第三十七話 再会
チョウとの再会は素直に嬉しく、パラリーに感動している彼を見て誇らしい。
『運命の碧』を手に入れた話をしたら、不思議そうにした。
首にかけてある青い石が輝いて、「やっぱり君には運命を感じる」と言われる。
その石と私が手に入れた宝石二種類を交換したい、と言われて、交換した。
「結羽としての最初で最後の仕事に任命されたんだ」
とチョウは少し嬉しそうな悲しそうな顔をした。
「最初で最後ってどういうことだ?」
それを聴くにも、見聞録を確認して出版の準備にふさわしいかの判断役だと言う。
「普通に話してくれてかまわないから」と真剣に読んで、質問してくれるチョウ。
一時的にこの違和感を忘れそうになるほど夢中になって話をしたりした。
そして出版が決まり、『アリアスの雑記帳「メヴァンディーニ」』からすると二冊目の本が出る。
帰り際、チョウは単なる挨拶だよ、と言って、私の唇を突如奪った。
なにか吹っ切れたように驚いている私を見て笑い、「先に城で待っている」と言う。
どういうことなのかと思いながら登城し、謁見の間までのもてなしを受ける。
そして事情を聴かされた。
チョウが言っていた「いいひと」とは、王様のことらしい。
結羽として私を作家にするかわり、王の愛人になる契約をしたと言われた。
それから今後、お目見えは容易に叶わないらしい。
裏切られたのかとふとした時にでも口にしたら
彼が汚く聞こえるような気がしたから奥歯を噛むような思いをした。
それでいいのかよ、と思ってみるに、握ったこぶしは彼のために筆を取るのだ。
髪を再び長くしていたのは、王室の決まりで髪を結うためらしい。
いったん髪の毛を切ったのは、結羽になる願掛けだった。
チョウがハサミで切ったそのあと、私が髪の毛を整えるのを手伝った。
親友として。
そして「私のために髪を伸ばしてみないか」と声をかけたのが王様だったらしい。