※御三家の異能解説
ただの堅苦しい解説です。全然読まなくてもOKなやつです。むしろ多少のネタバレと感じる人もいるかもしれませんので。
ただ最初の「領域構築」「術式干渉」だけ読んでもらえるとこの先分かりやすいかもです。
・「領域構築」……ある技術に対抗して作られた。マナ標準(異能で定める狙い)を物体や一部分ではなく一帯(主に広範囲)に空間レベルで構築し、異能技の必中領域・空間スペースを作る。ただし物理的防御は不可能ではない。例、統也の『律』。杏子の「氷縛の檻」。
・「術式干渉」……ある技術に対抗して作られた。術式自体を阻害したり、乱したり、破壊・無効化したりするような技術で、一般世界でのレーダー波妨害・ジャミングに似ている。必ずしも効果が保証されるとは限らない場合もあり、多義でこれに属するものもあるのでかなりアバウトな技術区分。例、反蝶式。統也の「虚空」「解」。ネメの『逆術式』なども一応該当。
~御三家異能「三種の神器」~
……空間・エネルギー・光を原則として扱う最上級の高等異能。全ては「異能体」という特殊なマナ次元の構築情報体で顕現する。「異能体」は通俗的に「檻」「衣」「糸」と、それぞれの異能と同じ名称で呼ばれる。
また「異能遺伝配色性」という症状から、異能体の配色は異能者個人によって異なるという性質があるため、同一族間でも色は千差万別。
例)名瀬統也「蒼」、伏見玲奈「橙」、三宮拓海「白」。
◇名瀬――『檻』―――――――――
……空間を制御できる異能。三次元に干渉する能力を拡張して時空間をも支配する。俗的に、『檻』に閉じ込めることを「監禁」。断裂で空間ごと切り裂くことを「境界を引く」というが後者は名瀬統也自身の保身のために使用しない単語である。また、技の分類は大きく分けては三種類だが、これらはある種の同技術として互いに性質を変え合っているだけであることも述べておく。
①「空間固定」……空間という座標系変数を異能体『檻』で固定化して他のものの侵入を阻める。いわば「結界」のような能力。通常、対象を囲い込み籠檻とすることや防御障壁の展開に用いられる。
②「空間断裂」……または「空間切断」。対象を空間ごと切断する技術。空間固定も一種の断裂だが、物体を切断するには他の物体からの作用が必要。主人公の場合はマフラー。それを使えば空間世界ごと存在を切り裂き抉り取ることが可能となる。触れた存在は現実世界から消失するかの如く、何の抵抗もなく切断される。ただし、相手が同じく『檻』または『衣』、その他のマナ結合体の場合は例外。
③「空間極限」
1『蒼玉』……濃い蒼(統也の場合)。収束式で空間という無限大を収束させる。空間固定も列記とした収束であるが、ここでは虚数域で支配したマイナス要素のマナ反応について述べている。「虚数域の蒼玉」は空間の吸収反応を檻で閉じ込め球状にして放出する弾丸のような技と、単に『檻』内部を緊縮させ、対象を吸い込み消し去る二通りがある。
2『青玉』……淡い青(統也の場合)。発散式で空間という無限大を発散させる。核爆発とほぼ同じ原理なため一種の核兵器と言える。抑えても空間を爆散する威力が高すぎるため周りに人が居ると無条件で巻き込んでしまう。異能において非凡な統也でも円山事変の精神解放前は扱えなかった、それほど難易度が高い。
※異能者の『檻』の色に関係なくこの名称。たとえば名瀬惟司は紫色の『檻』、杏子は碧色の『檻』、白愛は無色透明の『檻』を扱うが収束式の名称はどれも『蒼玉』。
~名瀬家の秘密奥義~
・虚数術式の『檻花』……空間極限の融合を成す至高の業。濃い「蒼玉」と淡い「青玉」というそれぞれの性質の空間を掛け合わせることで生み出される「真の色」による空間を凄まじい速度で押し放つ技。理論上、収束と発散という相反する性質を合わせるため、結果的に対象を空間ごと押し出し、現実存在を抉る技になる。術式干渉しにくい「複合術式」であり、また「虚数術式」でもある。名瀬家内では会得に20年以上必要と言われている。収束式などと異なり術者によって名称が変わる。統也の場合『勿忘』、惟司『菫』、杏子『碧ノ瞳』。
~名瀬家の領域構築~
・統也の『第零術式「律」』……『檻』の内部でのみ自分以外の「時間の流れ」を限りなくゼロに近づけることで実現する神業。領域構築の一種で時空零域「律空間」へ誘える擬似的時間停止能力。最近は更新しフィンガースナップが発動のトリガーになる。本来、使用の際はその強力な作用の代償として必ず死ぬ第零術式だが、統也の場合は脳へのダメージを与えないよう浄眼で精密なマナコントロールを行って発動する。旬曰く、あれは人が使っていい技じゃない、とのこと。文字通り神業。
・杏子の『第一術式「凍」』……碧凍または碧凍領域ともいう。『檻』の内部に入ったものを手あたり次第「時空凍結」していく術式。対象は“永遠”を閉じ込める宇宙冷気に巻かれ、その人が持っている時間・精神さえも空間ごと凍結される禁術。
◇伏見――『弑』―――――――――――
……マナエネルギー、または単に系のエネルギーを操作する異能。いくつかの出力方法に分岐し、その数は「正数出力」内では五つある。マナエネルギーを体で纏うことを特に「炎霊化」と呼んだりする。
――『定格出力』…… ①{正数定格出力「イザナギ」……「+」のマナエネルギー操作。なので物理学上の通常エネルギーを操作できる。エネルギー効果、能力系統、衣の色は人によって様々。玲奈なら『橙』、瑠璃なら『紺青』のマナエネルギーなど。
・第一定格出力「神霊」……正攻法では最も会得難易度の高い能力。理論上『衣』の最高出力である。マナエネルギー「衣」を制約付きのエネルギーそのものに変換できる。力学的エネルギーに始まり原子核エネルギー、熱エネルギー、光エネルギー、電気エネルギーなど、あらゆるエネルギーにある程度なら変換可能。
当然、力学的位置エネルギーもその例外ではないため、マナエネルギーを位置エネルギーへほぼ100%変換することで空中に浮かぶことも可能。蝶のように空を飛べる。その飛ぶ状態を特に「スワローテイル・バースト」と呼称している。
・第二定格出力「魂霊」……マナエネルギーを身体から完全に切り離しても自由自在に操作できる「衣」。魂のように、火の玉のように攻撃を繰り出せる上、剣状に模って打ち出すこともできる。
・第三定格出力「炎霊」……一番オーソドックスで会得容易な能力。身体やその一部に固有のマナエネルギー『衣』を纏うことで防御や攻撃に転用できるが、汎用性が落ち、使用局面が限られる。
・第四定格出力「精霊」……波動、光、匂い、マナ反応といった極小の作用を蝶の触覚のごとく鋭敏に感知する「衣」。いったん切り離し、他の物体へ付与する形式が主流。
・第零定格出力「霊」……使用者が有する生命エネルギー全てを引き換えにマナエネルギーを生成することで、質の高いマナエネルギーを操作できるようになる。上記全ての出力を同時に使用できるだけでなく、通常の保有マナ量を約1000倍として無制限に活用できる。ただしその強力すぎる効力の代償として使用者は最後、エネルギー浸蝕による影響で必ず死ぬ。当然「禁能」認定されている。また伏見家の奥の手、秘密奥義とされている。
(※イザナギは蝶の蛹から由来している)
②{負数定格出力「イザナミ」……「-」のエネルギー操作。いわゆる「ディラックの海」状態。配色は絶対に「黒」であることからかつて日本では「黒焰」と思われていた。宇宙系においては実在しない虚構のマイナスのエネルギー解。つまり本来の現実には存在不可能だが、それを虚数術式(正確には複素術式)で強制的に現出させる。
主な能力は1、三の出力「虚霊」ブラックホールの吸い込み効果。
……「重力収束」という概念ブラックホールの現出や「加具土命」という何でも他のエネルギー吸い取る黒色エネルギーの生成がある。
2、二の出力「呪霊」対象に『-』の因子を付与する呪いのような効果。物体のエネルギー性質を逆にしたり、術式効果を逆転させたりも場合によっては可能。
3、一の出力「逆霊」いわゆる『エネルギー逆転』。時間反転などによる身体損傷の再生が行える。
現世でこれらを唯一扱える旬は世界最強の異能士となった。また、この出力は弱体化前のかつての翠蘭も使用できたが今は無理。
~正数領域の術式干渉で代表的なもの~
・『反蝶術式』または反蝶式。
……第一定格出力「神霊」解放後、副次的に身に着くと言われる、未来の出来事をある程度固定する反則級の能力。大まかな事象の強制を可能とする式。曖昧かつ不確定ではありつつも一つの結果、運命の帰結を一定方向に確定できる。「バタフライ効果」という予測不可域の予測困難性及び初期値鋭敏性を打ち消す効果を有する。ただし、術式と名が付くがこれは固有の異能術式とは異なり、あくまで術式干渉の技術名称。しかも「はんちょう」などと読む人はあまりいない。皆アンチバタフライと呼んでいる。
◇三宮――『絲』――――――――
……「光」という現象を操る異能。もっと砕けば、光子を「マナ結合」という技術で凝縮させ、攻撃や防御に転用可能とする異能。基本は指先から光思念体『糸』を発生さえるよう訓練する。
光の二重性――波動と粒子の二つの要素を持つため『糸』として細長く模るのは相当難易度が高い。
~『糸』の操作~
蜘蛛糸のように活用し物体を引き寄せたり、密度を高めレーザーカーテンのようなガードとしても使える。
下記以外の技も複数存在することは断言しておく。
・『糸操術』……生物・無生物に関係なく対象へ『糸』を接続し、指先から『糸』を通して送られる思念性のマナで対象を意のままに操ることが可能。被術体を傀儡や傀儡と呼ぶ。
接続本数は「腕に何本」「胴体に何本」という具合に使用者の思念強度である程度決定する。
手練れの場合は、五体に一本で事足りる。例、三宮拓真。三宮希咲。
・『神紡』……①「神紡」……『糸』を捻じらせるように束ね、ワイヤーのごとく運用して攻撃や防御に使用する技術。『糸』自体が光子のマナ凝縮体という特殊形体を取って存在しているため、束ねれば束ねるほど強度が増す。光が合成され増えるほどより明るくなるのと科学原理的には同じである。
②「絲神紡」……神紡の裏ワザ。レーザビームのように放出する直線的攻撃など、距離制限はあるが可能。たとえば『糸』を束ねる際、あえてワイヤー状にせず、単に植物の茎のように平行に連結させた場合、断面積が増え、接触面が大きくなると言える。『糸』の性質はマナによる光子連結、光子固形の強度変化によって調節可能な観点から、その効果、性質を変えやすい。「光の凝縮によるレーザー」「マナで固めて固形化」など。光の集合を受けた対象は鉄だろうが、光が持つエネルギー高熱に焼かれる。虫眼鏡の集光、その強化版と考えれば分かりやすい。
・『糸槍』……『神紡』をさらに重ね、束ねることで生まれる無数の『糸』、それをミサイル程度の規模まで巨大に生成する大技。「光の核ミサイル」と揶揄される最強の投擲技で、現代でこれを防げる異能者は名瀬一族のみとされているが、実例はないため信憑性はいかに。基本は超遠距離へ放つ単発の攻撃で『糸槍』を一個生成するのに一日の集中と数年分のマナを要す。威力はレーザービームの集合体という事実と、「光の核ミサイル」と表現されていことから察しの通りである。敵目線では遥か上空から「光の線」が降ってくるという伝説や伝承があるほど。




