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十六話 チームミーティング1

登坂と仲直りした次の日、登校すると、いつもはクールな登坂がニコニコしている。挨拶すると、結城が。

「おはっす。お前たち、なんかあっただろう」

「えっ?そうかなあ」

としらばっくれてみた。

「嘘つけ、二人とも、にやけて、スッキリした感じだし、もしかして、付き合い始めたとか」

周りのクラスメイトたちの視線を感じて、冷や汗が出来た。登坂は立ち上がって。

「わたくしたち、以前から付き合ってましたのよ。同じクラスで同じ自転車チームになって、前より仲良くなっただけですわ」

登坂の発言に教室内がざわついた。

「マジかよ、おまえたち、なんかあるとは思っていたけど」

「まあ、隠してた訳ではないけど、中学から付き合っているのは事実だ」

結城は、はたと気がついたように、ニタリ顔で俺の耳元でヒソヒソと。

「童貞卒業、おめでとう」

俺は慌てて、

「そんな事、してないから」

登坂にも聞こえたようで、顔を真っ赤にしている。

 しかし、ずっと付き合っていた男女が急にスッキリして、幸せそうにしていれば、そう思われても仕方ないかもしれない。変に否定しても泥沼になりそうなので、話題をずらして、その場はごまかした。しかし、これは噂になるだろうな。


 昼休み、購買でパンを買って席で食べようとしたら、登坂が。

「一緒に食べましょう」

と言ってきた。今までも席は前後だし一緒に食べいるような気もするが、仲の良い友達とかは、机を向かい合わせたりしているので、そうしろと言う事なのだろう。俺は周りの目が気になったが、折角のお誘いなので、机を180度回転して、登坂の机とドッキング、椅子に座って。

「頂きます」

「あれ?登坂、食べずに待っていたの?」

登坂は嬉しそうに弁当を食べ始めた。

「高梨君はいつもパンかおにぎりですのね」

「ああ、うちは夜も店やってるから、母さんは起きるのが遅くて、朝飯だけは作ってくれるけど、そこまでの余裕はなくて、妹は自分の分は作る事もあるけど、朝はジョギング、俺もローラーでトレーニングだし」

「そうなの、もし良かったら、わたくしが高梨君の分も作りましょうか?」

「いや、嬉しいけど、それはちょと悪いかな」

「では、作り過ぎて余った分だけ持ってきますわ」

イチャイチャして、食べていると、スマホに着信があった。近藤先生から放課後、部室に機材運ぶから手伝って、との事だ。


 放課後、部室に行くと、近くに近藤輪業のライトバンが止まっていて、そこに先生と近藤輪業の店員さんがいた。

「高梨君、早速で悪いけど、ここのダンボール箱を下ろしのを手伝って」

店員さんと二人で大きなダンボール箱を下ろしいた。荷物は他にも、ロードバイクが二台と幾つか箱があった。荷物を下ろし終わると、店員さんは「あとはお願いします」と言って、ライトバンで行ってしまった。

 先生と二人で台車とか使って、荷物を部室に運んだ。

「先生、これは?自転車もあるけど」

先生は箱を開けて、

「ああ、これはな、固定ローラーだ。FTP測定やトレーニングの指導に使おうと思って、うちの倉庫からかき集めてきた。皆んな中古だけど使えるはずだ」

FTPとは一時間ギリギリ踏めるパワーで単位はワットだ。体重も関係あるけどプロレベルだと300W以上、そこそこトレーニングしている人だと200Wぐらいらしい。俺は測定した事が無いので、いつか測定したいと思っていた。

 先生の指示に従って、ローラー台に年代物のロードバイクを設置して、段ボールとかを片付けた。


「手伝ってくれて、ありがとう、高梨君と共同作業ができて、よかったよ。ところで昨日は登坂さんと仲良くなれたかな?」

「先生の仕業だったんですね、まあ、おかげさまで仲直りでましたが」

「それは良かった。君たち何となくギクシャクしていたから、喧嘩でもしているのかな、と思ってな。共同作業でもすれば改善するかなと」

「本当にありがとうございました」

「で、今日は私と共同作業、だから、私も高梨君ともっと仲良くなりたいとか、いかん、いかん、私は教師だった」

相変わらず何を考えているのかわからない先生だ。


 家に帰ると、また、妹が寄ってきて。

「クンクンクン、大人の女の匂いがする」

「またかよ、LINEで先生の手伝いするから、遅くなるって言っただろ」

「えへへ、でも、先生と二人っきりだったんでしょ。昨日は登坂先輩と今日は美人教師と、にいちゃんは見境ないんだから、家で一人寂しく待っている私の事も忘れないでね」

「バカ言ったんじゃない」

と、優しくデコピンすると、妹はイタズラっぽく、あかんべして。

「にいちゃんの馬鹿」

だと。


 いつもように、夕食後、二人で録画したアニメを見ていたら、エッチなシーンになった。こんなシーンを可愛い妹と二人っきりで見るのは気まずいので、平然を装っていると、しれっと。

「にいちゃん、登坂先輩とやったの?噂さになってたよ」

「えっ?もう一年生まで広まっているのか?」

「ふっふっふう、私の情報網を舐めてないでほしいな。で、ど、童貞卒業したの」

「してないよ!」

「まあ、そうだと思ったけど」

「で、でも、いつかはしてみたいの?」

「それは、まあ、俺も健康な男子だし、考えない訳では無いけど、そう言うおまえはどうなんだよ」

ゆかりは顔を真っ赤にして。

「ばっかじゃない!普通、女の子にそう言う事、聞くかな!」

「すまん」

ゆかりは俺にすり寄って、耳元で囁く。

「私はまだしてないよ。だって、私、にいちゃんのなんでしょ」

俺の股間が熱くなるのを感じた。

「冗談はやめてくれ!」

ゆかりはパッと離れて。

「にいちゃん、私に反応しているの?やっぱり、にいちゃんはエッチだね」


 水曜日、今日は初めてのチームミーティングの日だ。放課後、俺と登坂、結城の三人で部室に行くと、すでに唯と妹、先生がいて、折り畳みの椅子に座っている。

「これで全員、揃ったな。始めるから君たちも座ってくれたまえ」

先生はホワイトボードに今後の活動計画みたいのを書いて。

「やるからには、勝ちたい!勝ためには男子のタイム短縮、女子は完走を目的とする。まずは、現実の確認からスタートしたいので、用意した紙の質問項目を記載してくれ」

先生はメンバーに紙を渡した。紙には。


 身長、体重、赤城山ヒルクライムのベストタイム、一週間のトレーニング内容(方法、消費カロリー、時間など)、トレーニングログ記録の有無、使用しているサイクルコンピュータの機種、センサー、FTP、固定ローラーの有無


 記入できない項目もあったが、分かる項目だけ記入した。それを先生に提出した。先生はそれに目を通して。

「うむ、皆んなFTP測定はしていないのだな、登坂さんは赤城のタイムは?」


「わたくしはフィットネスが目的でしたので、登った事はありますが測った事はありませんですわ」


「そうか、登坂のバイクにはパワーメーターがついているので、早めに測定すること」

「わかりましたわ」


「次は高梨妹、間違えやすいから、ゆかりちゃんでいいかな?」

「はい」

「ゆかりちゃんは、ほぼ毎日、ジョギングしているのね。心拍能力向上には有効ですが、まだ、ロードバイクに慣れてない所もあるから、サイクリングロードを中心に走り込んでね、お兄さんは面倒見てね」

「はい」

「それで、お兄ちゃんは、基本はローラーで実走は赤城と妹たちとサイクリングか。取り敢えずやる事はFTP測定かな?」

「わかりました」


「次は、中倉さん、実走中心で平日はサイクリングロード、休日はヒルクライム、頑張ってますね」

「ありがとうございます」

「で、高梨君が指導しているのか、ちゃんとやっているようだが、くれぐれも間違った事はしないように」

「大丈夫です。にいちゃんは私がちゃんと監視しているから大丈夫です」


「最後は、結城君、君はサッカー部があるから実走は週一、センサーはスピードとタイムだけ、実力は高梨君と同じくらいみたいだけど、走りを見た事がないから、確認しておきたい。うーん、

今週の土曜日はどうかなぁ?」

「えーと、部活があるけど部長に相談してみます」

「では、確認してください。後はやっぱり現状把握したいからFTP測定な」

「先生、FTP測定って?」


「ああ、そうだな、見ての通り、固定ローラー台と自転車を二台、用意した。これでFTP測定ができる。FTPと言うのは一時間で出せるパワーの事なんだが、実際は20分のパワーの95%で計算する」


 そのあと、少し話しは続いた。取り敢えずは現状把握したいとの事で、結城の確認がとれたら、土曜日は先生と結城、登坂、俺の4人で赤城を登ると言う事と、固定ローラーの使い方とFTP測定方法の説明でその日のミーティングは終わった。


 翌日、部室に行くと妹と唯が先に来ていた。

「にいちゃん、早速、トレーニングしようと思ったんだけど、これ、ペダルがビンディングだよ。私たち普通の靴だけどどうしよう」

「ああ、そう言えば昨日は教えてなかったな。普通のペダルもあるから付け変えれば大丈夫だよ」

「あ、そうなんだ、でも、どんな感か見本見せてよ」

「わかった。着替えてくるから、ちょっと待ってな」


俺は更衣室でサイクルパンツ、サイクルジャージに着替えて部室に戻った。用意したサイクルシューズを履いて、ローラー台に設置した自転車に跨り、バチンとビンディングペダルにはめて、ペダルを踏み始めた。心拍計は先生が用意した腕に付けるタイプの光学式のセンサーを使用した。サイクルコンピュータを起動すると、心拍数、ケイデンス、スピード、そしてパワーが表示されているのを確認して、タイム測定のスタートボタンを押す。

「本当はサイクルコンピュータにFTP測定機能があるけど、一時間くらいかかるので簡易的にやるよ」

妹たちは真剣に説明聞いている。

「本当はしっかり、ウォーミングアップするんだけど、一番軽いギヤからスタートして、3分したら、一段、重たくする。ケイデンス、クランクの回転数は気持ちいい回転数でいい、ちなみに俺は一分間で80回転ぐらい、選手なんかだと90回転が目安なんだと、慣れないと早く回せないので最初は自分で楽だと感じるぐらいでいいと思う」

妹たちは椅子に座って、じっと俺を見つめている。少し恥ずかしい。

「見ていて楽しい?」

「ええ、お兄さん、かっこよくて」

「そうだよ。にいちゃん、エッチだけど、真面目にしているとカッコイイんだから」

「うふふ、ゆかりちゃんはお兄さんが大好きですよね。私もお兄さんみたいなお兄さんが欲しいな」

「唯ちゃん、にいちゃんのこと、唯ちゃんのにいちゃんだと思っていいよ。ね、にいちゃん」

「おっおおう」

「でも、にいちゃんはエッチだから気を付けてね」

15分して、80回転で回すのがキツくなってきた。心拍計は170、パワーは250Wだった。このペースでFTPを測定する20分は持たない、取り敢えず200Wを目指すか、と言う事は200÷0.95だから210Wを目標にするか。

「それで、きつくなったところで、ギヤを重くするのをやめて、また、ギヤを一番軽くして、五分回す」

 五分して、心拍数が安定したことを確認して、目標の210Wまで一気に上げて、210Wになったところで、ラップボタンを押す。ここからFTP測定開始だ。始めは急に上げるので辛い。妹たちが。

「頑張って!」

と応援してくれる。なんかもっと頑張れそうな気がするけど、上げ過ぎないように、サイクルコンピュータと睨めっこしながらペダルで踏む。汗がほとばしる。

 20分後、ラップボタンを押して、パワーを確認すると212Wだった。心拍数は170を超えなかったので、もう少し行けそうだ。

「ふう、疲れた。ローラーで20分、踏むのはしんどい。後は、クールダウン、最低でも10分は楽に回そう」


10分後、自転車から降りて、ペダルを普通のに取り換えて、妹たちの番だ。俺は心拍数を時々、確認しながら、ギヤを替えるタイミングを教えた。

 

それにしても、この光景はなんだ。可愛い妹たちが目の前で、汗を掻きながら、ハアハアしている。目のやり場に困る。しかも、目を逸らすと。

「にいちゃん、ちゃんと見て、応援してよ」

それは見たいけど、スポーツで頑張っている姿をいやらしい目で見てはいけないと心に言い聞かせるが、体は反応してしまう。情け無い…


挿絵(By みてみん)


測定結果はゆかりが160W、唯が170Wだった。始めての測定なので実際はもっとあるのだろう。ゆかりは鍛えているので分かるが以外に唯のパワーが高い、身長はゆかりより5センチぐらい違うが、痩せたら凄いんじゃないかな?


挿絵(By みてみん)


 始めのFTP測定はコツがあって、慣れないと適切に測れないと思った。測定が終わって、軽くシャワー浴びて、着替え、部室の片付けをして帰宅した。

作者は今日、リアルに赤城を登って来ました。

去年までのコースでタイムは91分でした。コロナ前は試走でも80分前半で登っていたのに情け無い、加齢もありベストタイム75分はもう更新出来ないので小説の登場人物に夢を託します。

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