一話 妹の友達に自転車で痩せる方法を教えてと頼まれた。
俺の名前は高梨浩之、もうすぐ高二になる。家族構成は両親と一つ年下の妹の四人、ただし、父は実の親だが母親は再婚で妹は母の連れ子だ。物心つく前に再婚したので、血の繋がりがないからどうのとかの感覚はない。家はラーメン屋をやっていて店舗は自宅に隣接している。趣味はアニメとラノベで、どちらかといえばインドア系だが、ロードバイクで山を登るのも好きだ。
週末、俺は早朝、自転車で山を登ってきた後、自宅のリビングで録画したアニメを見ていた。
2階から妹のゆかりが降りてきた。
「ねえ、にいちゃん、唯ちゃんて、覚えてる?」
「ああ、小学生の時によくおまえと遊んでた。」
「そう、唯ちゃんがね、受験とかで太っちゃて、痩せたいんだって」
妹は唯と同級生でこの春に高校生になる。
そういえばしばらく姿を見てない、
妹はドアの向こうに振り向いて。
「唯ちゃん、こっちこっち」
と手招きした。どうやら唯が遊びに来ていたようだ。恥ずかしそうに姿を現せた。
俺は久しぶりに唯の姿を見て少し驚いた。しばらく見ないうちに色々な所が大きくなっている。
身長は160cmぐらい、髪型はボブでメガネ、体型はずんぐりしてる。特にお腹が、あと太ももがムチムチ、なぜミニスカート!?ムラムラするではないか!だけどデブとまではいかないか、ぽちゃぽちゃぐらいかな、でも、これ以上はやばい感じだ。
「なにジロジロ見てんの、巨乳だからって、にいちゃん、ホントすけべなんだからか」
確かに巨乳、唯はさらに恥ずかしそうに下を向いている。そして赤面しているようだ。ちなみに妹は小柄だがスリムでスポーツ少女という感じで俺とは対象的に明るく活動的だ。実際、学校では陸上部でそこそこのレベルだったようだ。
「あの、お兄さん、やっぱり太って見えますよね?」
「ううん、まあ、痩せてはいないよね」
「やっぱりダメですね、こんなんじゃ」
なにが?と妹に視線を送ると、妹は少し考えて。
「あのね、にいちゃん、唯ちゃんは好きな先輩がいて、同じ学校に入れたら告白しようと思っているんだって。でもこのままじゃダメなんで、それで痩せたいんだって」
なんだ好きな奴がいるのか、それは少し残念、まあ、いいけど、なんか手を出すなと釘を刺された感じでなんだか。
「それでなに?」
「それでね、お願いがあるんだ。あっ唯ちゃんそこ座って。」
と俺が座っている三人掛けのソファーに腰ををおろした。妹は斜め前のソファーに腰を下ろして
「にいちゃん自転車でやせたじゃない、で唯ちゃんも自転車で痩せたいんだって、それでね、自転車でも痩せる方法を教えてあげて」
確かに俺も太っていて、自転車で赤城山を登るようになってから体重は減ったし、筋肉もついて健康的な体になった。
赤城山、俺はその麓の町に住んでいる。
「まあ、週一で赤城登れば一カ月で1キロは痩せるかな?あと注意点として、食事の量は増やさないことかな」
と、妹が何言ってんのと言う顔で。
「そうかもしれないけど、普通は簡単に登れないよ、唯ちゃん特に運動してないし」
確かに俺も初めは登れなかった。登ろうと思ってからしばらく、トレーニングした。
「だからにいちゃんの経験活かして、少しづつ教えてあげてよ」
「お兄さんおねがいします」
「え〜と、めんどくさいなあ」
「もう、にいちゃん、こんな可愛い女の子に頼まれているのに、そりゃちょと太っているけど」
「でも、好きな奴がいるんだろう?なんだかなあ」
唯と妹は顔を見合わせて。
「まあそうなんだけど、おねがい」
「うーん、まあ少し考えさせて」
「おねがいします」
と唯は立ち上がって、ペコリおじぎをした。ちょっと可愛い、でも好きな奴がいるのかぁ。
「じゃあまた後で」
と二人は部屋を出て二階の妹の部屋に戻って行った。
なんか気が乗らない。俺は基本、一人で登るのが好きだし、大体ペースが合わない。俺は週末、赤城を登る。距離は自宅から往復で60kmぐらい獲得標高は1500mぐらい、毎年9月末開催される「赤城山ヒルクライム大会」のコースタイムは80分がベストタイムだ。
「赤城山ヒルクライム大会」は俺が通う学校近くがスタートで赤城山観光案内所まで距離20.8km獲得標高1313mを自転車で登る。参加人数は約3000人、国内ではそこそこメジャーな大会だ。猛者は1時間を切って登る。
挿絵にはAIを使用しています。キャラ設定と違うところがありますがイメージと思ってください。