第六話 二人旅の始まり
可愛らしいよちよち歩きな赤ん坊に見えかねないサカエルは長年生きてるらしい。
斜め掛けのカバンに身支度をすると、帽子をかぶって嬉し気にぴょんぴょんと跳ねた。
その不思議な帽子をかぶったサカエルが「よろしくな」と愛らしい声で言ったが、
やはり目測するに年齢は不明である。
* * *
そう言えば、さくらんぼ狩り代金は
無効になって、戻ってきた。
話しかけれる前までに食べた種は、乾かして腰の小袋に保存。
なんだか旅の間、役に立つような気がする。
気休めだろうが、
桜は護りとして有名であるし、
無意識的なものなんだろう。
特にどこの思想でもないし、習慣でもない。
まぁ、一種の気まぐれだ。
旅に仲間ができて、不思議な感じだ。
「願ってくれ」と言われるから、
願われないと状態に達しないことに気づいた。
サカエルは私が願うと、
食べらる植物を魔法でそこらに出現させ、精製した。
旅人に喜ばれたのは、特に野菜と苺だ。
ここらの通りには、正直、なにもないと言うに等しい。
旅人はむっつりと黙り、行きかうに挨拶もそうそうない場所だ。
なぜかサカエルは、それをとても悲しく思っているようだった。