表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

24/55

ゴールデンウィーク 渋峠

 渋峠は群馬県と長野県の県境にある峠で前橋からだと温泉で有名な草津温泉から白根山を越えた所にある。国道では標高最高地点で標高は2,172mだ。俺は自動車に乗せてもらっていったことがある。冬の間は閉鎖されていて、四月末に通行止めが解除される。ゴールデンウィークはまだ雪が残っていて、雪の回廊がある。以前はヒルクライム大会も開催されていたが、火山の噴火があってから開催されていない。

 

 5月3日の火曜日、俺は夜明け前に家を出た。凛のアパートにはちょうど日の出の時間に到着した。凛の部屋のチャイムを鳴らすと凛はすぐにドア開けて、自転車と一緒に出て来た。

「おはよう、今日はいっぱい走るけど大丈夫かな?」

「おはよう御座います。覚悟は出来ていますわ。優しくしてくださるかしら」

「じゃあ、早速、スタートするか」

凛は部屋の鍵を閉めて、自転車に股がった。


 大学病院の前を通り過ぎて利根川の橋の手前の信号で反対車線の歩道に入る。歩行者と自転車用の橋を渡って、河川敷に降りて利根川のサイクリングロードを北上した。サイクリングロードは20から25キロぐらいのペースで走った。時々、凛に声をかけて、問題いないか確認した。まだ、走り始めたばかりだし、平坦なので問題はないだろう。

 サイクリングロードは渋川の大正橋で終わりなので、国道18号線を走る。交通量はまだ少ないがバイパスなので自動車が速くて怖いので、すぐに国道291号線に入る。自動車は大体、バイパスを走るのでこちらを走る車は少なかった。

 吾妻川に架かる橋を渡って、左に曲がって少し走り国道353号線に入る。ここからは少しアップダウンがあるので、登り坂はパワーメーターを参考に凛のペースを気にしながら走った。坂と言っても赤城を登れる凛にとってはほぼ平坦で問題無いだろう。


 走り始めて一時間を過ぎた所に小さな道の駅があったので休憩することにした。

「調子はどう?」

「ええ、ちょうどいいペースですわ」

「俺はトイレにいってくるけど」

「わたくしも行きますが自転車から目を離したくないので、お先にどうぞ」

俺は先にトイレに行く、凛の自転車は高価だから目を離すのは危険だ。交代で行くのがベストだろう。トイレを済ませて、少しだけ話をした。

「ワクワクしますわね」

「そうだね、自動車ではいったことがあるけど、自転車で自分の力で登ると思うとワクワクするな」

凛の目が点になっている。あれ、回答が間違っていた?

「そ、そうですわね」


俺たちはまた、走り始めた。時々、坂もあるが平坦が続いている。そう言えば今日は温泉に泊まる予定だ。荷物は最小限にしたかったので、帰りは輪行の可能性があるので着替えはズボンと下着、靴下だけだ。浴衣やタオルは凛がリゾートマンションにあるから必要ないとの事だ。あと上は寒いらしいので今日は長袖のジャージ、ビブタイツとにした。それと、いつも携帯している下山用のウインドブレーカーも持った。

 そうか、今晩、俺は凛と寝るのか、走りながら考えることじゃないけど、初めての事だし、忘れられない思い出になるのだろう。期待もあるけど不安なところもある。お互い初めてだし、上手くいかない可能性もある。しかし、今は走ることを楽しもう。


 中之条の町を過ぎて、道は平坦だったが少しずつ山が険しくなってきて、両脇の山が迫ってきた。吾妻峡は八ッ場ダムが出来てから通過できなくなったそうだ。その代わりに道路が作られた。道はダムの高さ分登る必要がある。吾妻峡の手前からやや勾配がきつくなる。その先には長いトンネルがあり、自転車は歩道を通った方が安全なので、坂の手前で歩道に入る。トンネルの歩道は広くて安心して走れるがたまにゴミが捨ててあったり小石が落ちていたりするので注意が必要だ。俺と凛は薄暗いトンネルを小さなライトを頼りに走る。トンネルは途中、外に出てる所もあるが長いトンネルだった。

 トンネルを抜けるとダム湖が見えた。俺は景色が良かったので、橋の真ん中で自転車を停めた。

「景色が良いな」

「そうですわね、写真を撮りたいですわ」

俺たちは自転車から降りで景色を眺める。凛はスマホで景色を撮ってから、自撮り棒をスマホに付けた。

「記念写真を撮りますわ」

そう言って、俺の横にくっついて写真を撮りそれを確認した。

「表情が硬いですわ」

俺が笑顔を作ると凛は俺の腕にしがみついて密着してきた。胸が当たっている。

 また、それを確認して、笑いながら。

「何これ、この間抜け顔は、ちゃんとしてくださるかしら」


写真を撮って、また走りだした。すぐに道の駅があり、そこで休憩する事にした。トイレを済ませて、焼きたてのパンを買って食べた。駐車場にはここからスタートなのかロードバイクの人もちらほらいた。

「やっぱり、獲得標高を稼ぐには家から登らなくちゃな」

「でも、遠くからきている方もいるのではないかしら」

「確かに、でも、ネットの情報だけど、埼玉県から榛名登って、渋峠に行った人がいるそうだよ」

「それは凄いですわ」

「それも女性なんだ」

「まねはしたくないですわ」

「まあ、草津温泉から登る人が多いようだけど」


 休憩して、また走る。気がつくとみちが広くなって、橋を渡って川の反対側を走っていた。高速道路みたいだ。平坦だし快適に走る事ができた。

 やがて、また、川の反対側に渡る橋を渡ると大津の交差点があった。ここから本格的なヒルクライムになる。いきなり勾配がきつくなった。凛は少しきつそうなので、パワーメーターを参考に凛のペースで登る。距離は10キロぐらい、ずっと登りで足を休める所がなかった。後半は10%ぐらいのところあってかなりきつい。ロードバイクの人もいるが苦戦しているようだ。これでは足に自信がない人は避けるだろう。知らないで登ると渋峠にはたどり着けないかもしれない。でも、俺たち自動車がないので仕方ないし、やっぱり家から登ってみたい。

 それにしても、凛はよくついてくる。さすが登坂だ。


 赤城を登るペースで登れは一時間はかからないだろう。しかし、今日はタイムは関係ないし、とにかく凛のことをキワにしてのぼった。事前に凛が赤城を登った時のサイコンのデータを参考に俺との体重差を考慮して、俺がどのくらいのペースで登れば凛がついて来れるか予想しておいた。坂を登り切った所にある道の駅に入った。自転車を停めて、凛の様子を伺う。

「どうかな」

「いいペースで問題無いですわ」

「これからが本番だから少しここで休んで行こう」

 時間的には予定より少し遅れているが、このペースならお昼までには、渋峠に着きそうだ。後半に備えて、補給食を食べて、15分ぐらい休んだ。


 道の駅を出て、草津温泉のまでは下りだ。丁字路前のコンビニやスキー場の駐車場にはロードバイクの人が結構いた。やはり、ここから登る人が多いのだろう。スキー場のレストハウスを過ぎた所から、また本格的なヒルクライムになる。とにかく、今日はサイクリングなんだと踏みたい気持ちを押し殺して登る。おじさんに抜かれて、俺の方が速いと思ったけど、悔しいが今日は我慢だ。それでも俺たちに抜かれる人もいるので遅い訳じゃない。


 だんだんと木が少なくなってきた。ロープウェイ乗り場を過ぎると硫黄の匂いが強くなって、金網のフェンスの向こうは草も生えなくて、周りが黄色くなっている穴からは煙が出ている。若干、息苦い。

 

 木がないし険しい山肌で崖沿いの道なので絶景が続く。勾配は大津から道の駅までの坂よりは楽だと思った。しばらくすると草も生えていない山が見えてきた。地球上ではなく、行ったことはないが、まるで火星のような絶景が見えてきた。周りがやはり開けてきて高原みたいな感じで真ん中に駐車場がある。少し平坦なので足を休める。そこを過ぎるとまた坂が急になる。途中、前に俺たちを抜いたおじさんが自転車を押している。足が終わってしまったのだろうか?

「大丈夫ですか?」

「はは、大丈夫だ」

俺たちはおじさんを追い越した。親父より年配な感じがした。見晴らしの良さそうな駐車場があったのでそこに入る。


「いい眺めだな、草津温泉があんなに下に見えるぞ」

「結構、登りましたわね」

「凛は大丈夫か?」

「少し疲れましたが、ここまでくれば行くしか無いですわ」

少しだけ休んで走り始めた。勾配は緩やかになったが心拍数と比較するとパワーが出ていない気がする。空気が薄いのだろうか、残雪も増えてきた。少しすると白根山が見えてきた。以前は火口の湯釜を見ることができて、駐車場があるが今は噴火の影響で止まることも許されないし、警備の人もいる。一休みしたい所だが通過するしかない。

 

 万座温泉に向かう道がある所までは下りだったがまた登りになる。その坂を越えると開けた所になる。道は山の稜線にあって、ここも絶景で下りはジェットコースターみたいでちょっと怖い、残雪でスキーをしている人もいる。稜線上の道を過ぎるとまた坂になった。ここを登り切れば目的地の渋峠だ。右カーブを過ぎたら雪の回廊が見えてきた。オートバイ、や自転車が止まっている。自動車の人は少し上の駐車場に車を停めて歩いている。雪回廊のところで自転車を停めて写真を撮った。

 そして少し登ると国道最高地点の碑が見えてきた。広くは無い駐車場に車やオートバイが沢山停まっていて景色を眺めたり国道最高地点の碑の前で記念写真を撮ったりしている。

 

 やっと憧れの場所にたどり着いた。なんだか感動して涙が出そうだ。凛はほっとした顔をしている。俺たちは自転車を停めて、景色を眺める。

「お疲れ様、2000メートル登ったぞ」

「ええ、あなたのおかげでここまでこれましたわ」

「大丈夫か?疲れて無いか?」

「さすがに限界が近いですわ」

「記念写真を撮ろう」

俺と凛は国道最高地点の碑の前で写真を撮ることにした。自転車を押して同じように記念写真を撮る人の列に並んだ。俺たちの番になった時に後ろに並んでいた人が「撮りましょうか?」と言ってくれたので撮影をお願いした。

 国道最高地点の碑の前に言って自転車と一緒に撮ってもらう。一枚撮った後に

「はい、じゃあもっとくっついて、ハイ、笑って」

  俺と凛は照れながらも写真を撮ってもらった。写真を撮ってくれた人はロードバイクで一人だったみたいだってので、お返しに写真を撮ってあげた。


 記念写真を撮った後に群馬県と長野県にまたがって建っているホテルで昼食を食べることにした。長野県側のスキー場は、まだ営業中でスキーに来ている人が結構いた。自転車も立て掛ける所がないくらい停まっていた。俺たちはお互いの自転車をワイヤーでロックした。周りは高級そうなロードバイクがたくさんあるので盗難の可能性は低いだろう。


 ホテルの入り口にゴールデンリトリバーがいた。「じゃれます。注意」と看板があったが大人しくしていた。結構、お年な感じがした。凛はその犬に気がつくと、ニコニコして。

「あら、可愛い」

と言って、足を止めて手を出した。犬はむっくり体を起こして、尻尾を振って、凛の手をペロペロ舐めた。

「そう言えば、犬好きだったな」

「ええ、サイクリングロードで吠えられるのはちょっと嫌だけど」

「まあ、犬は天敵だからな」


俺と凛は食券を買って、空いていた席に座って注文した物が来るのを待った。お腹が空いていたので二人ともカツカレーを注文した。待っている間に凛がセルフサービスの水を持ってきてくれた。

 番号を呼ばれてカツカレーを取りに行って、それをテーブルに持って行って食べ始めた。

「お腹が空いていたせいかも知れないが美味しいな」

「そうですわね、焼きたてのパンも気になりますが、今はしっかり食べたいですわ」


 体力を使った後のカツカレーは美味しく、空腹を満たしてくれた。食べ終わって、しばらくは動きたくなかった。凛はスマホをいじっていた。俺もスマホを確認した。妹からLINEが入っている。確認すると唯と一緒にヒルクライムをしたようだ添付写真は姫百合駐車場だ。俺はそれを凛に見せた。

「妹たちもヒルクライムしたみたいだ」

「あの子たちも頑張りますわね。わたくしにも入ってますわ」

凛はスマホの画面を俺に見せた。「先輩、兄と仲良くしてますか?」と書き込んであった。

「お返事しませんといけませんわ」

凛はスマホを操作した。

「なんて返事したんだ?」

スマホを見せてもらうとさっき撮ってもらったツーショット写真だ。反応が気になる。すぐに返事が返ってきた。

「兄をよろしくお願いします。ですって、いい妹さんですわね」

「確かにそうなんだけど何を考えているのか分からないところがあるけどな」


 長めに休憩をして、草津温泉に向かって、きた道をもどる。途中には登り坂もあるが基本的には下りだ。白根山は木が少ないし、崖沿いの道もあって絶景だけと自転車で下るのは怖かった。高所恐怖症の人は無理だろう。赤城だと木が多いし谷間を走るので景色は良くない。でも、夏場は日陰になるので走りやすい。

 兎に角、下りは安全第一で下山して、スキー場と湯畑の間にあるリゾートマンションに着いた。マンションと言ってもホテルみたいな感じだ。凛は受け付けで鍵をもらってきた。

 自転車は汚れて無ければ持ち込んでも良いそうだ。俺と凛は自転車を押して部屋に向かう。エレベーターで3階まで上がったところに部屋があった。凛がドアを開けた。


「どうぞお入り下さい」

「ああ、お邪魔します。自転車はどこに置こうか」

「そうですわね、廊下でもいいですが少し邪魔ですわね。スタンドがあればリビングでも良いですが、ベランダにしましょうか」

廊下からリビング、リビングからベランダに出て自転車を置いた。ベランダからは同じようなリゾートマンションやホテルが見える。

 リビングに戻って、この後のことを話しあう。

「まだ、三時前ですけれどどうしましょうか?」

「とりあえず、温泉かな?」

「ですわね。汗を流したいですし。温泉は大浴場がありますわ。準備をしていきましましょう」

着替えてと タオルは備え付けのを借りて、それを持って大浴場に向かう。大浴場の前には休憩室があった。

「お風呂を上がったら、ここで待ち合わせしましょう。予約すれば家族風呂も入れますが、一緒に入るのは、またにしましょう」

凛はいたずらっぽく言った。

「ああ、いつかは入りたいな」


大浴場はホテル並みに広かった。時間なのか誰も入浴していなかった。今晩に備えて入念に体を洗ってから温泉に浸かる。流石に2000アップしたので温泉は気持ちいい、疲れが抜けていく気がする。

 それにしても、今晩は凛と二人で過ごすのか、どうすれば良い色々考えたが、やっぱりよくわからないので、当たって砕けろかな?玉砕はしたくないけど、まあ、初めてだし、上手くいかないかも、体験はしたいけど万が一、出来てしまうのは問題だし、一応、お守りは持ってきたけど、期待と不安がぐるぐる頭のなかを駆け巡る。

 そんな感じで俺としては長めに入浴したが待ち合わせ場所の休憩所には凛はまだいなかった。自販機があったのでエナジードリンクを買って飲みながら待つことにした。椅子に座ってドリンクを飲み終わってからしばらくして凛が出てきた。

「お待ちどうさま」

「いい湯だったよ」

「これからどうしようかしら、まだ夜には早いので散歩でもしましょうか」

「いいね、湯畑にでもいってみるか」

「では、タオルと着替えた服を部屋に置いてから行きましょう」


俺と凛は手を繋いで湯畑の方に降りていく、部屋にあったサンダルを履いてるので歩きにくかった。

 湯畑に着くと、連休なので観光客で賑わっている。湯畑の終わりは滝があって、写真を撮っている人が沢山いた。俺と凛は近くにいた人に写真撮影を頼んでツーショット写真を撮ってもらった。

 足湯もあったが、人が多いし、温泉に入ったばかりなので入らなかった。

 温泉街を歩いているとひたすら饅頭を配る店員さんがいた。俺と凛も温泉饅頭を受け取った。お茶も誘われたが丁寧にお断りした。

「作りたては美味しいな」

「そうですわね、いつもいただくのでたまにお土産に買って帰ることがありますわ」

「家もそんな感じだな、家の場合は泊まったことはあまりないくて日帰りがほとんどだけど」

「わたくしは以前はよく来ましたが、最近は両親が忙しくて、ここは一年ぶりくらいかしら」

「俺も久しぶりだな、車の免許を取ったらドライブで来たいな」

「その時は、わたくしを隣に乗せてくださるかしら」

「もちろん、あと二年ぐらい先だけどな」

「楽しみですわ」


俺と凛は西の河原を散歩した。凛は小川に手を入れた。

「温かいですわ」

「しかし、何度見てもすごいなこれ全部、温泉なんだぜ」

「そうですわね、小さい時に来た時にここで入浴していたお年寄りがいましたわ」

「本当かよ⁈確かに温泉だけど、ここではまずいな」

「でも、人目が無ければ露天風呂も良いですわね、いつか、あなたと入りたいですわ」

「混浴か、そういえば尻焼き温泉って知っている?」

「ええ、知ってますわ、ここから近いし、川全体が温泉になっているのでしょう」

「確か、そこは混浴だった。帰りに寄るか?」

「あなたは混浴が好きなのかしら」

「混浴は漢のロマンだし」

「エッチですわね」

「まあ確かに」

「考えておきますわ」

 混浴か、確かに漢のロマンかも知れないけれど、よく考えると最近、妹と混浴したか、それについては話さない方がいいか。


 温泉街をぶらぶらして、夕方になった。まだ明るいし、夕食には早い気がしたがお腹が空いてきたので、食事をとる事にした。湯畑の周りで適当な食堂を見つけて、そこに入って郷土料理風のなんとか御前と言うのを注文した。

「こんなふうに二人で歩くのは久しぶりだな」

「そうですわね、中学生の時にコミパに行った時以来ですわ」

「まあ、俺たちは自転車以外はインドア派だからな」

「でも、楽しいですわ。とっても幸せな感じですわ」

「そうだな、また来たいな」


料理が届いて、それを食べた。結構、ボリュームがあって、満腹になった。

「うう!食べた食べた。満腹で寝てしまいそうだ」

「ダメ、まだ寝るのには早いですわ。いっぱいお話ししたいし、そうですわ、明日の朝食を買わなくてはいけないし、コンビニに寄っていきましょう」

「でも、もう少しここで休みたい」

「では、お茶をもう一杯いただいたら、行きましょうか」


お店で少し休んでから、コンビニに行った。凛は明日の朝用のパンとお菓子をカゴに入れた後にしれっと0.02書いてあると銀色の小箱をカゴに入れた。会計を済ませて外に出た。凛の顔が赤いし、汗もかいている。

「ああ、ドキドキしましたわ。でも、必要でしょう?」

「確かに」

凛は俺の手をぎゅっと握っている。

「今日はドキドキの連続ですわ。白根からの下りも怖かったし、もう心拍数が上がりっぱなしですわ。でも、あなたは割と平然としてますわね」

「そんな事はないさ」

俺は一旦、繋いだ手を離して、ぎゅっと凛の肩を抱き寄せた。

「もう、また心拍数が上がりましたわ」


 確かにいつもはクールな凛だけど今日はいつもと違っている。俺たちは薄暗くなってきた道を歩いてリゾートマンションに戻った。二人でゆっくりする前にもう一度、温泉に入ることにした。「わたくしの方が時間かかるから」と言って、鍵を預かった。

 大浴場には他の人が数人いた。さっき体を洗ったけどもう一度、洗い直して温泉に浸かった。

 浴衣に着替えて部屋に帰り、自分が用意したお守りを装着して練習してみた。好奇心から前に試した事はあったが意外とコツがいるのと注意点がある。

 練習をして、それをティッシュに包んでゴミ箱に捨てた。コンビニで買ったエナジードリンクとお菓子をテーブルに並べて、ほっとしていると凛も浴衣を着て帰ってきた。色っぽい。

「ただいま、いい湯でしたわね。始めますか?」

「いや、まだ、早いんじゃないかな?凛ちゃん、焦ってない?」

凛ははにかんで、顔を赤くしている。俺の隣りに座り。

「だって、後悔したくないので早く済ませてスッキリしたいですわ」

「可愛いな。よしよし」

 俺は凛の頭を撫でてた。

長文になってしまった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ