に結城くんと高梨くん、そして、観光案内所に着いたら、姫百合駐車まで下りて、全員集合だ。それでいいかな?」
皆んなそれに賛成した。
「では、交通安全第一で登りましょう!」
「ハイ!」
まずは、ゆかりと唯がスタートする。
「じゃあ、にいちゃん、先にいくね」
「ああ、頑張ってな」
「お兄さん、私も頑張ります」
「おう、無理しないで頑張れ!」
「お兄さんににいちゃんか、高梨、俺はおまえが羨ましいよ。そして、こんな綺麗な彼女がいるときた」
「まったくだな!わたしのことも忘れないでほしいな」
「先生、ふざけないでください」
凛が何気なく、俺に寄ってきた。
「凛ちゃん、すまない、安心してくれたまえ、これでも今は教師だから」
「さて、凛ちゃん、そろそろ、私たちもスタートするか、勝った方が高梨君にチューな!」
「負けませんわ!」
こうして、先生と凛がスタートした。凛は先生に勝つつもりなんだろうか?でも、先生が勝ったらどうしよう。
「いつものことだけど、高梨はモテモテだな、まったく羨ましいよ」
「おまえも、彼女を作ればいいんじゃないか、知っているぞ、結構、告られているだろう」
「まあ、そうなんだけど、誰でも良いわけじゃないし、なんか、ビビッと来る子がいなくてさ」
「それで、今日はどんな感じで登ろうか」
「話しを逸らして…まあ、先行グループは競い合ってるみたいだから、俺たちも頑張るか」
「キスは無しだからな、えーと、じゃあ、二人だけだけど協調して登るか、数分ごとに先頭交代で、くれぐれも後ろからくる車に気をつけてな」
「了解!今日はタイムアタックだ!ベストタイム更新するぞ」
時間を確認して、俺たちもスタートする。なるべく信号に捕まりたくないので、上細井の信号北側歩道で止まって、信号のタイミングをみて、スタートした。始めの坂は俺が引く、上武国道が見えて、平坦になったところで結城が前にでる。「うへっ⁈こいつ飛ばすな自動車の流れに乗って走りやがる。300Wだぞ!保つのか?」
平坦区間が終わる手間、結城が手で交代の合図を出したので、後ろを確認して、前に出る。いつもは畜産試験場までは本気を出さないが、今日は本気でペダルを踏んだ。
そんな感じで、畜産試験場の信号は15分を切った。この調子なら80分切れるかもしれない。頑張るか!結城もまだ大丈夫そうだ。
予想だと料金所跡で唯とゆかりが休憩しているかと思ったが、休んでいなかった。足つき無しで頑張っているのか⁈
料金所跡の通過タイムは27分、僅かな平坦区間でちょっとだけ、休もうと足を緩めたら、結城が前に出た。
「休んでんじゃねーよ!」
「頑張るなあ!」
「おおよ!」
俺は平坦になると足を緩めてしまうのが癖のようだ。実戦では平坦区間はスピードが出るので、タイム短縮に効果があるので足を緩めてはダメかもしれない、でも、平坦になったからといって、急な速度アップは体力を使うので、坂で加速する体力を残しておいた方が良いだろう。だけど、俺はギリギリで坂を登るのが気持ちよくて、なかなか、それができない。
橋を渡って、横断歩道を超えると本格的な坂になる。数分後、ゆかりたちの後ろ姿が見えて、だんだん近づいてきた。
結城が二人の横になった。
「頑張れよ!勝ったら高梨がチューするってさ!」
また、余計なこと言っている。だけど、ゆかりたちは。
「ハイ!頑張ります!」
だけど、ゆかりとは毎日のようにキスしてるなあ。俺はゆかりの横に来たときにお尻をプッシュして。
「頑張るなあ!」
「にいちゃん、ありがとう、唯ちゃん速くて!」
続いて、唯の肩をぽんと叩いて。
「頑張れよ!」
「ハイ、負けません!」
マジかよ?まあ、ほっぺにならいいか?二人を抜いて少ししてから。
「おい、結城、言っておくけど、ゆかりは妹だし、唯は幼馴染で、彼女は凛だからな!」
「わかっているさ、そして、先生は愛人なんだろ?」
「先生はふざけているだけだよ!」
「そうかな?まあ、そう言うことにして置こう」
なんかムッとしたので、ダンシングで結城を抜いた。結城はニヤリしていた。うっ⁈これは挑発か?気持ちを切り替えて自分のペースで登る。
それにしても、先生が愛人?愛人ってなんだろう。先生は年上だけど綺麗でスタイルもシュッとしていて健康的だ。少しお調子者なところがあるけど、憧れ的な存在だ。少し母さんに似ている感じでもし、ウチに来てくれたらバッチリだろう。だけど、先生だし、年上だし、彼女がいるし、それは妄想だ。だけど、ごめんなさい先生、キスされたのでたまにオカズにしています。
疾しい事を考えていて、ペースが落ちたのか結城に抜かれた。
「なんだ、高梨、もう、終わりか⁈」
「いや、まだまだだ!」
二つ目のS字カーブを過ぎたら、そのオカズ、いや!先生のお尻が見えてきた。だめだ!結城のせいで変な目で見てしまった。そんな目で見てはいけないし、その前には凛もいる。凛はかなり頑張っているようだけど、先生は余裕だ。今日のメンバーには凛と同じくらいのペースの人はいないので、先生は凛に付き合っているのだろう。
そんな感じで姫百合は56分、先日のハルヒル試走と同じくらいの好タイムだ。そして、楽しい九十九折り区間に入った。
まだ、体力はある。と言うか結城と協調して走ったおかげかいつもより残っている感じだ。赤城山の九十九折り区間はパターンがあって、大体は左側が谷になる方が勾配があって、逆に右側が谷になっている方がなだらかだ。だから、急な坂で体力を使ってしまい。なだらかな所で本当は加速すべきなんだろが失速してしまう。分かってはいるけど、なかなか上手くいかない。逆に結城はなだらかになると加速するので、抜かれてしまう。
そして、俺は坂が得意なので、結城を抜きかえす。その繰り返しだ。俺は坂が緩やかになると足を緩めてしまう癖があるが結城と走るとそれが出来ない。もしかして、お互いの弱いところを埋め合わるいいコンビなのかもしれない。
一杯清水で70分、このペースなら80分を切れそうだ。後2キロだ。ここら辺からラストスパートするか、カルタの歌にもなっている用水が流れ出る所のカーブから全力全開だ。勾配が少し緩やかなので、ハイペースで踏む、九十九折りはダンシングだ。ラスト500メートルのストレートは力を振り絞って加速する。パワーは300W、心拍数は180を超えた。
観光案内所駐車場に入ったところでサイコンのラップは78分で80分を切った。
結城は少し遅れたがほぼ同タイムだ。二人とも、息を切らしてハンドルにひれ伏して、息を落ち着かせる。
「くそ、最後の加速はなんだよ⁈追ていけなかったぞ」
「全力全開だったからな」
「しかし、あんだけのパワーを残していたのか⁈次は負けないぞ」
「でも、ベストタイムが出たんじゃないか?」
「おお、確かに、80分は切れたし」
「楽しかったよ」
「だな」
「さて、先生たちを出迎えるか」
俺たちは歩道脇に自転車を停めて、先生たちを待った。十数分後に凛の姿が見えてきた。先生は後ろだ。凛はかなり頑張っているようだけど、先生は余裕そうだ。
「お疲れ様!」
先生と凛が駐車場に入りゴールした。俺と結城も自転車を押して、先生たちのところに行く。
「凛、大丈夫だったか?」
「ハイ、だ、大丈夫ですわ」
「先生、タイムはどうでした?」
「惜しい!あと少しで100分切れたよ。でも、女子ではかなり速いんじゃないかな?この調子だと、カテゴリーで入賞を狙えるかも」
「凛、頑張ったな」
俺は凛の肩をぽんと叩いた。
「凛ちゃんの勝ちだから、あとでご褒美をあげてね」
「先生、本当は凛が勝てるわけないでしょ」
「ハハ、次は本気出すから、高梨、覚悟してな」
「だから先生、揶揄わないでください!」
「わたくしは、先生に負けないぐらいになりたいですわ」
「凛、もしそうなら、表彰台だよ!」
「凛ちゃん、楽しみにしているぞ!さて、少し休んだら姫百合駐車場に下りて、唯ちゃんとゆかりちゃんと合流しましょう」
少しだけ休んで写真とか撮った。もちろん凛とツーショットで、まあ、先生とも撮ったけど相変わらず近い、大丈夫なんだろうか?
下山のために薄手のウィンドブレーカーを羽織って、姫百合駐車場まで下った。駐車場にはゆかりと唯が待っていた。
「お待ちどうさま。まった?」
「ううん、少しだよ。唯ちゃんに負けちゃった。後でご褒美あげてね」
「なんだ高梨、彼女のキスは良いとして、幼馴染にチューするのか?」
「あなた?何それ⁈」
「それは結城が勝手に言った事だから」
「えっ!お兄さん、キスしてくれないんですか?」
凛は呆れているようだ。
「えと…」
「唯ちゃん、頑張ったんだよ。可哀想だから、先輩、特別にいいでしょう?」
「し、仕方ないですわ、いいですわ」
「凛ちゃん、私もいいかな?」
「先生はダメですわ!」
「ハハ、冗談だよ!凛ちゃんは可愛いな。さて、まだ、早いけど、皆んなお腹空いただろう?焼き肉でも食べていくか」
「先生の奢りですか?」
「うむ、そうだ、と言いたいところだが、チームの活動費から出すから安心してくれたまえ!」
俺たちは鳥居を左に曲がって、すぐの所の食堂に行った。焼き肉と言ってもホルモン焼きがメインのお店で地元では結構な人気店だ。到着したのは、開店前だったが外で並んでいる人がいた。開店して、すぐに席に座ることができた。テーブルは隣りだけど二つに分かれた。テーブルは先生が今日の勝ち組と負け組という事で分けた。
俺の正面には凛と唯が並んで座った。先生は全員に確認して、皆んなホルモン定食で注文した。
「凛はホルモンとか大丈夫なのか?」
「ええ、あまり食べた事はないですけれど、大丈夫ですわ。唯さんはどうかしら?」
「私も大丈夫ですよ。それにしても、変なことになって、ごめんなさい。私、遠慮しますから」
「ダメだよ!唯ちゃん、ちゃんと兄ちゃんから、ご褒美をもらわなくちゃ!先輩もいいって言ってくれたし」
「わかったから、ほっぺでいいよな」
「ええ、私はそれでいいです」
唯は恥ずかしそうだけど、嬉しくもありそうだ。
「にいちゃん、せっかくだから、口にすればいいのに」
「ゆかり、それはさすがにまずいだろう」
「えー、キスぐらい、幼馴染なんだし、いいんじゃない?だって、いつも私と…」
ゆかりは自分の失言に気がついて、両手で自分の口を塞いで顔を赤くしている。
「あっ、もうお料理が来たよ♪食べよ、食べよ」
凛は不信そうな目でゆかりを見ていたが、優しそうに微笑んだ。
「可愛い妹さんですわね。私は妹がいないから、ちょと羨ましいですわ」
「先輩、私のことは妹だと思ってください、兄ともども末長く、よろしくお願いします」
「えーと、では、チームの勝利を願って、乾杯!」
その後、皆んなでワイワイしながら食事をして解散した。俺は唯とゆかりとサイクリングロードを走って、途中、唯と分かれた。唯が別れ際に何かいいたそうだった。キスの事かもしれないけど、ゆかりも何も合わなかったので、やっぱり、冗談ですんだと思ったが、家に帰ってから、リビングでアニメを見ながらくつろいでいると、隣り座っているゆかりが。
「あっ!にいちゃん、唯ちゃんにキスするの忘れたでしょ」
「えっ?あれ冗談じゃなかったのか?」
「でも、唯ちゃん期待していたよ」
「そうかな?でも、唯は好きなやつがいるんだろ?」
「にいちゃん?私はにいちゃんが好きだからキスしているんだよ、唯ちゃんもにいちゃんの事を好きだし、おんなじだよ。それともにいちゃんは唯ちゃんが嫌いなの?」
「そんな事はないよ。唯は家族じゃないけど、おまえと同じように思っているし」
「だよね、だったらなんの問題もないでしょ。あっ、アニメ終わったよ。ちょっとテレビやめて、抱っこして」
俺はテレビを消してた。ゆかりは俺の正面にから抱きついてきた。軽いけど、ちょっと重いかな?




