第三十五話 帰路
■花園を少しの間拝見させてもらえて、珍しい蝶などの愛らしい出会いに感動。
帰路への船を待っていると背中に違和感があり、城の従者たちが悲鳴をあげた。
なんだろう、と思うとパラリーが一匹私の背中に停まっていた。
冗談半分でもらっていいのか聞いたら、パラリーのことを知らない従者たちが
怖いので是非と言って、パラリーを一匹手に入れた。
これはだいぶ得をしたな、と思っていたが、額の角が「奇特なやつだ」と言った。
まさかな、と思ったが、船で移動してる最中、事切れた。
「姫を愛してくれてありがとう、それから帰路について案内人をつけるな」と
言わば虫の報せがあった。
帰路に案内人が用意されています、と言われて帰路途中。
そして案内人を名乗るその男があまりにも虫の報せによりあやしいので断った。
すると舌打ちをして戦闘開始。
身のこなしから相手は忍者、命の危機を感じたので、頭突きをした。
角に刺さって、とても嫌な想いをした。
相手になぜ襲ってきたのか事情を聴けなかったので、なんだか帰路は不安。
涼しい風が吹いている所で、路中助かった。
案内人もいないので、気ままに寄り道をすることにした。
事切れたパラリーは標本になった。
ケースに入れて、荷物として運び、おそらく献上される。
パラリーの件で、「献上の品の謎の虫を輸送中」だと言うと逃げていく山賊。
パラリーは山賊の間では、忌み嫌われるというのはどうやら本当らしい。
こちらもこちらで本当にパラリーの標本輸送中なので、奇特な虫に感謝している。
島の管理人がパラリーが一匹いなくなったことに気づくかどうか分からない。
持ち帰っていいか聞いたら、生きているのも標本もダメだとエルフが言っていた。
背中に停まって事切れたパラリーについて、
もしかしたらこの本が出版されてから気づくのかもしれない。
正当な手続きを取っておくべきだったかな、と今更もやもやしてきた。
帰路、「あなたの子供です」と女子たちに何度か言われたが、明らかに違う。
それから茶屋によると、「カブトムシ型マウスを知っているか」と言われて呆れ笑い。
適当に「茶色らしいね」と言っておいた。
土産に色々と買って、助成金をけっこうな量使ったかな、と思う。
方々の福祉支援を願ったこともあって、桁が少し違う。
この記述にその値段は明確に記せない。
一部、横領されたと言ううわさを聞いて憤るが専門分野ではない。
案内人を付けなくてよかったと思う。