第三十六話 それからのこと
娼館に寄って安心して眠り、気づくと娼婦が荷物をあさっていた。
パラリーを狙っているのかと思ったら、手癖の悪いのに当たったらしい。
宿代はただになった。
天空の巨人苺が、新聞の一面で発表されていた。
どうやら読んでみるに、栽培に成功したらしい。
めでたいことだ。
そのまま心の中で祝福して過ぎ去ろうとしている所、見つかる。
もてなされて、こんなにいい思いしてもいいのかなぁ、と泣きそうになる。
どうやら高額すぎて、まだ一般販売はされないらしい。
ただ献上品になるかもしれないとのこと。
味も香りも見た目もいいので、それには肯定だ。
『白い天空の巨人苺』をかけあわせ中だと言うので、楽しみにしておこう。
ここまで珍しくなってくると、王ではなく神におそなえするものかもしれない。
また古い雑誌を拾った。
推測するに、絶版になった小説の特集である。
『ポケリ・ペインター/黄緑髪のソムリエル』・・・なんてレア情報なんだろう。
これは売らずにいようかな、と思う。
[ 豆知識:黄緑髪のソムリエル ]
アバピの女王に認められ王城で結婚式をあげた元僧侶兵のイトコ作家、ポケリ著。
ソムリエルと言うのは、その元僧侶兵の奥さんの旧姓だ。
(結婚後、籍を入れても彼女は「ソムリエル」で仕事をしていたそうだ)
色素が珍しく、天然の黄緑色だと言う。
ソムリエル家は酒屋として有名で、実家が酒屋をしている私の心をくすぐる情報だ。
結婚式の様子はDVDとして収録されたらしいが、手に入りそうにない。




